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2009年06月15日

『ニクソン』オリバー・ストーン

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NIXON

えと、もう『ブッシュ』は日本で公開されたんだよね。なのに私は今頃『ニクソン』を初めて観ているというわけなのだが。

『ブッシュ』も楽しい映画ではないだろうが、『ニクソン』なんだかなあ、判って観ているのに言うのもおかしいがこんなに嫌〜な気持ちになる映画を3時間以上も見つめ続けるのは辛いことである。
恥ずかしながら私は若い人でもないのにニクソンのことを全く知らなくてこの映画でやっとこういう人だったのか、と思った程度の人間なのだが(O・ストーン監督から騙されていたらどうしようもない)とにかくこの映画で描かれるニクソンというアメリカ大統領の惨めさだけが伝わってくるのだった。
ホプキンスの演じるニクソンの醜悪さ。対比として登場するジョン・F・ケネディがカッコよすぎてかわいそうなくらいだが、同情心は微塵も感じない。
物凄く陰湿な表情をしているかと思えばいきなり歯を見せてニカッと笑うのだが、これがあまりに不細工でよくここまでむかつく笑顔ができるものだと(ホプキンスに)感心してしまう。
演説をする時はいつも鼻の下に汗をかいててみっともないし、追い詰められて機嫌が悪くなると周囲の人と物に当たり散らすという徹底した不様である。
ウォーターゲート事件の隠蔽および不法な資金融資、部下への心ない仕打ちなどを見せつけられた後で「私は戦争を終わらせ、中ソの外交を成功させた。私のどこが悪い。私を何故嫌うんだ」と言ってめそめそ泣きだす場面はもう憐れとは思えず腹がたってくるのだからオリバー・ストーン監督の絞り上げ方の徹底ぶりといったら相当なものである。

彼は本気で自分を正しいと思っていたのか。あの時妻の言葉通り政治界から身を引いていればこんな残酷な日々を送ることもなかったろうが、政治家を目指すものはやはり頂点に立つ機会があるならそれを蹴ってしまうことはできないものなのか。
宗教的な意味合いで自分が犠牲となって進みたくない道でも進まねばならないのだと思いこもうとしたのか。
では何故不正を犯してしまうのか、何故誰も信じることができず、憎しみだけが彼を取り巻いているのか。
頂点に立ちながらこんなに惨めな存在が他にもあるのだろうか。それとも多かれ少なかれそういうものなのか。

観ながら何故か私としては好きになれなかったバットマンシリーズ『ダークナイト』を思い出した。何故なんだろう。

監督:オリバー・ストーン 出演:アンソニー・ホプキンス ジョーン・アレン パワーズ・ブース エド・ハリス
1995年 / アメリカ


ラベル:政治 歴史
posted by フェイユイ at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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