映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年03月11日

『ブレイブ』ジョニー・デップ

THE BRAVE.jpg
THE BRAVE

ジョニー・デップが34歳の頃に監督した作品だということでも驚くがその内容がどうも一筋縄ではいかない不思議な味わいを持っている。

映画を観ているだけではジョニー・デップ演じるラファエルが車椅子に乗った謎の男と何の契約をしているのかよく判らない。
この年老いた男(なんとマーロン・ブランドだが)は貧しくて家族を救いたいが為に「仕事」を探しにきたラファエルに激しい苦痛を与えた後、殺害することを求めているのだ。
(『スナッフムービー」という殺人を撮影した映画を撮るためだという説明を後で知ったが映画の中では言われてなかったような)
とにかくラファエルは5万ドルという裕福な者からすれば大した金額でもない報酬を得る為に拷問の末殺される、という仕事を引き受けるのだ。
そして映画は依頼人がラファエルに与えてくれた3分の一の手付金で彼が使った1週間という猶予の出来事を映していくのだが、その貴重な金と時間を傍から見てる分には物凄く勿体無いことで浪費していくようにしか見えないのだ。
だがその中で今まで人生を台無しにしていたラファエルが家族の愛を知り幸せを感じていくことになる。契約を果す為に謎の男のもとへ行くラファエルはむしろ希望を持っているかのようにすら思えるのだ。

一体これはどういう物語なのだろう。こんなに悲しく空しい話なのにどこか酷く気になってしまう。単なる馬鹿馬鹿しい話だとは思えない。
これはもしかしたら『ファウスト』を下敷きにしているのではないだろうか。
そういえば謎の男はメフィストフェレスと同じく足が悪い。ひと時の幸せと引き換えに彼の肉体と共に魂までも奪おうとする悪魔。拷問の末殺害しようとするなどまさしく悪魔としか思えないではないか。
突然襲い掛かるなどということでなく契約をした上で、ラファエルが幸せだと感じて、契約を履行する、という筋書きは『ファウスト』そのものだ。

インディアンの血を引くと同時にドイツ人の血も併せ持つジョニー・デップがインディアンを主人公にしながら『ファウスト』をテーマにした、ということなのだろうか。

そのせいなのか、ありきたりのネイティブアメリカンの物語ではない微妙に不思議な感覚がある。
ラファエルはキリスト教神父に告白をし、スピリットと深いつながりを持つ父親にも会ってインディアンとしても目覚める。
妻子がどんなに自分を愛してくれていたかを感じ、彼らへの愛を感じながらラファエルは死へと向かうのだ。

と言ってもその最期は映されてはいないのだから彼がどうなったのかは判らない。
この部分で終わりにしたのはジョニーの主人公への幾ばくかの希望、願いがあったのではないだろうか。

無論この映画を理解するにはアメリカにおけるネイティブがどんなに迫害されているかをせめて想像する必要があるだろう。どんなに働きたくてもいい場所に住みたくてもかなえられないことへの怒りと苛立ちでラファエルのような若者がますます自分を追い詰めていってしまう現実があるに違いない。
悪魔との契約で魂を売ってしまう、そんなこともあるのだろう。
そしてまたラファエルという名前は大天使の一人の名前でもあり『癒しを司る』天使だという。ここにもジョニーの願いが込められているのではないだろうか。

監督:ジョニー・デップ 出演:ジョニー・デップ マーロン・ブランド エルピディア・カリロ マーシャル・ベル フレデリック・フォレスト
1997年 / アメリカ

理屈はどうでもとにかくジョニデがかっこいい〜!という見方もできる(笑)いやもう30代前半とも見えない若々しいジョニーなのである。
筋肉も盛り上がっていて何とも眩しく美しい。長い髪もバンダナも小汚ない格好すらも凄くかっこいいのだ。

それにしてもこの映画、俳優が第1作目に作ったものとは思えない。


ラベル:家族
posted by フェイユイ at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。