映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年10月28日

『陸軍中野学校 開戦前夜』井上昭

開戦前夜.jpg

『陸軍中野学校』シリーズ5作目。真珠湾攻撃に関するアメリカ側スパイとの攻防が繰り広げられる。

昨日まで観ていた『戦争と人間』後の話だ。昨日まで憎らしかった憲兵がここでは椎名次郎の命令で動くことになる。
『007』のようなスパイアクション映画を目指して作られたらしいがそこはなんとも言えず和風な味わいのスパイものになっている。同じ2枚目といってもショーン・コネリーと市川雷蔵では全然違うからなあ。とはいえ、アレを模倣したような派手なアクション映画になっていたら恥ずかしい珍妙なアクション映画ができあがってしまったろうから、無論これで正解だのである。
市川雷蔵の思いつめた雰囲気のスパイは魅力的だ。確かに地味なアクションにはちがいないだろうが、それが却って本格的なスパイものに見えて変な物真似になっていないのがいい。

物語は椎名次郎(市川雷蔵)が使命を受け香港へ飛ぶ所から始まる。
椎名のために手はずを整えていた青年・磯村を細川俊之が演じている。あるホテルに滞在するダイク大佐が保管している重要機密書類を写し撮るのが椎名の任務だった。磯村の婚約者・昌子とその友人の女性・秋子を交えてホテルのラウンジで談笑しながら椎名はダイク大佐の行動を観察した。
任務は成功したが怪しまれた椎名はダイク大佐の手先によって捕らえられ、拷問を受ける。運よく秋子が外国人によってある家に連れ込まれた椎名を見たことで椎名は磯村たちに助けられた。

実はこの秋子が敵のスパイであり、スパイものになくてはならないスパイの中のスパイというストーリーになっている。
後半は日本の真珠湾攻撃の情報をダイク大佐らがスパイしていくという展開になり磯村が薬によって情報を吐いてしまう。あわや情報がアメリカに流される前に椎名たちの活躍によって阻止される。
真珠湾攻撃の情報はアメリカ側はすでに知っていたという話もあるからここでは阻止されたが別のルートで流されたのだろう(虚実混同してるが^^;)
薬で自白してしまった磯村が責任を負って自決したというのが悲しい。
重い心を抱えながら椎名は次の使命を待つことになる。

晩年はまったくいい人のイメージの船越英二さんがここではちょっとすけべな感じの悪い奴を演じている。先日観たばかりの増村監督作品『盲獣』では凄まじい肉欲に溺れた男を見せ付けてくれたが。
昔の映画を観ていると今のイメージと全然違う役者の顔を見つけて驚くことが結構あるものだ。今可愛い役、或いは不良をやってる役者もどう変わっていくかは判らないわけだ、と当たり前なことに頷いてしまう自分である。

監督:井上昭  出演:市川雷蔵 小山明子 浜田ゆう子 船越英二 細川俊之
1968年日本


posted by フェイユイ at 00:28| Comment(6) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フェイユイさん、こんにちは!
自分もこのシリーズを観ましたよ♪アジア映画しか観ないのでよくわからないのですが、派手なアクションや美女との絡みがなくても面白いスパイ映画はあるんだなと思いました。

船越英二さんは最初「黒い十人の女」を観て格好良いなぁと思っていたのですが、増村保造監督の映画を観て少しイメージが変わりました。「盲獣」や「氾濫」の変態っぷり(笑)にビックリしましたよ。
Posted by natsu at 2008年10月30日 13:11
natsuさんもご覧になってたのですねー。うれしいです。
こういう映画って今作るのはちょっと難しいような気がします。昔の方がなんでも自由だったような。

船越英二さんの『盲獣』!そうでした。私はつい最近みて大感動だったのに触れるの忘れてました。すみませんが今からちょっと記事書き直します^^;
『氾濫』は未見です。最近増村保造監督に目覚めたので(『兵隊やくざ』やこの『陸軍中野学校』も大好きなのに今頃^^;)
今後どしどし観ていこうと思っています。
Posted by フェイユイ at 2008年10月30日 20:42
このシリーズ観たいです。
戦争映画好きなんですが
おもにヨーロッパ戦線ばかり観てました。
でもTHE WINDS OF GOD -KAMIKAZE-を観てから日本軍物にも興味がわいてきたのです。

和風スパイもの、そそられますねー。
船越英二さん、松居和代を嫁として
認めなかったらしいですね。
私生活はなかなか厳しい人だったかもです。
そんな船越さんのスケベな感じの悪役もそそられます。
Posted by せりーぬ、 at 2008年11月02日 23:12
私は戦争映画が好きなのかそうでないのかよく判らないのですが^^;この第2次世界大戦直前辺りの歴史情勢に非常に興味がありましてヨーロッパもそうなのですが特に満州に興味があります。先日観ていた『戦争と人間』は面白かったです。
『陸軍中野学校』はそういう意味でも惹かれる作品ですねー。上海・香港などがよく出てきますし。
船越英二さんって謎の人ですね。真面目にスケベを演じていたのでしょうか。
市川雷蔵さんはほんとにステキです。今夜も見たのですが(笑)日本が誇る美男の代表ですね!
Posted by フェイユイ at 2008年11月03日 00:34
満州ですか。
満州の知識はラスト・エンペラーのみです(汗
自分のブログにも書いたのですが
私が思う日本を誇る女優さんは
原節子と夏目雅子なのですが
美男は思いつきませんでしたー。
市川雷蔵さん、お名前とお顔はなんとなく
わかるのですが
そんなに美しいのですね!
戦場のメリークリスマスの坂本龍一は美しかったけど、日本を誇るとまでは言えませんし
(笑
Posted by せりーぬ、 at 2008年11月03日 22:53
私も自慢できるほど雷蔵さんを観てきたわけでもないのですが。
市川雷蔵さんは37歳で夭折されていますが物凄く数多くの作品に出ておられて私が知っているのは僅かなものですがこのシリーズと『眠狂四郎』ですね〜。バタ臭い二枚目ではなく日本的美男のお顔ですね。
教授さんとは比較しがたいですが^^;
美女は誰でしょう。迷います。原節子さんは絶対ですが。夏目雅子さんもホントに綺麗ですよねー。

そうなんですよ『ラストエンペラー』の世界。溥儀さんの物語が凄く好きです。


Posted by フェイユイ at 2008年11月04日 00:27
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