映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年04月12日

『いのちの食べかた』ニコラウス・ゲイハルター

いのちの食べかた.jpg
Unser täglich Brot、 Our Daily Bread

日常私たちが食べている肉や野菜の生産現場を映しとったものであった。
インタビューや説明などは一切入らず、字幕なしの現場の音声のみのドキュメンタリー映画だ。

何と言っても圧巻なのは牛や豚、ニワトリの屠殺、解体作業だ。それらの作業の手際のよさには見入ってしまう。
こうした無駄のなさ、清潔感のある一部始終はドイツ近辺の場所だからなのだろうか、昔からドイツの刃物で解体作業をするのは切れ味が凄くて見事だと聞いてはいたが。
とはいえ、監督自身の別撮りのインタビューで「こういう現場を撮影するのは許可がおりない、と言われていた」のだそうで肉食の多い土地柄ゆえそういった仕事に対する差別意識は全くないのだそうだが、さすがに「動物の命を断つ」という行為にはなにがしかの困惑、同情、拒否感、見たくない、見せたくない、という意識が働くのは人間として当然だろう。
ここで監督が何故このドキュメンタリーを撮ったのか、何か問題(BSEだとか毒物混入だとか)があったためか、と聞かれ「そういうスキャンダルのせいではなくただ日常の食べ物に対して知りたい、と思ったのだ」という答えはなるほど、と思えた。
日本人でも魚をさばくことができなくなり、最初から切り身が売られている、という現状である。ましてや牛豚鶏などを解体できるかと言われたら腰が引けてしまうだろう。
果たしてこの工場で働けるだろうか。ここまでオートメーション化されてたらできるかも、初日はかなり震えそうだが。でも臭いが大変だろうし。あの声が我慢できるか。段々慣れてはいくだろうけど。血液、体液がどばああっと出るしね。やっぱり実際にならなければ判らない。

どうしても動物のほうが記憶に残っているが、ひよこたちなんてぽいぽい放り出されて詰め込まれて、子豚もなにやら痛そうなことをされてて、牛の帝王切開はさすがにびびった。種付け、横取りされて気の毒な。乳牛ほんとにおっぱい大きい。
牛は大きいから迫力あって屠殺も一発電気ショックかな。あっという間にのびて吊り上げられ革はがれて縦に切断。
豚や鶏は裸にされて逆さづりされてると人間のようにも見えておっかない。しかしどの作業もすばやい。きれい。あっという間である。後始末も高水圧で消毒。見事。

人によってはどうしても見れない、ということもあるだろうけど、これはやっぱり見る価値はあるんじゃないかな。
さっきまで鳴いてた牛豚鶏が一瞬で食肉になってしまう。そしてそれを私が食べている。
そういうことなのだな。

監督:ニコラウス・ゲイハルター


ラベル: 動物 人間
posted by フェイユイ at 21:54| Comment(2) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フェイユイさん見て下さってありがとう^^;というか評を読ませて貰いそれで十分です、という小心者です。この作品はドキュメンタリーですが同時期にみた『ファーストフードネイション』はある事実を基にフィクションも混ぜて作ったと思うのですが、衝撃的で映像がアタマにこびりついています。アメリカの屠殺工場現場が舞台ですがメキシコからの不法労働者達の辛い現実が主軸です。最後カタリナ・サンディノ・モレノの眼から溢れる涙が、哀しかった・・。フィクションとはいえ事実に基づいているのだから、その内容に慄然としました。人の命って、人生って、生き方って、果たして。。と考え込んでしまいました。
Posted by フラン at 2009年04月13日 20:44
フランさんが観た映画も気になります。
本作はまさにドイツ的、というのか清潔で論理的なものだったと思います。でもあんまりすばらしすぎて「世界中どの国もこんなにさっぱりとしてるとは思えないなあ」とは思いました(笑)
もっと泣きたくなる様な怖ろしい場所のほうがきっと多いに違いありません。そこを見るのはさすがに怖いですね。
Posted by フェイユイ at 2009年04月14日 01:00
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