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2008年10月22日

『戦争と人間 第一部 運命の序曲』後半 山本薩夫

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後半になって滅茶苦茶面白くなってきた。冒頭部分の広げすぎた感のある大勢の登場人物、舞台設定がそれぞれじっくり語られていくようになり類型的かなと思われたキャラクターたちも味わうことができるようになってきた。

とにかくこれを観てたら日本人と関東軍とブルジョアジーが嫌いになることは請け合い。もうむかむかしてしまうんだが(映画だから言えることだが)だからこそこの時代のこの舞台が面白い。
それにしても標兄弟がかわいそうだ。貧しくても兄弟仲良く支えあって生きてきて兄は思想を貫くことができずに兵士となって満州に赴き、兄の帰りを待ちながら新聞配達をして生活している弟に兄の戦死の手紙が届く。兄が弟に言った言葉が「俺の意志を継いで共産主義になれ」ということじゃなく「馬鹿にされてもいいからよく物事を見つめて信じるものを見つけろ。」ということだったのが驚きだった。伍代俊介とはまだ友人でいるというのも不思議なのだが彼らが成長してまた物語が展開していくのだろう。伍代俊介を演じているのは仲村勘九郎と書いたが今は勘三郎になっているのだよね。この辺を観ると確かに息子さんに似ている。ブルジョアなのに貧しい友人を思いやり労働者たちの苦しみに泣く優しさに若さゆえとはいえうたれる。ずっとこのままの人格でいてくれるのだろうか。伍代の人間になってしまうのだろうか。

その伍代の一員、英介の憎々しさといったら。まだしも悪党らしい伍代喬介(芦田伸介)は男らしいが、腐った奴というのはこういうのだ。高橋悦史さんという人もわりといい人のイメージがあったのだがこんなに憎々しい男を演じていたのだ。
そして伍代喬介の片腕・鴫田駒次郎の三國連太郎。いやもう荒くれ男でかっこいい。息子さんの佐藤浩市とはあまり似てないなあと思っていたのだが若いこの時期を見るとそっくりである。勘三郎にしろやっぱり親子って親子だ。

見せ場たっぷりでどこを取り上げていいかと思うほどだが、伍代公司に勤めていながら妻を伍代喬介の差し金で殺されてしまう高畠正典(高橋幸治)と彼の通訳をしていく白永祥(山本学)のコンビ(?)が緊張感があって面白い。思いつめた表情の高畠とひょうひょうとした白のバランスがいい感じ。叔父さんがこの作品の監督・山本薩夫になるのか。だからというわけではないだろうが謎を秘めた中国人で物語の鍵となる気になる存在である。
幼い女の子に話すたとえ話が物語を説明している。幼い双子(旅順と大連)を誘拐して働かせ最初は9年で解放すると言っていたのに稼げるとわかった途端99年働かせると言った、という話である。
この作品で日本人が中国や朝鮮の人々に惨たらしいことをしていたのかを見せ付けられ苦しくなってくるのは確かだ。
それでもこの時代の満州の物語に強く惹き付けられてしまうのは何故なんだろう。

監督:山本薩夫 出演:芦田伸介 滝沢修 高橋悦史 浅丘ルリ子 高橋英樹 三國連太郎 高橋幸治 松原智恵子 石原裕次郎 田村高廣 加藤剛 栗原小巻 岸田今日子
1970年日本



ラベル:歴史 満州 戦争
posted by フェイユイ at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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