映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年07月31日

『センターステージ』ニコラス・ハイトナー

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CENTER STAGE

物語自体はこういうダンサーを夢見る学生たちの群像劇によくあるタイプのもので芸術的とかではなくむしろ他愛もないといっていものかもしれないのだが、何故だかとてもすっかり楽しんで観てしまった。
それは登場人物が皆完璧ではなく、しかもとても愛すべき性格を持っていたからなんだろうか。
冒頭、ダンサーたちがトウシューズを傷めつけたりするのが私みたいなミーハーファンは憧れだったりする。傷だらけの足指を保護したり、シューズを自分の足に合うように工夫したり底をひっかいたりあげくは焼いたりはがしたり。そうやって履くとまるで妖精のようにつま先で立つあの美しいシルエットライン。うっとりとしてしまうではないか。

主人公・ジョディは可愛いけど脚の形が悪く(自分としてはどこが?って感じだが^^;)バレエの基本動作である脚を開くことができないという致命傷を持っている。おやおやどこかで聞いたような設定だがやはりこういう欠陥(あくまでバレリーナとして!)を持った主人公というのは観る者の共感を呼ぶのだ。憧れのバレエ学校「ABA」のオーディションに合格したものの常に体型と動きを注意されっぱなしで落ち込んでしまう^^;影練をすれば足は血まみれ豆だらけになってしまうのだ。
そんなジョディを励ましてくれるのがプエルトリコ少女のエヴァ。気が強すぎていつも教師には睨まれ誰とでも衝突しっぱなし。そんなエヴァの口の悪さは自分を固くガードする為の強がりだったのだが。
もうエヴァが可愛くてねえ。ジョディよりやっぱりエヴァでしょ。ダンサーとしては理想的な細さと手足(って書くけど腕脚だよね)の長さ。もっとエヴァを見たかったなあ。
つまりこれって山岸凉子『テレプシコーラ』で言えば六花ちゃんと空美ちゃんみたいだもんね。漫画では反目してるが、っていうか空美が勝手に。

夢に観たバレエ学校の厳しさ、上手くなれないジレンマ、世界一のダンサーの恋人になれたと思ったら彼にとっては遊びだったショック。ジョディはつまづいては踏ん張り突き落とされては這い上がり泣いたり傷ついたりしながら自分の中のダンサーの才能を見つけ出し成長していく。
スタンダードではあるだろうが、ダンスシーンがたっぷり間間に盛り込まれとても判り易く楽しめるバレエ映画なのではないだろうか。
多分きちんとバレエができる人、そして本物のダンサーたちも多く参加しているのが飽きさせず、堪能させてくれる。
最後にきちっとワークショップで成果を見せてくれるのも嬉しいし、なによりバレエの練習風景が好きな自分には物語とダンスシーン、練習シーンがこんなに上手く混ぜ込まれているのは何より御馳走なのである。
ハンサムな世界一ダンサー・クーパーも完璧じゃないのも却ってよかった。クーパーを演じているのは実際にプリンシルダンサーのイーサン・スティーフェル。そして彼とジョディをとりあう優等生チャーリーはサシャ・ラデツキー。さすがにこの二人の役は本物じゃないと無理だろう。二人がバレエで競いあう場面で、カメラがぐーっと後ろに引くのが突然他のカメラ位置と違っておかしい。物凄く飛ぶので最初っから引いとかないとね。
 
最初いがみ合っていたモーリーンとエヴァが仲良くなるのもお決まりで嬉しいが、私なんかモーリーンは勿体ない。やっぱ少しだけ休んで気が収まったらもう一度やり直したがいいよーなんておせっかいに思ってしまうのだが。

極端なドロドロシーンだとか、腹の立つような出来事もなく大怪我で再起不能なんてこともなかったのでとても気持ちよく観終えることができた。「ドラッグ」だとかも出てこないし。
大人の雰囲気を求める人には向かないかもしれないが爽やかな若者たちのひたむきさに(とそれを愛しているのだろう監督の思い入れにも)暫し見入ってしまった。愛すべき作品である。

監督:ニコラス・ハイトナー 出演:アマンダ・シェル、ゾーイ・ザルダナ、スーザン・メイ・プラット、イーサン・スティーフェル、サシャ・ラデツキー、イリア・クリック、シャキーム・エヴァンズ、ピーター・ギャラガー
2000年アメリカ


ラベル:バレエ 青春
posted by フェイユイ at 23:09| Comment(8) | TrackBack(1) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今日私はバレエのレッスン日でした。
昔は生まれ変わったらバレリーナの人生を希望したいと思っていたけれど、実際始めてみたら自分にはあと100回位生まれ変わらないと無理だ、という事がよーーく分りました(泣)
Posted by ふぇでり子 at 2009年08月01日 19:26
ふぇでり子さん、バレエされてるんですねええ!!!!!!羨ましいいいい!!!!
私も時間と行ける範囲内に教室があれば後お金と美しい脚が(笑)
いえいえ、本気でやれたらなあ、といつも思ってます。
バレエは男子もいいですが女性のあのひっつめ髪とそのせいで余計細長く見える首しゃんとした姿勢の美しさにため息なのですよねえ。
ギエム、などとは申しません。バレエ教室に通う生徒の清々しい美しさに憧れる私です。
Posted by フェイユイ at 2009年08月01日 23:36
このような映画があるとは知りませんでした。

