映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年09月18日

『マンダレイ』ラース・フォン・トリアー

マンダレイ.jpg
MANDERLAY

前作はアメリカの僻村という閉ざされた場所で起きる人間の内面を描いたもので舞台が限られた場所のようでどこでもあり得る物語と見えて共感しつつ観たが、本作は人種差別という触れたくない部分なのでもっと怖ろしい作品だったのではないだろうか。

怖ろしいのはどこまでも人間の自由と公平さを信じるグレースが自己満足な思い込みだけで行動してしまい最後には自分が決して許されないと思っていた考えと行動をとってしまうことでもあるが、差別されている黒人たちを自由を求めていない愚鈍な人格として描いていることでもし自分がアメリカ黒人でこの映画を観たなら冷静に観れるんだろうかと思ってしまう。

どうしても第三者として単に作品の面白さを楽しんだのだがやはり自分は奴隷たちではなくグレースの側として観ている傲慢さがあるのだろうか、と考えてしまう。
グレースの愚かさを批判している作品なのだろうが同時にどうしても自由と独立を求めていないように見える黒人達に奮起を促しているように思えるのだ。
なぜもっと戦って自由を求めないのかと。

映画『クラッシュ』やTVでアメリカの黒人に対する差別的なニュースを見る度にアメリカと言う国は以前とまったく変わってないように思えるからだ。
現在もしかしたら黒人の初の大統領が生まれるのかもしれない、というところまで来たが(片親が白人ということだが)最近の雲行きはどうも怪しくやはりまだ無理なのかといった雰囲気ではある。自分としてはマケインがなったなら今までと何も変わらないじゃないかと思うのだが。

そういった現実の差別問題から来る怖ろしい緊張感も含めて前作同様の白線による舞台設定(少しだけ高低がついて豪華になった)グレースが神秘的なイメージの黒人青年に性的欲望を抱く場面と彼から異様とも思えるセックスを与えられる場面など興味をひかれる箇所が用意されている。美しい白人女性が黒人青年から暴力的とも思えるセックスを強いられるなどアメリカ白人(特に男性)にとっては衝撃だろう。

非常に怖ろしい作品だが語り口が面白くてしょうがないのがこの監督の特徴のようだ。

監督:ラース・フォン・トリアー 出演:ブライス・ダラス・ハワード ダニー・グローバー イザーク・ド・バンコレ ウィレム・デフォー ローレン・バコール クロエ・セヴィニー
2005年デンマーク


posted by フェイユイ at 00:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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