映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年07月28日

『世にも怪奇な物語』

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HISTOIRES EXTRAORDINARIES / Tre passi nel delirio

凄!
エドガー・アラン・ポー原作の3つのオムニバス映画だが3作とも滅茶苦茶に面白くしかも最後のフェリーニはとんでもない暴走的面白さで他を圧倒している。
他の二監督ロジェ・バディム、ルイ・マルも名監督という誇りがあるだろうに、いくらなんでもこのフェリーニと比較されるのは気の毒というものである。
そう思ってしまうほどフェリーニが凄すぎる。順番がこれでよかった。逆だったらあまりにも悲しい。
とはいえ本当に他作品も面白いのだよ。

T「黒馬の哭く館」
エロチックホラーと言うべきなのだろうか。とにかくジェーン・フォンダ演じる富裕な伯爵令嬢の装いがエロチック過ぎて衝撃なのだ。とはいえやはり時代が変わったせいなのか、それともやはり秀逸なデザインであるせいか、見惚れてしまうのだ。
J・フォンダもまだセクシーである時の彼女で(後ではすっかりイメージが変わってしまったものね)豊かなブロンドヘアー、気の強い美貌、切れのあるプロポーションもこの上ない女性的な魅力に溢れている。時代設定はいつなのか判らないが完全に60〜70年代ファッションがかっこよくジェーンの化粧やら奇抜にエロなコスチュームにくぎ付けなのだ。このファッションショーを観るだけでも十分な価値がある。
物語は莫大な財産を受け継いだ伯爵令嬢フレデリックがその高慢さと身勝手な性格・性癖のまま自由奔放に自堕落な贅沢を享楽していたが、すぐそばに住む厳格な性格の従兄弟・ウィルヘルムに突然胸騒ぎを感じてしまう。それが彼女にとって何なのかよく判らないうちに、傲慢な彼女は彼女に反抗するただ一人の存在の従兄弟ウィルヘルムが何より大切にしている馬がいる厩に放火させる。
ウィルヘルムは愛する馬を救おうとして命を落としてしまうのだ。
フレデリックは彼が残した気の荒い黒馬に毎日乗り続ける。
そしてある日馬とともに燃え盛る火の中へと身を投じてしまうのだ。

彼女が気づかぬまま恋する従兄弟を実の弟ピーター・フォンダが演じているというのも倒錯しているというべきか。
まあ別に何事もなかったのだからその辺りの遊びの欲求はなかったのだろうがヴァディム監督の妻であったジェーンの色香そのものがこの映画の見どころなのだろう。
ジェーンの髪型がすてき。どうしても『ルパン3世』の最初の頃を思い出してしまうわ(私のルパンは一番最初のアニメの幾つかだけ)

とにかくこんな風でこの作品一つなら滅茶苦茶秀逸の作品なのだ。

監督:ロジェ・ヴァディム 出演:ジェーン・フォンダ ピーター・フォンダ

U「影を殺した男」
3作品で最もストーリーが判りやすく面白い。というのはこの場合特に賛辞じゃないかもしれないが。
非常にサディステッィクでありながらいつも人を惹きつけている男、という役柄がアラン・ドロンにはぴったりなのだろう。
悪辣な男が最後の一線を越えようとする時、何故かいつも現れるもう一人の自分。
彼を殺すのは自分を殺すのと同じこと。美しいが異常なサディズムを持つ彼自身が生んだブレーキのようなものだったのかもしれないがまた彼自身の手によってそれを破壊してしまう。一見自己破滅のようでいて最後に自分を守ったのかもしれない。

私的にはアラン・ドロンより彼と対決しようとしたブリジッド・バルドーのあの目がたまらなく好き。
「負けたら俺のいいなりになれ」と言って鞭打ちが目的だったとは。確かにこの男、二人きりだと全然駄目で人前でサディズムを発揮するのが喜びだったのかも。
勝ち続ける彼女も素敵だったがゲームに負けて鞭打たれるブリジッドもエロチックでかなり危険な趣味に傾いている作品である。いきなり若い娘を解剖しようとして腹を刺しているのにお咎めなし?
今からミサだと言ってるのに神父さんに無理やり懺悔して長話というのもはらはらさせるが(それはしないのか?普通)教徒でもないのにいきなりこんな告白されちゃ神父も困惑だ。
私がドロンファンだったらも少し見惚れたろうがどうもドロンはなあ・・^^;
バルドーが出てきたことで評価アップ。
ルイ・マルなので子供時代の映像が秀逸。ドロン役の子もいい。
この時はもう一人のウィルソンは顔を出しているのだよね。
短編ならではの面白さでもある。

