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2008年12月16日

『郵便配達は二度ベルを鳴らす』ボブ・ラフェルソン

郵便配達は二度ベルを鳴らす.jpg
The Postman Always Rings Twice

公開当時、かなりの話題になった作品ではないだろうか。ジャック・ニコルソンとジェシカ・ラングのエロテッィクなシーンゆえに。

今観てもセックスの場面はきわどいものを感じるのだが、作品自体が非常に面白いものかというと微妙な感じになってくる。全然つまらなくはないが、とにかく構成が冗漫で幾つかの場面がどうも嘘っぽく見えてしまってしっくりこないのである。
ジェームズ・M・ケインの同名小説の4度目の映画化、ということらしいのだが、ちょっとした財産を持ってはいるが冴えない初老の男が不釣合いに若くて美人の女房がいるところに流れ者の若い男がやって来て女房と恋に落ちる。二人は衝動的に亭主を殺すのだが、という物語は細部の違いはあれど他にもたくさんあるわけでそれだけ興味を惹く題材なのだろう。
自分が最近観たのでも『死刑台のエレベーター』は流れ者ではないがそのまま大金持ちの亭主を殺してしまう不倫の男女の話だし、『猟人日記』では亭主は金持ちじゃなくその為殺されはしないが流れ者の男を雇った夫婦の顛末という設定は同じである。
本作も実は亭主の財産目当てではなく純粋に(というのも変だが)愛のために亭主殺害を計画するのだ。
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』というタイトルの意味は「郵便配達は来客と違って必ず二度ベルを鳴らすものだ=つまりこの男は来客ではない」ということを含んでいるらしいのだが二人が殺害を企てた時、「何か起きたら二度ベルを鳴らす」という打ち合わせをしていることとか出来事が二度繰り返して起こっていく、という意味も含んでいるようだ。しかしそのためもあってか物語がぐるぐる同じ所を回っているような鬱陶しさがあって、その鬱陶しさが作品の味わいになっていればいいのだがそこまで感じられずただ散漫な展開にしか思えないのである。
その辺りは『猟人日記』のほうが上手く表現されていてやはりこれはハリウッド映画とイギリス映画の差なのかとも思ってしまう。
ハリウッド的な嘘っぽさというのは他にもあって空腹のはずのニコルソンが途中で食べるのをやめてしまうとか(ホントにいつもアメリカ映画で気に触るのだが何故空腹なのに全部食べないのか。嘘としか思えない)猛獣をベッドの上に座らせているとか(馬鹿馬鹿しい演出だ)とどめは最後の場面で転げ落ちたジェシカを見るなり泣き出すのはどういうことなのか。まず触って死んだかどうか調べなきゃ生きてるかもしれないし、救急車を呼ぶべきだし、ひと目見て死んだと思わせたければ頭がぱっかり割れて脳みそが飛び出してるくらいしないと素人目には判らないだろう。「死んでないわよ」と生き返るのかと思った。号泣する男の姿を見せたいだけの演出に過ぎないのではないか。
そして話題のエロシーンも行為としてはなかなか迫力あるのだが、キッチンのシーンはいいとして夜二人きりなのにジェシカがメイクラブシーンでごっそりネグリジェを着こんでいる。この時代裸は駄目だったのかなあ?裸が無理でもも少しどうにかできなかったのか。全裸でなくともいいだろうに何故あんなに着こんでいるのか、キッチンでは凄い野に、ベッドだと色っぽくないのだね。

と細部をごちゃごちゃ言ってしまったが作品全体がどこかしっくりこないものを感じてしまうのだった。
ギリシャ人の夫がまるで人間扱いでなく、アングロサクソンな男女がのさばっているのも不快の原因かもしれない。リアルといえばリアルなんだろうが。アングロサクソン夫婦の間にギリシャ系美男子が割り込んでくる、というのならいいんだろうけど。

昔観た時、意味もよく判らなくて今見直せば感じ方も変わるかと思ったのだが、この作品については余計悪く思えてしまった。

ついでに『郵便配達は二度ベルを鳴らす(1946年版)』というのも観てみようとしたのだが、こちらはもうものの数分で観るのを止めてしまった。
まるでハリウッド映画ってこういうのだよというサンプルみたいな作品でヒロインの登場の仕方、その姿いでたち、演出も展開も見るに忍びない代物だった。昔の映画だからといってすべてが価値あるものではないと思い知らされた。虚構だけで作られたような映画なのだった。

まだルキノ・ヴィスコンティの作品は未見である。是非観たいと思ってはいるのだが、まだかなわない。

監督:ボブ・ラフェルソン 出演:ジャック・ニコルソン ジェシカ・ラング ジョン・コリコス マイケル・ラーナー アンジェリカ・ヒューストン
1981年アメリカ


posted by フェイユイ at 01:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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