映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年04月02日

『ガッジョ・ディーロ』トニー・ガトリフ

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Gadjo Dilo

フランスの青年ステファンが亡き父の愛した歌手「ノラ・ルカ」を求めて旅をする。「ロマ」の歌手である彼女を探しにステファンは遠い道のりを歩いてロマの村を訪ねたのだが。

ルーマニアらしきロマ=ジプシーの住む村に入り込んだステファンは言葉も通じず『ガッジョ・ディーロ=愚かなよそ者』として嫌われ追い出されそうになるが彼を気に入った老人イジドールのとりなしで彼の家に滞在することになる。だがステファンの目的は歌姫ノラ・ルカを探し出会うこと。暫くして出て行こうとするステファンをイジドール老人は懸命に引きとめるのだった。

この映画の最大の魅力は何と言ってもこのイジドール老人で彼は全くの素人だということが信じられないほどいい顔で素晴らしい演技者である。バイオリンの名手で人懐こくて煩くて酒飲みで女好きで感情豊かなイジドールにステファンは振り回されながら惹かれていく。
そして実際に歌手であるというサビーナ役のローナ・ハートナー。エロチックなまでにセクシーな美貌。最初はステファンを嫌い荒っぽい性格なのだが次第に彼を好きになっていく。酒場で酔っ払ったステファンに歌を歌う場面がぞくりとするほど印象的だ。
ノラ・ルカを探しロマの歌をテープに録音していくステファン。ロマ語を解しないよそ者ながらロマの人々と音楽に魅了される。そしてサビーナを深く愛するようになる。
ロマを愛し理解したと思っていたステファンが最後に録音したテープを叩き壊し自分が『愚かなよそ者』だったと泣く。

先日『ジプシーキャラバン』を観てもっとロマに関する映画を観たくなって手にした。監督自身がロマである、ということもあるのだろう、淡々とした作品ながら何とも言えない深い味わいがある。音楽も踊りも情熱的で素晴らしい。
ここでもやはり自分達が常に泥棒といわれ差別を受けることへの怒りと悲しみが込められている。
「よそ者」と言われロマの人々の間を身を小さくして歩いていくステファンは彼らが受け続けた思いを僅かに体感したようなものだろう。
だからと言ってここでロマたちが善人ぞろいだとか美点ばかりを描いているわけでもなくイジドール自身が笑ってしまうほど欠点もさらけ出している。特に自分がもう死んでしまう身だからと言ってサビーナにまで「やらせてくれ」と頼む場面などはとんでもない爺様である。彼の息子も悲劇を迎えるが彼にもいけないものがあると表現されているのが辛い現実なのだろう。

ステファン役のロマン・デュリスがもじゃもじゃ頭でおかしな笑い方をするのも楽しい。
ステファンが感じたようにこのDVDを観ただけでロマを理解したわけではないが、彼と共にロマの村に紛れ込んだような不思議な体験を感じさせてもらった。

監督:トニー・ガトリフ 出演:ロマン・デュリス ローナ・ハートナー イジドール・サーバン
1997年 / フランス/ルーマニア


ラベル:音楽
posted by フェイユイ at 22:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
^^ぅわぁ嬉しい!私はロマン・デュリスがみたくてこの作品,つい一ヶ月程前観たのですよ!^^
“ロマ”という言葉も初めて知りました。とても荒削りな作品だけれど、特に私は冒頭の、デュリスが歩いてきて途方に暮れぐるぐると回転し始めるシーンが音楽も素敵で好きです。デュリスは実際にこの村のロマの女性(人妻・後にデュリスとは別れたそうですが)と恋に落ちたそうです。デュリスのもじゃもじゃアタマと笑顔が好き。変わったコですよね。注目してます。
イジドール役の彼のバイオリン素晴らしかった!本当にステファンと共にこの村に滞在したような不思議な感触の映画でしたね。
Posted by フラン at 2009年04月03日 20:19
私はここに書いてるとおり『ジプシーキャラバン』に触発されてもっと「ロマ」を描いた映画を観たくての選択だったのですが、希望以上の内容で満足しました。
フランス青年がロマの音楽を求めて行くという設定は共感しやすいですねー。
ロマン・デュリスは初めてだったのですがチャーミングですね。彼が主役だったから楽しめたんだろうなと思います。
Posted by フェイユイ at 2009年04月04日 00:33
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