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2009年05月19日

『バレエ・カンパニー』ロバート・アルトマン

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THE COMPANY

『バレエ・カンパニー』という素っ気無いタイトルだったからいつものバレエ・ドキュメンタリーだとばかり思っていたらマルコム・マクダウェルが監督として登するストーリー映画だった。とはいえ殆どドキュメンタリーと思えてしまうようなタッチで撮られた作品だ。
ストーリーというほどには筋書きもなく現実に起きていることを撮っていってるかのように見えてくるのが面白い味だ。
とりあえず、ネーヴ・キャンベル演じるライというダンサーが主人公なのだが、彼女だけに焦点を当てているのではない群像劇になっている。

前回のバレエ・ドキュメンタリーの時に書いたが、私は本番以上に練習風景が好きだし、かといって舞台も見たいし、という感じなのでこの作品はそういった要求をかなり満たしてくれるものだった。
ドキュメンタリーではないからそういう欲張りの為の色々な演出であるのだろうか。
悪ガキのイメージのマルコム・マクダウェルがすっかりお爺ちゃんなのだが、あの個性的な鼻と目は健在で厳しくダンサー達を叱り飛ばしているのがなんとなくおかしい。
いつも目立つ黄色のマフラーを巻いて「これは60年代を表しているんだ。技術じゃなく精神を見せてくれ」なんていうのは誰かを真似しているのかな。(ミスターAだからアルトマンかもしれないし、バランシンのミスターBをもじった)
何度も違う要求をしてさすがにダンサーが怒り出してしまうとか、演出家に釘をさすとか、ダンサー達が余興で彼の真似をして大笑いするだとかバレエ団の中ではこんなことが繰り返されているのだろう。

練習風景も興味深かったし、コンテンポラリーのカンパニーなので演目にも惹き付けられる。
嵐の中の野外劇場のバレエはさすがに演出でなければ撮れないものだろう。濡れた舞台で踊るのは怖いので止めたほうがいいけど、確かにこんな嵐の中のバレエを見たら忘れられない。
そして最後の『青い蛇』日本人なら見た事ある(っていうか中国風)蛇踊り。私は長崎で幼稚園児たちが一所懸命蛇踊りするのを見て感動した(あんな小さいのに健気な!上手いけどちょっと胸が痛んだ)けど蛇踊りは楽しい。
巨人の口に食べられてしまうダンサー達。変なイソギンチャクみたいなのとか動きが凄く面白い。ライが踊る頭に風船が浮いているのは特に可愛かった。
彼女が転んでしまう、というラストはちょっとびっくりだったけど確かにダンサーはいつも怪我と隣り合わせ。アキレス腱を切ったり、首を痛めてたりいつ駄目になってしまうか、判らない危険性と戦いながら踊っているのだよね。
ダンサー達もいつもは夜遊びしたり、恋をしたり。そしてカンパニーでは怒られたり、役を降ろされたり。
バレエを愛する気持ちと苦悩の間で踊り続ける。

創作とドキュメンタリーを混ぜたような作品で私はとても好きだった。

監督:ロバート・アルトマン 出演:ネーブ・キャンベル マルコム・マクダウェル ジェームズ・フランコ バーバラ・ロバートソン スージー・キューザック
2003年 / アメリカ


ラベル:バレエ
posted by フェイユイ at 23:07| Comment(2) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これは観たいぜったい観たいです。
自分が趣味で下手糞な踊りを踊っているというのもあるんですがマクダウェルが好きなんで。
近年の彼は観てないけれど、昔はあまりタイプの映画でなくとも彼が出ているだけで見に行ったりしたのでした。今はだいぶいい爺さんになってるんでしょうが。

ベンの「ブライトスター」続報ですが、さすがに演技力は確かなのでそこらへんの評価は
あるようです。
キーツの伝記を読んだら映画としてベンの演技として観たいエピソードが色々あったんですがそのへんが内容に使われていないのが残念に思います。

完全版を自分の目で見ない限り実際の判断は下せないですけどね。
Posted by ふぇでり子 at 2009年05月20日 01:05
わあ。いいですねえ。私は踊りは憧れですがまったくしたことがありません。観るのだけは大好きですが。

マルコムは私も最近全然観てませんでしたが大好きなんですよー。

『ブライトスター』どんな映画なのか、やっぱり観て確かめたいですね。
キーツ、名前くらいしか知らないので^^;私も少し何か読んでみよう(笑)
Posted by フェイユイ at 2009年05月21日 00:47
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