映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年10月22日

『戦争と人間 第一部 運命の序曲』前半 山本薩夫

戦争と人間 第一部 運命の序曲.jpg

先日ちょっと書いたが満州を舞台にした映画を観たいと思っているのだがそういうものはあんまりないようだ。あるのかもしれないがDVDになってないのか。その中で見つけたのがこれ。なんと9時間に及ぶ映画(TVドラマでなく)という代物。三部作であるが本当はもう一部作る予定が財政難で三部で途切れたということらしい。今まで知らなかった作品だがキャストは豪華である。一気に観れない立場なので少しずつ楽しんでみよう。

昭和三年(1928年)満州と日本を舞台にして様々な人々の生き様を描いていく。
出だし、ということもあるが長時間の映画にも関わらずめまぐるしく物語が交錯していく。歴史的状況の説明が忙しく行われ、大勢の登場人物が紹介されていく為にやや人間像が類型的になってしまい誰に肩入れ、共鳴していいのかよく掴めない。
自分としては冒頭から出てきて満州で貧しい人々の医療をしている日本人青年・不破学(田村高廣)が最も魅力的なキャラクターであるように見える。
血気走った関東軍、満州で金儲けをする伍代財閥などの描写が批判的なニュアンスを持つが、対照的な共産主義思想の兄弟は立場が弱くシンパの男も殺気だっていてまだ混沌としている。

どうしても悪く見えるほうが目立つもので伍代財閥の勢力をより広げる為に関東軍と意気投合している伍代喬介(芦田伸介)とその手先である鴫田駒次郎の悪辣ぶりが印象的である。特に鴫田駒次郎を演じる三國連太郎は今はなんだかいい人的なイメージが強いのでここまでの悪党振りを観れるのも面白い。
中国語が挨拶程度に使われるのではなくしっかり会話として話されているのも本格的に思える。出演者はほぼ日本人のようなのでその辺りもきっちり演じられているのは珍しいことなのではないか。
タイトルどおり序曲の前半なのでまだこれからの物語である。日本と関係の深かった張作霖が次第に日本から離れていく中で関東軍は列車で移動中の張作霖を爆破する(柳条湖事件)までであった。

1970年の作品なので豪華キャストの役者たちの若さに驚く。一番の驚きは伍代財閥の変わり者であるまだ中学生の俊介を演じた仲村勘九郎だろうか。とにかくまだ少年なのである。新興財閥でありまだこれからの成長を狙っている伍代家において絵を好み、共産主義者である友人標耕平の影響を受け、家族の者に危ぶまれている。
そして同じく伍代家の娘由紀子役の浅丘ルリ子。知ってはいるがまるでお人形のような美しさ、若さである。関東軍軍人である柘植進太郎(高橋秀樹)と恋仲なのだろうか。
ほかにも怪しげな雰囲気の女性に岸田今日子、日本人だが満州に育ち国籍に悩む青年服部を加藤剛、石原裕次郎、大滝秀治とキャストは物凄い。
かなりの長丁場だがどうなっていくのか楽しみである。

監督:山本薩夫 出演:芦田伸介 滝沢修 高橋悦史 浅丘ルリ子 高橋英樹 三國連太郎 高橋幸治 松原智恵子 石原裕次郎 田村高廣 加藤剛 栗原小巻 岸田今日子
1970年日本


ラベル:歴史 満州 戦争
posted by フェイユイ at 00:39| Comment(5) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おおー☆フェイユイさん、とうとう昔の日本映画の世界に本格的に嵌りだしましたね〜^^;なんて人に言えるほど大して私も昔の映画見てる訳ではないのですけど、この作品は未見ですが骨太らしいです。とにかく山本薩夫監督は社会派の雄に間違いないのではと思うからです。加藤剛さんも確かこの作品で脚光を浴びたのでは?役者たちが生き生きしている様が想像できます。遠い記憶ですが戦時中の悲惨な場面が(軍隊内リンチとか)ありません?仲代達也も出演かと・・(ほんの少し観たことがある気が)。
三國連太郎、今でさえ好々爺然としてますが50歳位まではとにかく☆エネルギッシュで妖しくてその頃の日本人にはないような西洋的パワーを感じる役者でした。私は中でも『にっぽん泥棒物語』を映画館で観たのですがサイコーに面白かった記憶があります。あとその中年のセクシーさを堪らないほど感じたのは『約束』。ほんとカッコイイんだから(笑←?)^^;
昔の映画や役者の話は母の範疇で。うちの母は高橋幸治が好きでした。しかし物凄いオールスターキャストですね。見応えありますよきっと〜;私も観たくなって参りました。^^
Posted by フラン at 2008年10月22日 15:03
度々失礼致します。すいません確認したら間違えてました・・先程の「仲代達矢が出てるかも、リンチとか云々・・」の映画は小林正樹監督『人間の条件』でした!観たと思っていたのはこちらでした・御免なさいませ〜。なにせ似たイメージ(勝手に自分の中で)でして。(それとフェイユイさんのレビュー前半部分少しだぶっていますが)多分『人間の条件』の方がエグイというかハードなのかな・・原作者は一緒だけど。みてないので何も云う資格ありませんね。
Posted by フラン at 2008年10月22日 15:20
はは、どうも寝ぼけてました^^;お恥ずかしい。早速訂正しました。

反抗的なようですがこれに関しては日本映画に嵌るというよりもとにかく満州時代の映画が観たかったのですよー。自分としては日本人側だけの視点ではなく中国人の様子をしっかり描いたものが観たいのですがいまのところそういう映画って全然見つけ切れません。
中国製作のではドラマの『末代皇帝』つまり『ラストエンペラー』ですね。が、おもしろくてもっと色々観たいものなのですが。同時代の上海ものとか。
第二次世界大戦に入る直前の中国を舞台にした映画、ということですが、なかなか難しい題材なのであまり作れないのでしょうね。ドラマで『李香蘭』がありましたが(観てませんが^^;)
とはいえ確かに昔の日本映画は面白いのでどんどん観ていきたいですね。
ほんと宿題たまってばかりです。
Posted by フェイユイ at 2008年10月22日 19:32
フェイユイさんのお陰でずっと忘れていた日本映画の感動を思い出しましたよ。^^特に『約束』は色々ネット検索しましたら、人気も高く懐かしむ人が多いのにどうやらDVD化されていなく、残念な人も多い様子。近所のレンタル店でビデオをもしかして置いているかもしれない。埋もれた名作がDVD化されるのを希望していますが。。仕組みってどうなっているのかな、と思う時があります。
歴史のある一定時期に興味を持って作品を探す、というのは面白い観方ですね。^^
Posted by フラン at 2008年10月22日 19:57
そうなんです。名作はどんどんDVD化して欲しい!遅い!!観たいけど観れないものがたくさんありすぎです!!!

今夜続きを観ましたがどんどん面白くなってきました。
高橋幸治さんって今まで全然知りませんでした。驚くほどの二枚目で印象的なかっこよさです。
すべての役者さんが凄い映画に出ているという意気込みのようなものがあります。

フランさんが書かれている映画も気になります!
Posted by フェイユイ at 2008年10月23日 00:38
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