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2009年06月02日

田宮二郎『白い巨塔』<1978年版>第5・6・7話

上がったかと思えば落ち込み、また浮上し、の繰り返しで胃が痛くなってきてしまうがそこが面白いとこなんだなあ。

同じ病院内にいながら財前という地位を狙う野望の男と里見という医者の鑑の如き男が対照的に描かれていくのだが、大概のドラマでは里見のほうが主人公になる(と思うのだが)悪役ともいえる権力の欲望にとり憑かれた男が主役になることで社会の仕組みがどんな風になっているのかが見えてくるのだから面白い。
財前だけでなくどの登場人物も含みがあって興味深いのが観ていて飽きない要素なのだろう。
結構登場時間が長いのは財前の敵と言える東教授で彼はよくある権威の権化のような存在ではない。むしろあまりにもスタンドプレイが目立ちすぎる財前が病院にとってよくないのではという考えもあってただ単に身内だとかじゃなく研究熱心な人物を推薦しようと思っているのだし、財前に対して卑劣な行動をとっているわけでもないのだが、やはり観る者は主人公に肩入れするものだから自然嫌な奴に見えてくる。元々金持ちで家柄もいいお坊ちゃんだから下品な財前の言動に嫌悪感を持っただけでもしかしたらこの物語が始まる前に財前はもうすでに助教授で腕前もあるのだからもう少し謙虚であったら気に入ってもらえたかもしれない、と思うのだがどうだろう。ただしそれではこの物語が成立しなくなってしまうが、本作以前の部分が大切だったはずなんだがなあ。
一番腹の立つキャラクターはその東教授夫人だ。夫を見ればどんな役職についたか、財前がどんなに嫌なやつか、娘に対しても見栄や世間体の話ばかり、菊川教授への話も失礼としか思えない内容だがどういうわけか夫の東教授はやんわりとなだめるだけで夫人を頭ごなしに怒ったりもしないし、一人娘を可愛がって変な策略結婚なんかを考えたりしないのもいい夫いいお父さんのようである。
敵役にしてはいい人だなあと思ってしまうのだ。

面白いのは財前義パパでこの物語はある意味財前義パパの出世物語でもあるわけで自分は開業医にしかなれなかった(と彼が言っている)為に才能ある娘婿を何とか自分の願望である大学教授にして財前家の格を上げようと一念発起しているわけである。
その為には娘すら犠牲にしてもいい、というほどである。彼が可愛いのは彼の願いをかなえる五郎その人だけなのだ。
それにしても東教授を説得させてもう寸前まで五郎を教授にできそうだったのに東教授が酒の席に戻っていく場面は縮みあがってしまった。いやあ心臓に悪い。財前義パパ、岩田さんという人たちは頼りになるんだかならないんだかよく判んないが愛すべきキャラクターだ。問題を起こすためにいるようなもんだ。

やたら善人の里見兄弟にぞっこんの東教授の娘。煩くてはったおしやくなる東夫人。財前にいつも厳しいケイ子、と女性陣もなかなか面白い。
東教授後継者を全国から公募することになりその結果も一ヶ月後ということでなかなか先は長そうだ。
財前さんの手術シーンもぱたりとなくなってしまったが、こんな画策ばかりに手間をとってるんじゃ確かにオペしてる時間もない。
やっぱ菊川さんにしたほうがいいのかも?

このドラマってやはり昭和と平成では観る者の受け止め方も違うのだろうなあ。今、財前のようにあくせくしたくない、と思う方が多いのではないだろうか。



posted by フェイユイ at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 白い巨塔<1978年版> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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