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2009年04月22日

『闇の子供たち』阪本順治

闇のこどもたち.jpg

映画化するのが非常に難しい内容ながら役者と作り手の真摯な思いがこもった内容だった。
我が子を助ける為の臓器売買を希望する親と児童買春を映像として捉えなければならない。原作ではもっと生々しい描写だったがそれを映像化するのはかなりの苦渋だったのではないだろうか。子供を放り出す場面で明らかに力が抜けているのが見て取れるが当然のためらいだろう。
タイにおける児童の臓器売買と児童買春が絡み合っている事実が浮き彫りにされる。
理想に燃え先走りしてしまうNGOに属する若い女性は経験のなさから軽はずみな行動をとってしまうがその気持ちは真実であることを貫いていく。
臓器売買の秘密を暴こうとする新聞記者の隠された性癖が少年嗜好であるという事実。
児童買春と臓器売買に関わるタイの青年がかつては彼自身もそういう環境であったこと。
登場する人物の裏表を描き、タイの貧しい子供達の逃げ場のない運命を描いていく。
衝撃の内容に憤っても様々な事柄によって成り立つ状況を簡単に変えてしまうことは難しい。だがそれでも現実を知っていたい。
原作ではもっと児童買春の様子が描かれていて私が一番ショックだったのは一般的には男性の買春に怒りを覚えることが多いものだが、この作品の中では女性も少年を買い、ホルモン剤注射で無理矢理勃起させ性交を強要することだった。無論性器に注射することには激しい痛みがあり、数回の注射を繰り返したことで少年は死に到る。映画ではその場面がありはしたがよく伝わらない描写だったので女性も惨たらしい買春をしているとは受け取りにくかったのではないだろうか。

臓器にしろ性にしろ否応なく子供達の体を売買する仕組みがあることを見せ付けられる。
人格者であるように思えた主人公が実は児童買春をしていたという事実がこの物語をさらに苦いものにしている。

子供たちを運ぶ若い男が車の中で「タイガーマスク」のエンディングテーマをくちずさんでいた。
「ああ、だけどそんな僕でもあの子らは慕ってくれる」って。そりゃないだろうが、孤児のテーマソングなのである。
「強ければそれでいいんだ、ひねくれて星をにらんだ僕なのさ」
「温かいひとのなさけも知らずに育った」んだな、この人も。と思わせる場面だった。

監督:阪本順治 出演:江口洋介 宮崎あおい 妻夫木聡 佐藤浩市 鈴木砂羽 豊原功補 プラパトン・スワンバーン プライマー・ラッチャタ
2008年日本


ラベル:犯罪
posted by フェイユイ at 01:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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