映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年01月03日

『マルホランド・ドライブ』デヴィッド・リンチ

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Mulholland Dr.

デヴィッド・リンチの作品の中でも特に惹かれる映画である。何度も観ているが飽きさせない面白さを持っている。
リンチ映画は一目観ただけではさっぱり判らないのにどうしてこう惹かれてしまうのだろうか。
リンチ監督は「自分の作品は考えるのではなく感じて欲しい」と言われているようだが、ファンとしてはどうしても作品の謎解きをしたくなるものだ。そして彼の作品は適当な映像ではなく論理だった説明ができることが多く、そのためにより多くのファンがついてしまうようであるし、自分もまたその1人だ(情けない一人だが)
この映画もまたよくわからないのだが、どことなく他の映画より判るような気がしてしまうのは登場人物が魅力的で共鳴しやすいのだろうか。

何と言ってもローラ・ハリングの豊かな美貌に魅せられてしまう。その彼女の女性の恋人であるベティもしくはダイアン役のナオミ・ワッツは綺麗な女性ではあるがローラ・ハリングの凄まじいまでの美しさの前ではどことなく影の薄い普通の人のように見えてしまう。
そして無論それがこの映画の鍵でもある。
映画を全部見通せばこの映画すべてがダイアンの麻薬性のある夢であることがわかる。
ハリウッドに憧れ田舎から出てきた若い女性が美貌の女優と恋に落ちたものの捨て去られ、自分自身の夢である女優になどなれはしない、という絶望がリンチの魔法でこのような不思議な作品として描かれている。

リンチの作品によく使われるものがこの作品にも登場する。赤い布、運命をつかさどる小人、予言をする男、異国風の美女(アングロサクソンにとって)歌を歌う女、暗闇、時間と空間を移動させる物体、などである。
物語は登場人物によって示唆され、迷路に入り込んだかのような悪夢を見、現実が現れる。

ハリウッドで夢破れる憐れな女の夢は悲しい。多分、麻薬中毒のせいもあって不可解な表現もある。
有名な女優が叔母で彼女が留守の間に素晴らしい家を借りながら女優への道を歩み出す。テストでは居並ぶ監督やスタッフ、ベテランの男優たちが驚愕するような演技をしてみせる。そして記憶喪失になって迷い込んできた美しい女性を助け、彼女に尽くして恋に落ちる。
夢のような出来事はまさに彼女が思い描いた夢でしかなかった。
現実には彼女には何の役もなく愛した女性は去っていく。
ハリウッドという夢の世界の怖ろしい暗闇の部分が一人の女性によって描き出されていく。

しかしなんという不思議な幻想、心惹かれる夢なのだろうか。
映画女優というだけでなく彼女が愛した女性の美しさも夢のような美しさだ。

監督:デヴィッド・リンチ 出演:ナオミ・ワッツ ローラ・ハリング
 ジャスティン・セロー
2001年アメリカ


posted by フェイユイ at 00:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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