映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年11月15日

『独立愚連隊』岡本喜八

独立愚連隊2.jpg

またまたとんでもなく面白い映画を観てしまった。
戦争映画といえばそのまま反戦映画を意味しているのであり極めて真剣で丁重なのが当たり前という日本人の常識のようなものがあるのにずっと以前にはこんな型破りの戦争アクション映画があったのだ。

物語の形態はミステリーのカテゴリに入るのかもしれない。毎朝新聞の記者という男が最前線の危険な戦場へ赴く。そこには特に危険な場所に配置された『独立愚連隊』と呼ばれる部隊があった。
兵隊の屑ばかりを集めたと言われるその部隊へ記者は危険を省みず向かう。その部隊では以前大久保という見習士官が現地の女性と心中事件を起こしたという醜聞があったのだ。記者はその話の秘密を懸命に聞き出そうとする。一体記者は何故その事件にこだわるのか。その事件の謎を知るものは。という物語なのである。

なんといっても風来坊的主人公を演じた佐藤允の他にない独特な魅力がこの映画の強烈な癖のある味わい、軽快だが迫力のある映像を作り上げている。日本人離れしている、というのか個性的なアクの強い容貌であり印象に残る表情をする。忘れられない笑顔なのである。
彼自身も他の戦争映画にありがちな熱血で生真面目な軍人というイメージとは違っている。代わりに帝国軍人の権化のような存在といて三船敏郎が登場するのだが、とんでもないことに彼は気がふれてしまい意味もなく号令をかけるおかしくも悲しい姿に成り果ててしまっているのだ。よく三船敏郎がこんな滑稽で無様な役を引き受けたものだと唖然とする。反面三船敏郎がやっているからこそこの悲しさと迫力が生まれてくるのだ(そしてここにもミステリーが隠されている)

よくある反戦映画ではないとはいうもののこの映画の奥にはやはり戦争というものの馬鹿馬鹿しさ、個々の人間の無力さへの悲しみが込められているのは誰もが感じることだろう。
ただ最後の場面だけは驚いてかなりめげてしまった。それまで当地にいる馬賊とも仲良くなっていった主人公だが独立愚連隊の連中と共に八路を撃ち殺していく場面があるのだ。
どうしてもこういう展開にアレルギーがあるのだが、この場面がなければ日本軍がまったく当地で戦闘などしなかったかのように思えてしまうし(今話題の「日本軍は侵略などしなかった」発言のような)実際、飛び出していかなければいいのにやっぱり死ににいってしまういかにも日本人らしい顛末であり残虐に敵を全滅し、自分達も全滅してしまう空しさと馬鹿馬鹿しさをこの場面から感じてしまうのだ。あそこまで我慢したのに何故命を捨ててしまうのかなあ。

従軍慰安婦も当然のように登場してかなりおっかなびっくりで鑑賞することになる本作だがそれもまた事実として観なければいけないのだろう(あの人たちとかはこの映画、とても承認できないのだろうな)

そういった強い衝撃を受けながらもミステリーの面白さと弟の為に脱走兵という汚名を被って現地へ駆けつけた兄の一途さに打たれてしまう自分である。

監督・脚本:岡本喜八  出演:佐藤允 中谷一郎 雪村いづみ 鶴田浩二 上村幸之 三船敏郎
1959年日本


ラベル:戦争 ミステリー
posted by フェイユイ at 23:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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