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2009年01月29日

『リバティーン』ローレンス・ダンモア

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The Libertine

17世紀、チャールズ二世の時代を現代とも重なるような視点で描いていて、ジョニー・デップ自身も主人公ロチェスター伯爵ジョン・ウィルモットとの共通点が感じられる、という皮肉めいた作品である。

ずっと変わった役ばかりを演じていて最もメジャーな『パイレーツ・オブ・カリビアン』ですらアンチ・ヒーローであるジョニー・デップがこの映画の冒頭で「この映画を観ていくほど私が嫌いになるだろう」と言い最後にも「これでも私が好きだと言えるか」と訊ねるのがいかにも実際のジョニデのようでおかしい。
とはいえ、本作のロチェスター伯は放蕩者ではあるだろうが悪党というわけではないし、一人の女性に愛情を注いでいるのに報われない姿などは悲哀も感じられるわけでそうそう「虫けらのような唾棄すべき男」というわけでもないだろう。
先日観た『ある子供』の男のようにいつの時代にもいる適当に悪さをやってはいるが大悪党ではなく善人でもない、という輩であって、逆に悪党の魅力すらない、とは言えるが辛い思いをしているのは当人で観ているこちらが腹を立てるほどではない。女たらしで次々と関係を持った、と説明はあれど映像的には妻と売春婦と女優の3人の女性との関わりだけを描いているのでそれほど放埓に思えず梅毒になったということで悲劇性だけが目だっている。不満なのは時代が性的に乱れていて男色も盛んだったと言い、ロチェスター伯もそうだったと言うだけで女性関係と違い匂わせているだけなのである。途中で殺されたビリー・ダウンズがその相手っぽいが表現としては僅かであるし、どうやらチャールズ二世ともそういう関係があったのではないか、と勘ぐれる気がするがそこまででしかない。
(ところでジョン・マルコビッチってなんとなくホモ・セクシャルな雰囲気のある映画によく出ている気がするのだが)
設定としては性的に乱れた社会なのだが作品自体は非常に上品で正統派なもので危険な悪の匂い、というような隠微な雰囲気がないのが残念である。
元々は舞台劇でチャールズ二世を演じているジョン・マルコビッチがロチェスター役だったということでそちらを観てみたい気がする。
ジョニー・デップはうまいけどやや硬くてだらしない放埓さが足りないのではないだろうか。
つまらなくはなかったが酔いしれるとまではいかなかったのは私がそれほどジョニデファンじゃないからだけなんだろうか。

ロチェスター伯爵がジョンと言う名前だった為に「ジョニー」と呼ばせているのもジョニー・デップにより重ねているようでいて皮肉っぽい。

監督:ローレンス・ダンモア 出演:ジョニー・デップ サマンサ・モートン ジョン・マルコビッチ ロザムンド・パイク トム・ホランダー ケリー・ライリー ルパート・フレンド スティーヴン・ジェフリーズ
2004年イギリス


ラベル:人生
posted by フェイユイ at 01:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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