映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年12月20日

『パラノイドパーク』ガス・ヴァン・サント

ParanoidPark.jpgparanoid-park-alex.jpg
Paranoid Park

相変わらずなんだけどどうしても好きな世界なのでじっと観てしまうのだ。
交錯する時間も揺れる画面も粗い映像と広がる空と動く雲、光と風。美しい少年たちを集めて追い続けているカメラ。夢の世界のようでもあり、現実と記憶がごちゃまぜになってどっちがどっちなのか判らなくなってくる。
昨日はドラッグの映画を観たけど、この作品自体がドラッグのような不思議な感覚を味あわせてくれる。

退屈なくらいごく当たり前の生活を送っていた16歳の少年がある日を境に変わってしまう。
初めがそれが何なのか、隠されていて見えない。
少年はそのことを思い出したくない記憶として閉ざしているが、やがてその記憶を呼び戻してしまう。

それは16歳の少年が1人で抱え込むにはあまりにも重い出来事だった。

人を殺した。

偶然、だと思いたい。自分の意志ではない。
1人で言い訳をしても拭い去ることのできない記憶。
誰かに話したくても話すことはできない。
罰を怖れて逃れても自分を偽ることはできないのだ。

スケートボードをする少年たちの脆い美しさを映しとっていく。
貧しくてどこへいくあてもなくスケボーで走り回りジャンプしていくのが生きることすべてのような彼ら。
自分達でスケートボードパークを作り、そこが家だという彼ら。
主人公アレックスはそんな連中に憧れ、年かさの1人の男に誘われるがままついていき、貨車に飛び乗ったことが怖ろしい出来事を招いてしまった。
事件の後、雷が轟き光る。罪人であるアレックスに怒るかのように。
汚れた体を洗う為のシャワーの音が雨の音のように響いている。
筒状の中をスケボーに乗って走り抜ける少年たち。明るい光が見えてくる。
ガールフレンドは彼の心を察することもなくアレックスはもう彼女と一緒にいても何も感じていない。
アレックスに話しかけてきた別の少女の言葉で、心の中のもやもやを
紙に書いて燃やしてしまったことで彼は救われたのだろうか。

なにはともあれ、こんなに少年の美しさ、脆さ、危うさを魅力的に描いた作品もそうないだろう。
言葉も少なく感情の起伏も乏しいようにさえ感じられる16歳という年齢の少年たち。大人でもなく子供でもない中途半端でアンバランスな時代。現実と幻想の区別もはっきりとしないような、そんな時期なのだ。

アップになった少年の透明な瞳の美しさに見惚れない者が或いは嫉妬しない者がいるだろうか。

監督:脚本:ガス・ヴァン・サント 撮影:クリストファー・ドイル 出演: ゲイブ・ネヴァンス ジェイク・ミラー ローレン・マッキニー スコット・グリーン テイラー・モンセン
2007年アメリカ/フランス


posted by フェイユイ at 10:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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