映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年01月25日

『舞妓 Haaaan!!!』水田伸生

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阿部サダヲ全力疾走という感じでさすがにちょっとてんこ盛りすぎて騒々しいのではあるが、それでもたっぷり楽しめる作品だった。

無理矢理つなげるのではないが先日観た『ペネロピ』と比較してしまう。
他人が見れば背けたくなるほどの異常性を持つ主人公がなんとか自分の道を見つけ出していこう、と邁進していくのが共通項なのではないか、と自分的には感じたのだが。
色彩豊かな映像美と溢れるような創意工夫を凝らしたコメディである、というのも似通っているし「人間の姿かたちの美」にこだわったものであるということ、というのも同じである。
監督も男性ということが同じだが、そのせいなのか主人公の進む結果が全く違っていて「男だとこういう結果になるわけね」と関係ない映画に対して目くじらをたてたくなってしまう。
というのはこの映画で大騒ぎをする主人公、京都へ修学旅行をした時、舞妓はんに出会って人生のすべてが舞妓はんを追いかけることだけになってしまったという他人から見ればとんでもなくアホな男である。一般的に言えば異常に気持ち悪いオタクである、が、彼にとっては舞妓はんこそが生きることなのだ。そして彼はそれを実行し、生涯舞妓はんの為に生きることになる。
豚鼻を持っていることと舞妓はんの為にだけ生きていることとどちらが異常なのかは判断しかねるが、「私はこのままの私が好き」と言ったペネロピが普通人になってしまったのに対し、公彦は「そのままの自分」を貫き通していく。
一過性の思い出、というだけでなく自分が好きになったものを変えなかった公彦を見ると「そうなよなあ」と頷き、再び自分を見限ったペネロピに侮蔑とは言わないが無念の眼差しを向けたくなる。
舞妓はんを追いかけたいなら追いかければよし、豚鼻の自分を愛するなら豚鼻であればよし、である。
それがもし「男性監督の作品」ということで「主人公が男性なら自由を認める」が「主人公が女性なら自由は認めない」ということになったのなら悲しい。
なぜ男性の場合は「他人と違うおたくであること」を貫き、女性のペネロピは「他人と違う顔」ことをやめざるを得なかったのか。自分が「そのままが好き」と言ったにも関わらず。
『舞妓 Haaaan!!! 』を観て再度『ペネロピ』に憤慨してしまう自分だった。

『ペネロピ』への怒りはこのくらいにして本作についても書きたいが、とにかく面白おかしくて阿部サダヲが爆発しまくっている画面に圧倒され続け、舞妓はんの可愛らしさに見惚れたり、田舎もんにとってはやはり京都は憧ればい、などと思いながら目くるめくような超特急の展開に翻弄されながらも楽しんだ、という印象でそれらにことさら(上に書いた以上の)解釈や理屈はいらないだろう。
舞妓はんを好きになった男、というだけの話でありながら何故か清純な物語で、途中から舞妓はんそっちのけで男同士の戦いの話になっていってしまったり、それでも強引に最後をまとめてしまう辺りに製作者たちの心意気を見る、ということだろうか。

途中で今は亡き植木等さんを見た時は酷くはっとした。
北村一輝のお医者にもはっとした。

監督:水田伸生 出演:阿部サダヲ 堤真一 柴咲コウ 小出早織 京野ことみ 酒井若菜 キムラ緑子 大倉孝二 生瀬勝久 山田孝之 須賀健太 Mr.オクレ 北村一輝 植木等 木場勝己 真矢みき 吉行和子 伊東四朗
2007年日本


ラベル:コメディ
posted by フェイユイ at 20:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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