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2009年05月21日

『ウェールズの山』クリストファー・マンガー

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THE ENGLISHMAN WHO WENT UP A HILL BUT CAME DOWN A MOUNTAIN

90分ちょっとの短めの作品だが話自体は面白昔話ていう感じのコラムくらいの分量だと思うのにそれをこの長さに引き伸ばしてしまい尚且つ結構楽しく観せてしまうのが凄い。

こういう風に山を高くしてしまう、というのは案外世界中あちこちにお伽話とかではあるのではなかろうか。
うっすらとした記憶なんだけど教科書である男の夢に山の女神様みたいなのが出てきて「隣の山より高くなりたいから石を積み上げて欲しい」とか言われてしまいその願いをかなえる、とかいう物語があったような気がする。
ここでは隣の山というのではなくイギリス人の基準で305メートル以下は丘とされてしまうと言われたことに始まる。
ウェールズの村人が誇りにしている山がイギリス人の測量で299メートルと判り「丘」として地図に載ることに対しウェールズ人としての誇りを傷つけられたくないという傍から見たらおかしいようなこだわりと頑固さで村中の人々がふもとから土を運んで盛り上げてしまった、という実話なのが恐れ入る。
戦争中のことで青年男子がいない中、年寄りと子供と女たちで土を運んでいったわけである。作品中皆が口々に言うようにイギリス人に馬鹿にされたくないという意地がそうさせたのだ。82歳の牧師はホントにこれで5.6回往復して死んでしまったのだろうか。彼の場合は神の声も感じていたわけで殉死といえる。牧師は皆が盛り上げた土の中で眠るのである。

さてこのとんでもない企みの言いだしっぺが「好色モーガン」と皆から呼ばれ牧師からは特に睨まれている男で彼は村のあちこちで女性と関係して子供を産ませている酒場兼宿屋の主人でコルム・ミーニーが演じている。お馴染みの顔だ。
測量士の一人がヒュー・グラントでイギリスから来た紳士という役柄でもう一人の依怙地で少々怒りっぽい性格のカラードとは違い、この村に好意的なのである。
ミス・エリザベスと結婚することになったのは実話の一部なのだろうか。いくらなんでも違うと思うが本当だったらこれも凄い。

最後にその当時土を運んだというご老人方が山の上に整列。
昔の人は何でも力を合わせて偉いなあと思っていたら、映画撮影時に計測したらまた山が低くなってしまってて、盛り土の上で眠る牧師の怒りの声が響く。そこで今の村人たちがせっせと土を運ぶ所で終わるということで拍手喝采となるのだろう。
歴史、ウェールズ人のイギリスに対する気持ち、戦争、石炭労働者の過酷さなども織り交ぜられて独特のちょいと湿気のあるユーモアも楽しめる作品だった。

監督:クリストファー・マンガー 出演:コルム・ミーニー ヒュー・グラント タラ・フィッツジェラルド イアン・マクニース イアン・ハート
1995年 / イギリス


ラベル:歴史
posted by フェイユイ at 22:34| Comment(0) | TrackBack(1) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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ウェールズの山
Excerpt: ウェールズの山
Weblog: 忍者大好きいななさむ書房
Tracked: 2009-06-21 21:23
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