映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年05月12日

『真珠の耳飾りの少女』ピーター・ウェーバー

Girl with a Pearl Earring.jpg
Girl with a Pearl Earring

昨日に引き続き(またまた偶然)画家映画。これもまたフェルメールの絵からイメージを膨らませて作られたお話、ということですな。あの一番有名な『牛乳を注ぐ女』ではないというのはやはり少女の方が話が作りやすいからであろうか。もう一人の太った使用人女性がこちらのモデルではなかろうか。

冗談はさておき、映像美としては最高の出来栄えである。何と言っても『真珠の耳飾りの少女』であるグリートを演じたスカーレットのアップが殆ど占めているような映画なのに幾ら観てても見飽きない美しさである。女性のチャームポイントである髪をすっぽりと覆い隠し殆ど化粧もしていないようなのに(髪で殆ど顔が見えず目の周りが真っ黒な少女だちとは大違いだな、いやそちらがどうとは言わないが)表情もあまり変わらないような感じで笑顔も少ないのに真っ白な素顔と透き通るような眼差し、ふっくらとした唇に目が奪われて他のことはどうでもいいような気持ちになってしまう。おまけにこれもしっかり覆い隠してはいるのだがほっそりとしているのに胸がはちきれそうに膨らんでいて男だったらのぼせてしまいそうな若い魅力に溢れている。とにかくスカーレット・ヨハンソンを堪能する為の映画と言っていいのではないだろうか。
では他の要素、例えば物語はというとあまりに通俗的に過ぎるのではなかろうか。別にあっと驚かせるのだけがいい作品ではないが、入り婿(らしい)で義母が圧倒的権力を持っていて嫁にも頭が上がらず絵画以外にはまったく無能のようだとか、パトロンに牛耳られているとか、モデルの少女が新入りの使用人で娘や妻から激しい嫉妬を買うとか、パトロンの男が少女に言い寄ってくるだとかいかにもありそうなメロドラマ風でいただけない。『必殺仕事人』みたいにすっかり嫁姑に首根っこ押さえられているフェルメールのいつもぎゅっと口を結んで我慢してるのだとかがどうも情けないし、彼の人格というものが掴めない。
また(それが目的で観たとは言え)その男をコリン・ファースが演っているというのもハンサムすぎて納得できないのである(どうも画家はある程度不細工でないとしっくりこない。その点、昨日のゴヤは満点だった)
グリートがせっせと働く場面、フェルメールに顔料や絵画の技法について学ぶ場面は申し分なく楽しい。それだけにそれらを形作る物語が物足りないのである。その辺、先日観た『敬愛なるベートーヴェン』に似ている。
ただ『真珠の耳飾りの少女』を映像化するために彼女の純潔な美しさを壊すまいとパトロンの男から危うい所で助かったり、フェルメールとも肉体関係を持たせないという配慮がされているように感じてしまう。
それは全く成功しているわけだが、物語に驚きを求めてしまう自分としては物足りない作品になってしまった。

とはいえ、本当に美しい映像であることは確かだ。(物語は醜いと思うが)
昨日と同じ画家映画だが昨日のゴヤが簡単なスケッチから創造した歴史ロマンだったのにこちらは有名な一枚の絵画から極めて狭い家族内の物語になっていること、あちらのヒロインが心も体も破壊されたのにこちらの少女はその凛とした美を全うしたことなどの違いが面白い。
私はやっぱり醜さも美も吐き出したような『宮廷画家ゴヤは見た』に惹かれてしまうが。

フェルメールは好きです。ゴヤとは違いすぎて比べられませんね。

あ、この映画で一番好きなキャラクターはゴッドマザー的存在のフェルメールの義母さまだ。
被り物のせいで悪魔のようにも見える凄い迫力の方。財政難で金が欲しいために婿が娘以外の女(しかも少女)に近づく手伝いをするしたたかさ。孫娘といえど盗みをすれば罰を下す正義派でもある。

この少女の絵より『牛乳を注ぐ女』の方に際立って使われてうる深い青。映画の中でもウルトラマリンとして登場したがこの顔料が「ラピスラズリ」という高価な鉱石から取れるということでパワーストーンとして美肌効果があるらしい^^;心を浄化するとも。なるほどそういう色に感じられますね。


監督:ピーター・ウェーバー 出演:コリン・ファース スカーレット・ヨハンソン キリアン・マーフィ 
2003年イギリス・ルクセンブルグ


ラベル:美術
posted by フェイユイ at 23:20| Comment(2) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
キリアンみたさにだいぶ前に鑑賞。お話は面白くないしヨハンセンにもコリン・ファースにも特別興味ないので(すいません^^;)ひたすらチョイ出のキリアン観てました。私はフェルメールの奥さんが嫉妬する醜いさまが印象的でしたよ。
画家もの・・今日ちょうど『ミス・ポター』みました。ユアン・マクレガーが心に残りました。
Posted by フラン at 2009年05月14日 21:02
結構評価高かったような気がするんですが。つまらなかったですね。

フェルメールがこういうじめっとした人だった、とは考えたくない(笑)天才はもっと変な人がいいです^^;これも偏見かな。

マクレガーよかったですか。ウーム、観ようかな。ピーター大好きだし(笑)
Posted by フェイユイ at 2009年05月15日 00:13
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