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2009年02月01日

『ヘアー』ミロス・フォアマン

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HAIR The American Tribal Love-Rock Musical

先日『アクロス・ザ・ユニバース』を観てどうしてももう一度観たくなった。
感銘を受けたミュージカル映画は多数あるがその中でもこの作品は戦争と平和、人種、思想などということについて考えようと訴えてきた作品だった。
若い頃に観た自分にとっては衝撃的な作品だったのである。
今まで鑑賞したミュージカルとは違う迫力あるロックミュージックによって描かれるのはヒッピー達の生き方考え方。
髪を長く伸ばし仕事もせずぶらぶらと遊びまわっている。国から求められる徴兵通知の手紙を焼き捨て銃ではなく花と自由を愛する彼ら。
一方で同性愛や奔放な性行動に反感を持たれもする。マリファナを始めとする麻薬を嗜好することでも白い目で見られてしまうことは確かである。
私自身はヒッピーという世代は通り過ぎてしまった後で文献や映画で見知ったわけでその自由さに憧れるだけであった。
ベトナム戦争への反感から生まれた若者たちの反戦のムーブメントの大きさにもまた憧れたが時が過ぎまたアメリカでは同じようにイラク侵攻で多くの若い兵士が亡くなって(無論彼国でも多くの命が亡くなって)しまうのを見ると一体こういう歴史は何のために繰り返されているのかと思うばかりだが。
アメリカ映画でベトナム戦争という題材は数多く扱われたものだがヒッピーの思想とロックミュージックで反戦を強烈に訴えた作品がこの『HAIR』である。

ミュージカルとは言ってもこの作品はあまり唐突に歌いだす奇妙さという感覚があまりないように感じられる。
割り合い普通のやり取りで進行し、最初の『Aquarius』最後の『 Flesh Failures (Let the Sunshine In) 』が高らかに謳いあげられるのが印象的である。その二つの歌の高揚感で映画の中にはまり込んでしまう。
『アクロス・ザ・ユニバース』との類似点を挙げたが、導入部は本作の方が単刀直入にはいりこむような爽快感がある。
『アクロス』は若干出だしがまどろっこしいのだが。
主役はクロードとバーガーの二人と言う気がする。体が大きく眉も太くて大らかなイメージのバーガーはそのもしゃもしゃしたヘアーがトレードマークでもある。優しげな目で自由を愛する男をトリート・ウィリアムズが魅力的に演じている。
オクラホマの田舎から出てきたクロードは徴兵前の数日をニューヨークで過ごそうとやって来た。
生真面目なカウボーイを演じているのがジョン・サベージで初めてのニューヨークと都会の富豪のお嬢様とマリファナとにすっかり酔わされて目がうつろになっている様が可愛らしくてちょっと硬い感じの容貌なのだが大好きになってしまったものだ。
特に冒頭でクロードがニューヨークに来た途端いきなり公園で黒人女性が歌う『Aquarius』に驚いてしまう場面で叩きのめされてしまう。
そして公園で乗馬をする美しいシーラに一目惚れしバーガーがレンタルしてきた馬に飛び乗ってみせるシーンがかっこよくて痺れた。
またバーガー達にマリファナを体験させられ朦朧と夢心地になってしまう表情がなんともセクシーである。跡でもう一度昼間の公園で麻薬らしきものを服用してラリッてる場面も素敵。
クロードが兵役の為の面接を受ける♪ブラックボーイデリシャス♪という歌の場面も好きでなんだか試験官の男性方がちょいとゲイっぽくなっていくのがおかしいのだ。

こうして観直してもやはり迫力のあるミュージカルで没頭して観てしまう。彼らが求めた自由と平和が当たり前になる日はいつなんだろうか。
歌の力というものに圧倒される。

監督のミロス・フォアマンは他にも『アマデウス』『カッコーの巣の上で』とどちらも素晴らしい作品がある。
どれもが力強く人間の生と死を描いた作品である。

監督:ミロス・フォアマン 出演:ジョン・サベージ トリート・ウィリアムズ ビヴァリー・ダンジェロ ニコラス・レイ アニー・ゴールデン ドーシー・ライト
1979年 / アメリカ


posted by フェイユイ at 22:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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