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2008年08月17日

『キャッチボール屋』大崎章

キャッチボール屋2.jpgキャッチボール屋1.jpg

大森南朋としては数少ない主演映画なのだが、どことなく主演じゃないように思えてしまうのは何故?^^;
というのがこの映画の色合いなのだろうしつまり物凄く激しい色彩を叩きつけたようなもんじゃなくぼんやりと淡い色調でまとめた感があるのだから。
このタイトルを見てすぐ思い出したのは韓国映画『クライング・フィスト(拳が泣く)』失業した元ボクサーが「殴られ屋」として街頭で金を稼ぐという映画だ(その元ネタは日本の『晴留屋明 殴られ屋』ではあるが)
それにしても莫大な借金を抱えて己を殴らせることで金を稼ぐ決意をするという『クライング・フィスト=殴られ屋』に比べこちらは『キャッチボール屋』ってもうそれだけで気が抜けているし、主人公もぼーっとしてて何しに東京に来たんだっけ?みたいな自我の欠乏と言ったらば。
大体がもー大事な記憶であるはずの高校野球最後の試合の結末を覚えていないみたいなあやふやでぼんやりしまくった映画なのだ。
なんとなーく東京へ来てなんとなーく見知らぬ男に「キャッチボール屋」を受け継がされなんとなーく仕事をこなしなんとなーくOLさんとも仲良くなったりなんとなーくかつての甲子園球児たちと出会って二人の失われた対決の再開を見ることになる。
かっかと燃えるような傷だらけの韓国側『殴られ屋』に対しこのぼんやり感こそが日本的というのであろうか。多少血は流れたが。
しかもこの二つの映画は見ると同じ年に作られてるのね。このテンションの違いって。それに『殴られ屋』は一方的だけど『キャッチボール屋』はお互いだもんね。なんかこの辺も国民性を感じるなんていうのはおこがましいか。

見ててもぼーっとなっちゃうような映画でさ、何かここから人生にとって重要なエッセンスを汲み取らねば、なんてメンドクサイ考えも失せてしまう。
なんかもーいいんじゃないの。ぼーっと観てるだけで。
コレが男だったらさ、ちょっと腕がむずむずっていうのか「キャッチボールいいね、やりてえ」みたいな気分も出てくるのかもしんないけど、私なんぞはこれに出てきたOLさんみたいに上手くボールをやり取りもできないし、「男ってキャッチボール好きだよねー」みたいな感じでまたぼーっと観るしかない。
観てても結構楽しそうにやってるしね。
寺島進さんと松重豊さんの剛速球は凄かったし、光石研さんはわざと下手ぶってたんだと思うけど下手さが上手かった。
大森南朋さんはキャッチャーやってたけどナオさんっていかにもキャッチャーっぽいよね。体型とか顔とかキャッチャー型。役者としてもピッチャーじゃなくてキャッチャーって感じだもん。だから主役じゃなくて副主役みたいに見えるの。俺様な主役のボールを受ける役のほうが合っている。ドラマ『ハゲタカ』も主役だったのに観てると柴田恭兵さんのほうが主役っぽいのは大森南朋がキャッチャーだからなんだよねー。でもその辺の感覚が素敵だし、合ってるしね。『ヴァイブレータ』なんてのもあの位置がぴったりだし『殺し屋1』でもタイトルロールなのに脇役なのだよね。

人生の中でぽっかり記憶を失って違う人間になってすごすことがあるならこんなことをしてみたい、という夢みたいな話だった。

寺島さんと松重さんの男の勝負。「ほんと男って勝負が好きなのね」
それをにっこりしてみてるナオさんの顔が好きだなあ。

監督の「どんまい、どんまい」という言葉が癒しなのでしょうねー。
山口百恵の『夢先案内人』という歌もいかにも映画を物語っています。目の見えない女性がこの歌を頼りにコインランドリーに来ていたというのもまた暗喩的。

監督:大崎章 出演:大森南朋 キタキマユ 寺島進 松重豊 光石研 水橋研二
2005年日本


ラベル:大森南朋 人生
posted by フェイユイ at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 大森南朋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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