映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年09月29日

『浪人街 RONINGAI』黒木和雄

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昨日観たマキノ雅弘監督の『浪人街』が凄く面白かったので普通後で作られたリメイクものにはがっかりしてしまうものだが、これが全作品よりも上回って面白かったというのはちょっと他にはないかもしれない。

原作小説は知らないがマキノ『浪人街』とおおよそ同じストーリーながら細かい改変が色々となされている。こういうのも前作がいいと「変えないがよかったのに」となるものだが、前作は前作でよしとして本作の方がさらにいい感じに浪人街なのだった。

一番の設定の違いは浪人の4人が前作のは何もしていないのと比べると源内はここでも何もしていないが母衣は死体切りという仕事、赤牛はヨタカ相手のお習字の先生、孫八郎は仕事はしてないが小鳥をたくさん飼って世話をしているというキャラクターづけがあって特に前作では人のいい感じだったホロゴンさんがここでは眼力鋭い人斬りになっているというのが驚きだったが石橋蓮司さんの魅力もあってなんだかすげえかっこいいのであった。というわけで前作も本作もキャラクターが違うのにホロゴンさんが一番好きな浪人である。
ストーリーとしては孫八郎が帰参のため短刀を懸命に探すというのがここでは百両の金が賄賂として必要、ということになっていてストーリーがそのためすっきりとして妙な苛立ちを感じずにすんだ。源内がそれを持っていてどうしたのという部分が昨日はそう思わなかったがややめんどくさいものになっていたのかもしれない。
悪役は前作の不思議に優しい悪役じゃなく悪人らしい悪人を中尾彬が演じていて文句なし。
そして終幕。前作、帰参の為お新を助けに行かなかった孫八郎が本作では鎧兜に騎馬でもって駆けつける。それまで情けなかった孫八郎が最後に男になってみせる。しかし前作では弱虫だが美男子だった孫八郎が美男子じゃない単なる弱虫になっていたのがおかしい(いや田中邦衛さん好きです^^;)おまけに九州弁だったので九州の自分としては途中までどうも歯がゆくて最後に決めてくれたのでほっとした^^;
そうそう登場人物それぞれにお国訛りをつけたのも本作の特徴。凝ってるなあ。話し方だけでも違いが判る。顔見ただけでも充分わかるけど。
源内は会津、ホロゴンさんは四国、赤牛が関西で孫八郎は九州というところである。
好みは一番のラストの場面だろうか。生き残ったホロゴンが命を落とした赤牛の位牌を前に語りかけるのは同じだが、その後捕まえに来た役人と斬り合いになる前作と違い本作は母衣ひとり旅にでる。
皆に温かく送り出されていくホロゴン。そして前作の「浪人街の白壁に、いろはにほへと と書きました」の言葉ではなく「この30年後侍の時代は終わった」てな言葉になっている。
情緒でいくか事実のみ伝えるか、っていう好みかな。私はここはどちらも好きで決めきれない。
前作でかっこよかった小芳さんがいなくなって代わりにお葉という会津出身の女という伊勢屋の囲い者みたいな人が出てくる。小芳と違ってこれはちょっと悲しい人である。本作ではお新が前作以上に気が強くて活躍するのでかっこいい小芳まで出したら目立たなくなる為、やや大人しい女性に変更したのだと思う。その辺のバランスもうまい。
おぶんはあらまあ町人になってしまったのかな。これも驚きだがいいのかもしれない。

顔の大きな3浪人といっていた前作と違いさすがに新しい方は感覚的にかっこいい。原田芳雄の源内はなんだか色っぽくて悪な感じが素敵である。でもやたら裸体を見せてる感じがするのだが。いいけど。ジャングルの王者ターザンみたいだったけど。
赤牛=勝新太郎、その名前の割にはちょっと控えめな出演だった気も。それでもかっこいい。やっぱ座頭市のイメージがあるからなー、もっと観たかった。
石橋蓮司の母衣権兵衛。とにかく好きだ。死体を斬る、という怖ろしい仕事をしており、金は持っているが愛を求めている悲しく辛い眼差しの男である。体には死の匂いが染み付いている。
殺陣がまるでブルース・リーのような表情だった。

監督:黒木和雄 出演:原田芳雄 石橋蓮司 樋口可南子 勝新太郎 田中邦衛 杉田かおる 伊佐山ひろ子 中尾彬 水島道太郎 佐藤慶 長門裕之
1990年日本


ラベル:時代劇
posted by フェイユイ at 23:15| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>私はここはどちらも好きで決めきれない。

情緒でいくか事実のみ伝えるか
人柄や背景が見え隠れする面白いシーンですね
Posted by マンハッタン坂本 at 2009年10月23日 18:55
はじめまして、マンハッタン坂本さん。

同じ物語を別の監督が作ったものを見比べる、というのは楽しいです。特にこれみたいに両方面白いというのは。
今夜もまたそんなことやってます(笑)

Posted by フェイユイ at 2009年10月24日 00:23
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