映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年10月06日

『バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び』ダン・ゲラー デイナ・ゴールドファイン

BALLETS RUSSES 2.jpgBALLETS RUSSES.jpg
BALLETS RUSSES

ニジンスキーがいたバレエ・リュスとその創始者ディアギレフの名前くらいは知っていたが、彼の没後もこのようにその名前が受け継がれしかも二つに分かれてなお続いていた歴史があることなど何も知らなかった。
映画は綺羅星の如く輝いていた彼らのバレエシーンを写真やフィルムを丹念につなぎ物語っていく。
大昔の映像のバレエダンサーたちを観たら結構不恰好でおかしいのではないかと思い込んでいたらとんでもなかった。恥じ入りたい。
その美貌とすばらしいプロポーションは今見ても信じがたいほどの美しさであり、それ以上に夢見るようなオーラが古い映像を通しても感じられる。当時の観客がどんな思いで彼らの神業的な美貌と踊りを見て感動したのか想像もつかない。
だがそんな彼らは贅沢にお洒落な生活をしているどころか、何とかバレエ団を存続する為、アメリカへ渡って列車に揺られあの広大な国を縦横断しながら毎晩踊り続けるという過酷な旅巡業を何ヶ月も行っていたとは。しかも報酬はほんの僅かだったという信じられないようなバレリーナの生活である。
しかも美しい夢のようなバレエを続ける裏では当然とは言え、様々な駆け引きが繰り返される。
ディアギレフのバレエ・リュスから別れた二つのバレエ団がそれぞれにバレエ・リュスの名前を含みながら興行し、戦っていく。
決してどちらかだけが勝ち進んだということでもなくそれぞれに芸術としても経営的にも苦悩は絶えないのだ。
その中でもダンサーたちは毎晩ただ踊り続け旅をしまた踊り続ける。
アメリカの田舎町でオーストラリア、また南米で大勢の観客が夢を見たのだろう。

バランシンとトールチーフのエピソードから山岸凉子の『黒鳥ブラックスワン』が生まれたのだということも知った。
バランシンが新バレエ団の呼び物として3人のまだ幼い少女たちを「ベビーバレリーナ」と名づけて売り出すという話などもいかにもと言う感じで面白い。
それにしても黒人のバレエダンサー・レイヴンがバレエ・リュス・ド・モンテカルロに入団したものの結局外部からの酷い人種差別のために退団を余儀なくされてしまうのは悲しい話だった。しかしオランダでソリストとなり再びアメリカでの舞台にも立つという経歴だったということでバレエへの愛情と強さがなければできないことだと思う。

バレエ・リュスの歴史と大勢のダンサーの物語がふんだんに盛り込まれているのでよく咀嚼するためには何度も観なければ呑み込めないかもしれない。
何度も言うがバレエダンサーたちの美しさと情熱に見惚れてしまう映画であった。

監督:ダン・ゲラー デイナ・ゴールドファイン 出演:アレクサンドラ・ダニロワ アリシア・マルコワ イリナ・バロノワ フレデリック・フランクリン
2005年アメリカ



ラベル:歴史 バレエ
posted by フェイユイ at 22:48| Comment(2) | TrackBack(1) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとう。

バレリーナの空中での「タメ」は、驚愕ですね。基本を繰り返し繰り返しやってきたんでしょうね。いいドキュメントでした。
Posted by kimion20002000 at 2008年11月24日 21:19
こちらこそいつもありがとうございます。

バレエは観るの大好きなのですが全く詳しくないという変なファンです^^;
このドキュメンタリーは素晴らしかったですね。
バレエダンサーというのはその美貌と技を持続するだけでも大変なのにやはり営業の難しさというのを感じさせられました。
バレエへの愛と情熱なくてはあり得ない生活です。
Posted by フェイユイ at 2008年11月25日 00:16
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

mini review 08337「バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び」★★★★★★★★☆☆
Excerpt: 20世紀初頭のパリに始まり、一度は解散した伝説のバレエ団“バレエ・リュス”の再生の歴史を追うドキュメンタリー。20世紀のあらゆる芸術とエンターテインメントに影響を与えたバレエ・リュスの知られざる軌跡..
Weblog: サーカスな日々
Tracked: 2008-11-24 13:26
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。