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2008年10月23日

『戦争と人間 第二部 愛と悲しみの山河』前半 山本薩夫

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物語が中盤にさしかかった時の常として状況は泥沼化。どの人物も自分の立場から逃れられない苦悩を持つ。
左翼弾圧で虐げられる人々もいるが(ここで最近話題になった『蟹工船』の小林多喜二の名前が出てくる。「小林多喜二がどうなったか知ってるだろう」と脅されるわけである)舞台が日本になった時の話題と満州での物語りの差が激しい。
俊介くんは友人標耕平の思想行動は置いといて兄の妻になるはずだった年上の女性に夢中。この女性もどうもねちっこくて確かに女性らしいといえばそうなんだけど、思わせぶりで被害妄想でなよなよとして不幸じみてうざったい。こういう女性に俊介のような男は夢中になってしまうわけなのだ。演じたのは佐久間良子で美人だから仕方ないけど。
貧しい友人耕平くんは(ところで耕平くんと俊介くんの学生服は明らかに仕立てが違う。耕平くんの学生服ってぴらぴらでいかにも貧乏そう)山本圭になっていて急にかっこよくなったぞ。俊介くんは北大路欣也。耕平くんのほうは伍代家の次女・順子(吉永小百合)から好意を寄せられていた。
伍代家って由介・喬介、英介は財閥然として威張っているが俊介・由紀子・順子は反抗的なわけで真っ二つに分かれているのだ。とはいっても威張っている方が強いだろうが。弱いほうも強情そうで。

満州のほうに行くとより憎悪や確執が激しくなっていく。日本人の大塩は兄を朝鮮人に殺された恨みで心が歪んでしまっている。その歪みのために中国共産党員である白永祥は逃亡せねばならなくなってしまう。
また日本人に家族を惨殺された朝鮮人・徐在林も激しい恨みで生きている。その恨みのために志を同じにするはずの中国人白永祥とは全く異なった思考になってしまう。
白永祥を逃がした日本人・高畠正典(高橋幸治)も憲兵隊に追われる身となってしまう。
伍代由介は中国人・趙大福と取引するために満州へと赴く(よく取引しようとするよな。息子が趙の娘を強姦してんのに)無論趙氏から快い返事はもらえない。

関東軍の中国人拷問シーンも出てきたりして身の毛がよだつ。仕方ないとはいえ誠実そうな柘植大尉も一応文句は言い出すが「言うな」と言われれば黙るしかない軍人である。勇んでいかがわしい店から阿片を押収すると伍代喬介からは「若造が。満州がどうして成り立っているか全くわかっとらん」と罵られ、由紀子さんからも「女はいつも待っていると思っていらっしゃるの。考え違いだわ」とか言われて立つ瀬がない柘植大尉であった。

日本人(関東軍)が満州の人々を苦しめ、そこから抗日が生まれてくるのだが朝鮮の一派が日本人と満州人との間で苦しむことになる。
徐在林の激烈な人格は怖ろしいほどだが演じているのが地井武男でまた驚いてしまう。観てる間はまったく気づかなかった。
家族を殺され「恨」を持った彼は中国共産党と共に命懸けで戦うがどうしても中国人とは理解しあえない。
仲間を救うため愛する女性も殺されてしまった徐在林の行き先は金日成の元なのだろうか。

この物語の主人公は「伍代一家」のようなのだろうが、どうも他のキャラクターの人生が凄すぎて影が薄い。
一番面白いのはやっぱり伍代喬介かな。

監督:山本薩夫 出演:芦田伸介 滝沢修 高橋悦史 浅丘ルリ子 高橋英樹 三國連太郎 高橋幸治 石原裕次郎 田村高廣 加藤剛 栗原小巻 岸田今日子 佐久間良子 吉永小百合 山本圭 北大路欣也 地井武男
1971年日本


ラベル:戦争 歴史 満州
posted by フェイユイ at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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