映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年10月14日

『スウィーニー・トッド 悪魔の理髪師』デヴィッド・ムーア

SWEENEY TODD.jpg

SWEENEY TODD

ティム・バートン監督ジョニー・デップ主演の『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』を観ようか観まいか迷っている内にイギリス版のそれがあることを最近やっと知った。スウィーニーさんというのは非常に有名な架空の連続殺人者であることを今までちっとも知らなんだ。

どちらを先に観た方がより面白いのかとちょっと迷ったがとりあえず製作順ということでこちらを先に。
BBCTV映画版ということでいかにもイギリス的な味わいのあるホラー作品で私的にはもうこちらで充分というほど楽しんだのであった。

多分ジョニデがこの太っちょの主人公なのだろうが(違ったらごめん)なんとも屈折したこのキャラクターの表現はイギリスならではの陰影がある。
余計な説明はさほどされてはいないが強欲で自分勝手な父親によってまだ子供だった兄が絞首刑になりトッド自身も20年も服役していたという辛い過去を持つ。
冷酷だが腕のいい理髪師に医者としての知識技術も教えられたトッドは評判の理髪師になる。
だがトッドは時々ふっと客の首をその髭剃り用の剃刀でかき切ってしまうという怖ろしい行動をとってしまうのだった。
町でふと出会った人妻ラベット夫人になぜかトッドは惹かれる。彼女が亭主に暴力を受けているのを知ったトッドはその男の手術をする際に殺してしまう。

架空の連続殺人者の話ということで色んなバージョンがあるらしい。
いやあ、考えたら男性って物凄く怖い体験をしょっちゅう理髪店で受けているわけである。特にこの映画を観た後は床屋さんに行けないよな。
そして剃刀で殺した客の死体の肉をパン屋をしているラベット夫人に渡し、その肉で美味しいミートパイを作ってはロンドンの住民が舌鼓を打つ、という筋書きである。
理髪店の横にパン屋さんがあったら絶対買えないねこりゃ。
しかし一体何故トッドはラベット夫人をこんなに愛したのか。女性の魅力溢れるラベット夫人は夫を亡くした後、優しく彼女に接してくれるトッドに肉体関係を持とうとするがトッドはそれを拒否する。この辺またイギリス風なんだがトッドの目的はラベット夫人のセクシーな肉体ではないのだが彼女と性交渉を持つ男たちは許せずに次々と殺してミートパイの材料にしちゃうのだ。
悲しいトッドの純愛。気色の悪いスプラッタホラーなのに切ない恋が描かれている。なんという異常な愛だろうか。
愛らしかったラベット夫人は度重なる違う男達との性交渉の中で梅毒に侵され命は存えたもののその美貌を損なってしまう。
理髪師トッドは髪を失った彼女のためにカツラを作って被せてあげる。梅毒の痕が顔に残るラベット婦人の頬に「綺麗だ」と言ってキスをするトッド。ゴシックホラーとも思える不気味に歪んだ美しさを湛えた場面だ。
何故トッドは彼女をこうも愛したのか。行き場がないままに懸命に生きている彼女に共感したのだろうか。ただし彼女に肉欲を持てないトッドは彼女が欲する男達を殺し、彼女が興味を示した真珠の首飾りを川へ投げ捨てる。
最後に判事が聞くが何故トッドは殺人を犯し続けたのか。彼の答えは曖昧でよく判らないものだった。彼自身もまたわからないのだろう。

取り立てて美学的なものが描かれるわけでもなく美男美女が登場することもない都会のごみごみとした一角での殺人事件の物語なのだが普遍的な恐怖感というものがこういう架空の殺人者を生み出すのだろうか。
小さなトビアス少年がぱくつくミートパイが怖ろしい。

監督:デヴィッド・ムーア 出演:レイ・ウィンストン デビッド・ブラッドリー エシー・デイビス トム・ハーディ ラデュ・アンドレイ・ミク デビッド・ワーナー
2006年イギリス

主人公太っちょ男のレイ・ウィンストン氏は元アマチュアボクサーで勝ちまくっていたという方なんですね。
どうりで迫力あります。


posted by フェイユイ at 23:04| Comment(2) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ジョニー・デップのほうをみました。
なんだかこちらのほうが面白そうですね。
単純に、主役が美しいかぶ男かでも
全く違うお話になりそうな。。。

Posted by せりーぬ、 at 2008年10月14日 23:41
明日というか今日ですが、ジョニーの方観ます。
でもこっちの方が好きな予感がすでに。

比較しながら観るのが大好きなので今からわくわくです(笑)いじわるな自分。

Posted by フェイユイ at 2008年10月15日 00:21
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