

公開前に自分でも早く観たい!と盛り上がってたのにいざDVDが出た頃はあまり興味がなくなってしまって^^;観ないままになってしまっていたのだが。ここに来て観ようと思ったのは無論大森南朋が出てるのに気づいたからで。
と思ってたらナオさん出番は結構早めの時間帯で思った以上に短時間であった。石を抱かされ拷問される場面。なんだかなあ。でもまあ観れてよかった。
作品自体は思った以上に面白く出来ていてこれなら早く観ればよかったと今更思ってしまった。でも今観たタイミングの方が理解しやすかったかもしれないが。
弥次さん喜多さんがゲイ関係だということを自分は高校時代に知った時、友人にそのことを伝えると「へー?」と不気味な表情で答えられてしまった。なぜか教師が『弥次喜多』という言葉だけが聞こえたらしく「真面目な話をしてるね」と褒めたのでホントのことを言う訳にも行かず非常に困惑したものだった。
それにしても日本の古典でも有名なこの二人がゲイ関係だった為に長屋にいられなくなりお伊勢参りに旅立ったという話をしりあがり寿さんが漫画にされた時は長年の夢がかなったような^^;実に嬉しい気持ちになったものだった。
そしてそれがまた映画化されてしまうという怖ろしい時代になったものだ。以前はしりあがりさんの漫画がそれこそリアルに映像化できはしないのではと期待がしりすぼみになってしまったのだが、こうして観てみるとしりあがりさんのシュールな世界がきちんと映像になっていてすかり嬉しくなってしまったのだった。
それにしてもやっぱり一番嬉しいのは映画の中で弥次さんと喜多さんの深い愛が貫かれていたことで、喜多さんの美少年的なフラフラ感と移り気で甘えている描写と弥次さんの喜多さんへの揺るぎない愛には何度となくじーんとさせられてしまった。
弥次さんを演じている長瀬智也さんは多分始めて映画で観るのだが(ドラマは何も観てないし)男らしくて一本気な話し方がおかしいやら切ないやらですっかり好きになってしまった。
喜多さんの情けない優男ぶりも中村七之助さんが大変うまく演じていたのではないだろうか。二人とも原作のイメージそのままで語らう愛の言葉は真剣に胸に響いてくるものがあった。
とはいえ、多分多くの人がそうだと思うのだけどこの作品で最も印象的だったのは荒川良々さんだろう。あんなにたくさん出てくるなんて反則だよね。あの顔と体型のインパクト。それぞれ違う人なのに霊魂になるとあの姿になる、というのがなんとなく頷けてしまうのが怖い。みんな良々さんになってしまうんだよ。
しかも源流での泣いてる子供(原作では)も良々さんだしラストの踊る人も彼だし。贔屓だ贔屓だ。
彼のキャラクターの前に他のすべてが消え去ってしまったのではないだろうか。
ヤク中のゲイである喜多さんが愛する弥次さんと暮らしながらも「リヤル=リアル」を感じられなくなる、という物語の発端からてめえ探しの旅に出て、愛する人といることがリアルなのだと納得するラストに到るまでの実にくだらない騒動がまさに人生そのものだと言って物語は終わる。
ナオさんがもう少し出てくれてたら私としてはパーフェクトだったが^^;良々さんの物凄さでその残念さも吹き飛んでしまった。
偽物弥次さんとして妻夫木が出てたのも変におかしかった。
山口智充さん演じる茶屋のオカマパパの歌は何となく『ヘドウィグ』を思い起こさせる。ぐっさんはうまいなあ。
監督/脚本: 宮藤官九郎 出演:長瀬智也 中村七之助 阿部サダヲ 生瀬勝久 寺島進 竹内力 森下愛子 古田新太 松尾スズキ 荒川良々 小池栄子 柄本佑
2005年日本