映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年09月19日

『DEAR WENDY ディア・ウェンディ』トマス・ヴィンターベア

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DEAR WENDY

ラース・フォン・トリアー脚本のアメリカを舞台にした映画。とはいえなんだか不思議な感覚。炭鉱の町のせいか登場する若者達の雰囲気のせいかアメリカというよりイギリスみたいなのだが、あくまでもこれはアメリカの銃社会を思い切り皮肉った風刺劇なのだった。

「負け犬」と自分達を卑下する若者たち。親父に勧められる炭鉱で働くことに反抗するディックは大嫌いなセバスチャンにプレゼントする為おもちゃのピストルを買ったことから人生が変わる。
結局セバスチャンにはあげなかったそのピストルがおもちゃではなく本物だということがわかったのだ。
小さな店の同僚であるスティービーは銃に関して抜群の知識を持っていた。孤独だったディックはスティービーと共に銃について研究し練習を重ねていく。ディックがおもちゃと思って買った小さいが威力のあるその銃には「ウェンディ」という女性名をつけた。負け犬だったディックを変えたウェンディに彼は強い愛情を持つのだった。

同じような町のはぐれ者たちを集めて「ダンディーズ」となのり、廃坑を宮殿と言って夜毎親交を深めていく彼ら。
あくまでも「平和を愛する銃同好会」である彼らの前に銃で人を撃ち殺したことのあるセバスチャンが登場したことから彼らの平和が壊れていく。

「ダンディーズ」の集会の辺りは子供っぽくておかしいが反面秘密基地で遊ぶ子供みたいで奇妙な衣装と共に本音を言うと憧れてしまう。
私もこんな隠れ家があって平和に禁じられた秘密を仲間と分かち合うなんていうどきどきをやってみたいものだ。
だがディックの子供じみた「ごっこ遊び」は本物の殺し屋ガンマンであるセバスチャンからみれば所詮子供じみたゲームにすぎない。
ディックはセバスチャンの出現で本来のルールを忘れてしまう。
セバスチャンは「平和主義なんておかしい。単に怖いから銃を持っているだけだろ」と言う。
マイケル・ムーア『ボウリング・フォー・コロンバイン』でもアメリカ人がいつも怯えて銃を所持し撃たずにはいられないことが描かれていた。
若干例外はあるものの基本的には銃におびやかされることの少ない日本社会に住む自分としては銃などない方がいいに決まっている、と思ってしまうのだが。
本作のふざけた銃撃シーンは一体なんなのかと笑わずにはいられないが、傍から見れば銃社会というのはこういう世界なのだろう。
聞く耳も持たない警官と何の意味もなく死んでいく若者達。

相変わらずそこに到るまでの語り口がとても好きだし、今回は珍しく男の子が主人公だったが紅一点のスーザンも可愛くかった。
男であっても頑固で馬鹿でどうしようもないという人間が主人公であるのは同じ。だけどとても魅力的であるところも。
ディック役のジェイミー・ベルが小さな銃「ウェンディ」をまるで本当の女性のように愛している感じがなんとも繊細なオタク的でステキだった。
ヒューイ役のクリス・オーウェンも好きだったな。

でもなーんかアメリカじゃないみたいなの。擬似アメリカ?やっぱり外国人が違う国を描くとこういう不思議な感じになってしまうのだろうな。黒人の少年に対する態度とか皆のたたずまいだとか、アメリカ映画で観るアメリカ人たちじゃないのだ。アメリカ人ってもっとテキトーな感じが。
でもそれも面白かった。

監督:トマス・ヴィンターベア 脚本:ラース・フォン・トリアー  出演:ジェイミー・ベル ビル・プルマン マイケル・アンガラノ クリス・オーウェン アリソン・ピル マーク・ウェバー
2005年デンマーク/フランス/ドイツ/イギリス


posted by フェイユイ at 23:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久し振りに、リンク作品が!^^
観ました☆懐かしいナこの映画。一年?近く前頃コメントに「ジェイミー・ベルにはまってます〜」て書いた頃観てました。なかなか、よかったです。ベルはいいなあ。彼が大好きで、うっとり見入り・・テーマ曲がいいですよね〜◎ノスタルジックで哀しげなアメリカとも思えないような不思議ワールドのなか展開する悪ガキ達の儚い青春。。そこにぴったりの音楽でした。そして思わず膝を打ったのが、ヒューイ!そうですよね、ヒューイ役のコえっらいカワイイの〜!(笑)シュミ合いましたね珍しく?^^;
この映画が非現実的なのはアノ「街」の中だけで展開する話だからでしょうか。まるで舞台劇のような。オールセット☆ていう珍しい形態。監督はそこに力を入れてこだわってますね。ベルは非常に演技力あるし他の子達も個性的。マーク・ウェバーもいいなと思っていたらその後程なくして観た『ブロークンフラワーズ』にも出てきて思わず声あげちゃった。注目株ですよね。
主題に共感は出来ませんが、とても彼等の哀しさがじんと沁みて来る、センチな映画◎でした。
Posted by フラン at 2008年09月20日 21:48
そうなんですよねー。突然トリアー監督に入り込んでコレは脚本のみなんですがまったく知らずに観ていて主人公の子、凄くかっこいいなあなんて(笑)後で名前見てフランさんが言ってた子だ!と(笑)
でも好み的にはヒューイくんでした。でもフランさんも気に入ってたんですねーふふふ。
『ブロークンフラワーズ』も見なきゃいけないし、『リトルダンサー』さっさと観ろ!と自分に怒ってます(笑)いかにも自分好きそうな映画なのに〜。いやもう絶対観ます。
Posted by フェイユイ at 2008年09月21日 00:43
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