監督:ルイ・マル 出演:アラン・ドロン ブリジッド・バルドー

V「悪魔の首飾り」
これは一体どう賛辞したらいいのか、説明していけるのか、途方もなくぶっ飛んだ作品である。一場面一場面にぎょっとしてしまう。
それにもましてテレンス・スタンプの壮絶な美貌とこのダメージの表現はなんといっていいのか。
イギリスの人気俳優がイタリアに招待されキリストが絡んだ西部劇の主役に抜擢され、映画人の授賞式に呼ばれる、という物語なのだが、一体どこまでがテレンス自身を意味しているんだろう。
そしてこのアルコール中毒者になりきった憐れに切ない姿は一体演技なのか、と思ってしまうほどやつれきっている。そしてそれなのに妖しいまでの子の美貌。青ざめた顔の痛々しい美しさ。男も女も夢中になるという設定そのものに魅力的なセクシーさ危うさは他の誰にも変えられない。
そしてそしてまたそんなテレンスをさらに引き立てるフェリーニの不思議な世界はローマそのものなのか彼の作り上げた世界なのか。
ローマのTV局に招からテレンスが「これは真面目なのか」とつぶやくのがおかしい。フェリーニ描くローマの人々は騒々しくて艶めかしく混沌としている。
それらが現実なのかテレンスの酔いしれた頭が生み出した幻影なのか判らなくなっていく面白さ。
際どいまでのへんてこな男たち豊満な色気の女たち。
アル中のテレンスはますます青ざめ酔いどれていく。
テレンスの頭の中は幻想を生み出していくのだがその中でも最も恐ろしのがボールで遊ぶ白い服の少女。テレンスはどうやらこの少女にエロチックな感情を持っているようだが少女は綺麗な髪の隙間からテレンスを笑って見ているのだ。

どうやらこの3部作はエドガー・アラン・ポー原作という以外にもう一人の自分が自分を見つめている、というものでもあるのだろうか。
少女はそれまで抱いていた白いボールの代わりに死んだテレンスの首を抱きあげるというのが不気味である。少女が面白い遊び道具を手に入れたのだ。
今やっとその魅力に気付いて夢中になっているテレンス・スタンプ。『コレクター』もちらりと観たのだが私としてはこの時のテレンスはそれほどカッコよくないのだ。無論役柄としてかっこよくしてないのでもあるだろうが。
2年後の本作の彼には凄まじいほどの美貌を感じるしさらに数年後の『ランボー』の彼はもっと綺麗だった。年齢を重ねるほど魅力的になるタイプの人なのかもしれない。結局彼を好きになったのは60歳になった彼だったんだもんね。

フェラーリの暴走シーン、たまんないものがある。
それにしてもイタリア・ローマってこんなにクレイジーな場所なのかなあ。

監督:フェデリコ・フェリーニ 出演:テレンス・スタンプ

1967年フランス/イタリア


posted by フェイユイ at 01:02| Comment(4) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
dvdレヴューなどでよく、最後のフェリーニのが見所で、前のニ編は凡作という書かれ方をされているのを見かけますが先のニ編だって決して悪くないんですよね。

私の感想も大体フェイユイさまと同じ、セクシー路線頃のジェーン・フォンダの白と黒を使った現代的で大胆な衣装が古城とブロンドの髪によく合っていて素敵。
この作品の古典的な怪奇ロマンの感じが結構好きです。
ドロンのはドロンより黒髪にして猫科の目のようなアイラインのバルドーがやはり良いですね。

少女の姿をした甘美な死という悪魔に魅入られた役者を演じたテレンス・スタンプのは、もう好きでたまらない。パーフェクト。
私はストーリーがどうのというより観ている間その世界に酔い痴れていられる、そういう映画、そういう役者が好きでならないです。
Posted by ふぇでり子 at 2009年07月28日 20:58
3作品とも楽しかったです!
でもホントにフェリーニのは凄い!
テレンスのアル中ぶりがホントに気分悪そうでどうにかなるんでは、と心配してしまうくらい。
少女の姿をした悪魔、なんですね。これは怖かった。作品の隅々までイマジネーションがくっきりと明確ですばらしい!!!
もちろんふぇでり子(さんの)フェリーニですよね(笑)

私も酔い痴れました。
Posted by フェイユイ at 2009年07月29日 00:32
3話あると各人見所様々、でしょうね。私の場合はとにかく“ちらっ”としか出てこないが魅惑の◎ピーター・フォンダ◎に尽きます!子供の頃、田淵由美子という漫画家さんが「フランス窓便り」かなんかの中で“ピーター・フォンダ、ピーター・フォンダ”と理想の男性として連呼してらして、一体どんなヒトなんだろうと気にしつつ大分後年この作品でお目にかかれたわけですが・・タイプとして私はとても好きです〜。美しくも憂いある瞳。ジェーンは官能的とかセクシーとかすいませんが何故か私は全然思えないのです。彼女は面差し父のヘンリーにそっくりですね。『ジュリア』での役の方が自身の内面とも呼応し色っぽいと感じます。
テレンス・スタンプの部は、いかにもフェリーニの香りふんぷんとむせ返って。テレンスの青白いお顔の額に滲む汗・・息苦しくなるほど^^;辛そうで。。^^;あいやそれだけの作品ではないか・耽美に浸る作品。。?テレンス・スタンプ氏って瞳が寂しげで暗いですけど、普段もそうなのかな・・と考えてしまいます。不思議なお人です。^^
Posted by フラン at 2009年07月29日 22:17
ピーター・フォンダ、最初わかんなくて。このかっこいい人誰だ?って(笑)好みっていうのではないですが^^;これの時、ほんとに美男子ですよね。
テレンス・スタンプを見続ける機会になった『イギリスから来た男』で共演してたのですよねー。田淵さん、見られたでしょうか?(笑)
ジェーンはまあセクシーというか(うん?書いてましたっけ・笑)ファッション・ヘアスタイルに見とれて。いやあ、素敵だと思いましたけどね。この頃はまだ「本物以前のジェーン・フォンダ」って感じでヴァディム監督のイメージなのでしょー。私も昔観たきりですが『ジュリア』好きでした。もう一度観てみたいのですが。

テレンス・スタンプはもう物凄い!!!普段の彼ってどんななんでしょうか?
実際の彼は薬中毒だったと聞きましたが。危ない匂いが魅力的です。
Posted by フェイユイ at 2009年07月30日 11:33
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