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2008年11月12日

『ス』崔洋一

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面白い映画を幾つも作ってみせてくれた崔洋一監督が韓国を舞台に韓国スタッフと俳優で作り上げた作品、ということでかなり期待をして観た。
まず言うと今までブログでも何度も書いてきたのだが私はどういうものかノアールものが苦手である。なんというか「遊び」にしか見えないのだ。男達がかっこつけてごっこ遊びをしているとしか思えない。
とはいえ、いつか面白いノアールものに出会えるのかも、という思いがあって期待するのだがやはり「ごっこ遊び」にしか見えない。
さてこれは、崔洋一監督でもあるし、と願いを持ったのだが、やっぱり「ごっこ遊び」にしか見えなかった。

というかノアールものは男の子達のごっこ遊びであることが信条なのであって何か別のものを求める自分が間違っているのかもしれない。

それにしても非常に真面目な顔をしてどんぱちしたり、血だらけになって「うおおお」と叫んだり、もつれあって取っ組み合いしたり、よろよろと立ち上がったり倒れこんだりしているのを観てると楽しそうに遊んでいるなあ、とどうしても思ってしまうのだ。
教室の後ろでその気になってピストルごっこをしている男子とどこが違うんだろう。

いやほんとにこれは男子の楽しみなのであって女子がしゃしゃり出て文句を言うものではないのである。
「ばーか」と言って自分は大人のつもりでいればいいのかもしれない。
これはもうこの作品の出来がどうこうというかすべてのノアールものに思うことでありいい出来栄えであってもそうした思いを持たないことはない。
ただいつか「これはごっこ遊びじゃない」と唸らせてくれるノアールものに出会えないかと思っているだけだ。
それが男子に受けるかどうかはわからないが。

さて本作。いかにも韓国らしいという設定である。生き別れた双子の兄弟。兄は「ス」と呼ばれる殺し屋になり、子供の時に別れたきりの弟を探している。
やっと出会えた時、弟は何者かにいきなり射殺されてしまった。一体誰が、何のために。殺し屋「ス」は刑事だった弟になりきり復讐を誓う。
そして見つけた仇に近づく為「ス」は次々と殺戮を犯していく。
筋書きとしては悪くない。結構面白そうである。だが出だしの説明がわかりにくくて世界に入り込むのに難があった。勿体つけずシンプルに判りやすくしてくれたほうがよかったのではないだろうか。
そして配役にも疑問がある。主役のチ・ジニ。好きな人ではあるがこの役には合わない気がする。それにしても元々逞しい人だったがますます肉体派になっていくようである。
唯一の女性である弟の恋人役カン・ソンヨンが魅力的でない。男のためのノアールなのだから当たり前に唯一の女性は美女の方がいいのでは。美女なのかな。あまりそう思えなかったし「私と出会えて幸せだった?」とスに聞くのだが美人でない上にこうも暴力的な女性と出会えてもマゾじゃない限りあまり幸せにはなれない。弟は大変だったと想像する。
そういえばこの映画男性的に暴力シーンはたっぷりあったが、色っぽいシーンは皆無。あるとすればチ・ジニが自分の裸を撫で回しているシーンが一番色っぽいのだ。自分で自分をというのはあまりうれしくないのでこういう話なら双子の弟は別の人にやって欲しいなあ。
弟がスの変装だということを見破る刑事がいまいち面白みがない。
つまりは登場人物たちにどうものめりこめる魅力が乏しいのである。

本作がマンガが原作ということなのかノアールものということなのか『オールドボーイ』と比較して本作の方が上と書いてあったりもしたが私としては『オールドボーイ』のほうが比較にならないほど面白かった。あれもノアールなら例外的に面白かったものだ。チ・ジニとチェ・ミンシクを比較するのはかわいそうであるし、内容としてもあちらの方が断然いい。地味なほうが上等というものでもないだろう。

ところで今までずっと別れていた弟になりすまして職場に行き、刑事として勤める、という設定自体どう考えても無理だと思うのだがねえ。
何をどうしていいか何もわからないだろう?

監督:崔洋一 出演:チ・ジニ オ・マンソク イ・ギヨン チョ・ギョンファン カン・ソンヨン
2007年韓国


ラベル:暗黒街 崔洋一
posted by フェイユイ at 00:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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