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2009年02月25日

『華の愛 遊園驚夢』楊凡ヨン・ファン

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遊園驚夢 Peony Pavilion

宮沢りえがこの映画に出演したこととビアンな作品であるということは聞いていたが、こんなにいい作品だったとは。もっと早く観ればよかったっ。

退廃的上流社会のビアンな映画ということで、つい先日観た溝口健二『お遊さま』と並べてしまうが、金持ち具合はさすがにあちらのほうは豪華絢爛というしかない。
阿片の煙漂う豪奢な退廃美、という堪えられない設定である。宮沢りえは日本人ということはまったく関係ない役柄で台詞は吹き替えによるものなのでほぼその美貌を見せるための存在なのだが、元歌姫であり没落していく名家の第五夫人となった美女を演じている。
忘れようもないが超人気アイドルだった彼女が同じく超人気だった貴乃花と結婚するのかという大騒ぎになった後結婚が破棄になり、なんだかよく判らないが突然バッシングの嵐のようになってしまった。親がどうだとか将来太ってしまうに違いない、だとか今思うとなんだかよく判らないバッシングだった。
傷心のせいかふっくらしていた彼女が骨ばかりのように痩せてしまい、そのまま日本の芸能界からいなくなってしまった。
暫くしてこの映画に出てモスクワ国際映画祭で最優秀主演女優賞を受賞したという話で驚いてしまったものだ。
さらにその後日本映画界で大活躍することになるが、この映画を観ればさもありなん、という雰囲気に溢れている。
はじけるような元気に満ちていた彼女がここではもうしっとりとした悲しみを湛える女性に変化している。
人気絶頂だった歌姫が飾りにしか過ぎない第五夫人になり阿片漬けの夫からは見向きもされず(一人娘をもうけるが)若い第二執事に心寄せられ、若い芸人との密会が原因だったのかよく判らないが離縁され家を追い出されてしまう。
なんだか彼女自身の過去と結びつくような内容だがそれが為か宮沢りえの眼差しにすべてに疲れきってしまったような悲しみとあきらめのようなものが感じられる。台詞が吹き替えのため、彼女の表情や体からも漂ってくる寂しさがある。
無論これは彼女のわけありを知っているから考えてしまうこともあるだろうが、モスクワで主演女優賞を取ったのは伊達ではないだろう。

こうした旧中国社会から新しい社会へと移り変わるこの時代の雰囲気が好きなものには堪らない映画でもある。『お遊さま』と並べて観るのも楽しいことだろう。
作品としてはどちらも捨てがたい。ビアン的な見地からもどちらにもなかなか見せるものがあるので(同時にどちらにも悲しい部分があるので)甲乙つけがたい。
りえさん自身背は高いほうだがジョイ・ウォンはさらに高いので驚く。ジョイ・ウォンといえばそりゃ勿論『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』であるがあの時の彼女はほんとに愛らしいお嬢さんだったのだがここではすらりとした男前になっている。
彼女の側にいると宮沢りえは凄く華奢で淑やかで支えていないと折れそうな、という手弱女で可愛いったらない。
そういえば最近彼女の結婚の噂は中国でも騒がれていたようだが、やはりこの作品の影響なのだろうか。

なんだか噂話のほうが幅を利かせる感想文になってしまったが、この映画は筋書きだとか謎解きだとかいうようなカテゴリでないからかもしれない。
この映画はやっぱり観て感じるものである。この廃れゆく美しさの中に身をゆだねるべきものだろう。
りえを愛するジョイがこともあろうに浮気心を起こしてしまう美丈夫に呉彦祖(ヨン・ファン監督『美少年の恋』の)が扮し、美しく引き締まった肉体を惜しげもなく披露している。整った顔立ちに盛り上がる筋肉美に見惚れてしまうこと間違いなし。
そして彼の体に一時溺れたジョイがりえの元に戻ってほっとしたのだが、最後に彼女にもたれたりえはすでにこの世の人ではないのか。
美に酔いしれる作品である。

監督:楊凡ヨン・ファン 出演:宮沢りえ ジョイ・ウォン 呉彦祖
2000年中国


ラベル:同性愛
posted by フェイユイ at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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