私も私も!生まれ変わったら、バレエ人生とはいかなくっても、バレエの人になりたいですー絶対!ギエム、本当に憧れです。最近読んだ彼女のインタビューでさらに刺激されました。彼女の発言、なんだかベンと似てるのです。

人に感動を与える人って同じ哲学を持っているんだなーと実感しました。そう、バレエをやってる人って、姿勢、体が語ってるっていう感じが素敵ですよね。
Posted by はーや at 2009年08月02日 07:37
生まれ変わってもバレリーナは無理だと思いましたが、小さい頃からバレエを習える環境には生まれたいです。レッスンはハードで大人になってから始めた私はいつも前半で体力が尽きております・・・。

ギエムもそうですし素晴らしいバレリーナは沢山いらして皆溜め息物です。
ベンは踊り関連にもかなり興味を持っているようですがどんなアンサーを観たりしているのかな。
全然関係ない話ですけど男性バレエダンサーで姿の美しい人ってたいていゲイなんですよね。
Posted by ふぇでり子 at 2009年08月02日 20:48
アメリカン・バレエ・シアターの二人?が出演のこんな作品があったのですね。知りませんでした。
昨年ABT(アメリカンバレエシアター)公演観に行きまして、その美しい踊りを観てファンになったサシャ・ラデツキー☆サインして頂きました。瞳が所謂“ハスキー犬”みたいな。その瞳を目の前にしたら本当にビビリました^^;素敵でした・・。サシャは今確かオランダ国立バレエへ移籍して頑張っているんですよー。
Posted by フラン at 2009年08月02日 21:31
>はーやさん
2000年の作品ですが私もバレエ関連作品が観たくて検索して探し出してやっと最近気付いたって感じです。こんないい映画があったんですねー。監督のニコラス・ハイトナーはイギリス人でバレエ関係の人じゃなくて『ミス・サイゴン』などの舞台演出家から映画監督になった人です、というのも一夜漬けですが。
ギエムも最近になってやっと観たりしてる私ですが^^;そうですか!ベンと共通点がありますか。ベンのインタビューなんて英語でしかないから全然知らないんですよね。もしよかったらこういう話があるとか、教えてもらえると嬉しいのですが^^;(いえ、気が向いたら、でいいです!)

>ふぇでり子さん
あ、この映画で女の子たちが男子クラスを覗いて「あの子かっこいいけどゲイかしら。ストレートかしら」と心配する場面があってバレエ学校ならではだと思いました。監督のコメンタリーで「バレエ学校の男子のゲイの確率は想像以上なので女の子は恋人を見つけるのに苦労するんだ」と言われてました^^;
ベンの好きなものに「ダンス」というのもあったような?もしかして隠された特技がまだありますか?どういう「踊り」が好きなのでしょうね。

>フランさん
あれ。やはりこの作品割と埋もれたものなのでしょうか?
登場人物の皆さまのことは後で知って驚きました。やはりそういう方々でなければこういう映画は作れませんねえ。アイドルみたいな人に付け焼刃でバレエさせてるような映画ではこの面白さは期待できません。
サシャにサインを!フランさん凄いなあ。
では是非この作品ご覧ください(笑)
Posted by フェイユイ at 2009年08月03日 00:24
この間まで、マリインスキーバレエ団が来日していて数々観に行ってました。しかし終りは来るもの(涙)また日常に戻り、日々の生活をこなしている今日この頃。それでフトこの作品を観ていないのを思い出し、鑑賞してみました。
・・お話は、、^^;論外ですが(笑)サシャの出番&踊るシーンが想いの外多くてその意味では必見でした。今回久し振りに調べたらなんと彼は来年の一月からまたABT復帰とか。さ来年来日時に会えるかもしれません^^
バレエダンサーにゲイ多し、とのコトですが(笑)私が入り待ち&出待ち等で見る限りでは^^;男女カップルも多いですよ〜。サシャも同団員と結婚しています。男性プリンシパルは大体結婚したり子供がいたり。。内心ガッカリです^^;
Posted by フラン at 2009年12月16日 22:00
あははっ。がっかりしなくとも^^;
でもならば何故ゲイ多しと言われるのでしょうかねー???
私自身その辺は調べたりしてないので何とも言えませんが、現在誰がそうなのか、教えて欲しいですね!!(いやむきにならんでも)

この映画、他愛ないもの過ぎるのでしょうが私は観た時物凄く好きになってしまったのですよねー。どうしてだったんだろー?
バレエシーンがたっぷりあったからかな。いやあ、また観たくなってきました。バレエ映画!

フランさんは現実にもたっぷり観れて!!羨ましい!!!いつまでも夢の世界に浸っていたい!ですよねえ。
Posted by フェイユイ at 2009年12月17日 00:38
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