映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年01月22日

『恋人たち』ルイ・マル

Les Amants.gif
Les Amants

摩訶不思議フランス映画の見本の如き作品。しかもこの上なく美しい映像と若き美貌のジャンヌ・モロー。

パリに夢中の田舎町(ディジョン)の富裕な奥様ジャンヌ(ジャンヌ・モロー)は8年連れ添った堅物の夫が疎ましくパリのダンディな男性と恋愛に落ちている。パリに住む幼馴染マギーと約束しているとばかり言って出かけるジャンヌに夫は癇癪を起こし「それほど煩い友人ならこちらへ招きなさい」と言う事になり、田舎町にマギーとジャンヌの秘密の恋人ラウールを招待することになる。

というわけで果たしてジャンヌは夫とラウールとの愛のどちらを選ぶのか、というのが普通の物語である。
パリの友人たちを田舎に招いて、ジャンヌはやっぱり夫に苛立っているし、恋人ラウールも馬鹿に見えてきてしまう。
そしてひょんなことで知り合ったばかりの男を家に泊めることになり、その夜この男とジャンヌは突然恋をしてしまうのだ。

田舎町にも不満があり、パリに行っても夫にグチられ、今まで仲良かった幼馴染にも秘密の恋人にもうんざりしてしまうジャンヌ。そんな美しいが倦怠感に満ちた人妻をジャンヌ・モローが素晴らしく若々しい美しさで魅せてくれる。
いつも不満と不安が入り混じった顔をしたジャンヌが車のエンストで引き止めた2CVの考古学者の若い男性がベルナールだった。
最初はさほど気に入らなかったのが話しているうちに面白くなっていき、自宅まで送ってもらったのを夫が引きとめ家に泊めることになる。
先に家にたどり着いていたマギーとラウールを含めた晩餐はなんともちぐはぐで落ち着かないものだった。
その会話の中でジャンヌはますます夫への嫌悪感とラウールに失望していく。そして慕っていたマギーにも嫌気がさす。

手荒に髪を梳っていたジャンヌは階下のレコードの音が気になり降りていくとそこには誰の姿もない。
酒をグラスについだジャンヌが外へ出るとそこにベルナールがいた、話しかけてくる彼を疎ましがっていたジャンヌだったが、水車小屋までついてくるベルナールが持っているグラスと彼女のグラスが触れ合って共鳴した時、二人は恋に落ちるのだ。
まるでずっと愛し合っていたかのように見つめあい抱きしめあい口づけし、どこか遠い所へ行く決心をする。
ジャンヌは愛する小さな娘をあやした後、釣りに行く為早起きした夫や恋人、友人が見ている目の前を知り合ったばかりのベルナールと遠いどこかへと旅立っていく。
がすでにジャンヌの心には不安が芽生えている。だが彼女は後悔はしなかったのだ。

二人が突然共鳴し、愛し合う夜の闇の中の情景が美しい。
恵まれた家庭と愛する娘を残してもジャンヌが逃れたいと思ったのは何故だったのか。
田舎町に住む主婦なら皆その気持ちはわかるのではないだろうか。
だがもしベルナールのような男性とどこか遠くへ行ってしまうのだとしても後悔してはいけないのだ。
そのことが難しいことであるのはもう予感できるし、憧れはしても行動できはしないだろう。
だからこそ、絶えず不満顔で倦怠なジャンヌに共感し、その愛に憧れてこの美しい恋愛を見つめてしまう。
ジャンヌも小さな子供を見ては娘を思い出し、鏡を見ては自分がもうそれほど若くはないと思ったのだろう。

突拍子もない展開で、かといってよくある話でもあるこの物語を比類ない素晴らしく美しいラブ・ストーリーに作ってしまったルイ・マル。
ジャンヌ・モローの魅力にも見惚れながら堪能した。

監督:ルイ・マル 出演:ジャンヌ・モロー ジャン・マルク・ボリー アラン・キュニー ホセ・ルイ・ド・ビラロンガ ジュディット・マーグル
1958年フランス


posted by フェイユイ at 22:47| Comment(2) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『恋人たち』は、最後にみた(レンタルビデオ)のがもう15年位前。ジャンヌ・モローが素晴らしく綺麗で気に入って何度もみていました。
何より(その頃の)私が衝撃的だったのは「恋愛は、結婚してから、するもの」という台詞。その頃私は独身でしたから正に「?!?」でした。“フフフフランスでは、そーなのッ!?”・・子供でしたね〜^^;結婚して子供も生まれた今だからこそ解るその意味・・(笑)。現在みたらまたその辺の味わいが別のものになるのだろうな〜と。
ジャンヌ・モローが不機嫌に怒っている表情ですら、美しい。スタイル抜群。言葉の響きが耳に心地よい。只一つ、終盤の森の中での映像が美しかったと専らの評なのですが、私が当時みたビデオの画面ではほとんど真っ暗で、余り美しさを感じなかった。公開当時劇場の暗闇の中でなら、月光に照らされ浮かび上がるラブシーンはロマンチックの極地だったのでしょうね。
Posted by フラン at 2009年01月24日 10:51
確かフランス(だったと思うけど)のかつての貴婦人は処女時代は堅固に守るけど奥様になってしまえば自由恋愛、というのではなかったでしょうか(笑)日本人は目をぱちくりしながら観るしかありませんね。と言ってもそんな感覚の人たちはフランスくらいじゃないかとも^^;
ラブシーンは確かに真っ暗なのですが、その中でかすかに見える美しさ、というか。
でも確かにもう少し画像が悪いと何も見えないくらい暗い場面でした。せっかくのラブシーンをあんなに見にくくしてしまうなんていうのも凄いです。
映画館でみたら夢心地でしょうか。
Posted by フェイユイ at 2009年01月24日 13:40
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