映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年08月02日

『エトワール』ニルス・ダヴェルニエ

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Etoiles: Dancers of the Paris Opera Ballet

一日空いてしまったが続けてバレエ作品。こちらはドキュメンタリー。先日のは架空のアメリカバレエ団付属学校の生徒の物語だったが、こちらは実在のパリ・オペラ座の団員達とやはりそこを目指す生徒たちの物語も添えられている。
小さい時から入学しほぼ同じ顔触れで成長していくのだというオペラ座の団員たちは心を許しあえるわけではないライバルでありながら、同時に家族のような連帯感も持ち合わせているような不思議な集団に思えた。無論熾烈な競争の中で勝ち残ったものだけが団員として残るのだから単純な仲間意識というわけにはいかないはずだ。とはいえ男性ダンサーが「小さい時から同じ女の子ばかり見続けて」というと女性がすかさず「男子も同じじゃない!」と言い返すのがおかしい。そりゃそうだ。
それにしても14歳くらいの生徒バレリーナたちの愛らしさといったら。みんな細くてお人形さんのように可愛らしい。少年たちの綺麗さも見惚れるばかりだが、小さなお尻が強調されるタイツだとか少女たちの初々しいレオタードになんだか危ない色香を感じてしまうのは私がいけないのだろうな。
先日観たドラマ映画よりドキュメンタリーの本作のほうが綺麗なイメージに溢れているのは場所がパリオペラ座だからなのか。綺麗な部分ばかり狙った為か。
自分が日本人だからだろうがフランス製作なのだが幾つか日本関連のものが。一つは冒頭のオペラ座日本公演。う、いきなり映った日本の街並みがお世辞にも美しいとはいえない。率直にいえばごちゃごちゃの乱雑ないかにも日本的な都会風景(そこの方ごめんなさい)「日本のファンは金髪ダンサーが大好きでマイケル・ジャクソン並みの騒ぎなんだ。日本だけの光景だね」と言われるのも苦笑いであった。(私も同じ穴のムジナ)
次はオペラ座団員のミテキ・クドー。はっきりオリエンタルな顔立ちでクドー?すみません。とても有名な方だったのだ。すでにCMなどで顔を見ていたはず。振付家の工藤大弐を父に、70年代にヌレエフのパートナーを務めた伝説的な元エトワール、ノエラ・ポントワを母に持つというだけでなくとても美しい印象を与えてくれる女性。同じくオペラ座団員の夫との間の二児の母親でもある(ダンサーでもあり母親でもある!凄いことだ)エトワールだった母親の娘を誇りに思うと言う言葉もよいなあ。この誉め方とかいかにもフランス女性らしく親子でありながら一人のダンサーとして評価している感じが素敵なのだ。
もうひとつが最後辺りに登場した藤井美帆。時間的には僅かだったがオペラ座バレエ学校に途中から編入して団員となったということなのだから才能もだが大変な努力だたのだろうな、と想像してしまう。

パリオペラ座には最高位のダンサー「エトワール」を頂点にして、プルミエ・ダンスール、スジェ、コリフェ、カドリーユという厳格な階級があるのも初めて知った。クドーさんはスジェに位置する。カメラは最高位のエトワールだけでなくカドリーユの男女にも向けられる。彼らの仕事は群舞や代役なのだろう。代役は無論出演できるかどうかわからないのに演目を把握していなければならないのだから大変な仕事に思える。そして結局出番がないことが多いに違いない。こんな辛い役目はやはり
バレエへの愛情・情熱がなければ絶対やっていけない。「出番は多いのよ」と笑ったり、出れなくて「慣れてるわ」と笑顔を残して去る姿はやはりどこか寂しげなのだが。うーん。こういう位置の人に注目してしまう。映画としてもこういう役目の人は題材になると思うのだけど。なんだかスペースシャトルの代役の為に訓練し続けて飛べない人とも重ねてしまう。

クラシックバレエ、コンテンポラリー、イリ・キリアン演出、モーリス・ベジャール演出など様々な映像がありこれも非常に楽しめる作品だった。

特典にピエール・アルフレッド・リシャール監督、ジェレミー・ベランガール振付・出演『ランデヴー』が収録。
『オペラ座の怪人』を新しく演出したものでダンスとともに映像も斬新で素晴らしい。音楽はビヨークというのもまた格別な。
ジェレミーはプルミエ・ダンスールなのだそう。2001年作品。

監督:ニルス・ダヴェルニエ 出演:マニュエル ルグリ ニコラ・ル・リッシュ オーレリ・デュポン ローラン・イレール エリザベット・プラテル
2000年フランス


posted by フェイユイ at 22:56| Comment(7) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フェイユイさんのバレエ映画評を読むと観たくなります(笑)ジェレミー・ベランガール出ているのですね。この方昨年“エトワール・ガラ”という来日公演にエントリーされていた時「みたいナァ」と思った方でした。でも私はいかず実際は彼も怪我の為来日しませんでした。藤井美帆さんは何年か前日本のバレエ団公演で「ライモンダ」を踊る彼女(目的で)観に行きました。パリ・オペラ座団員だなんて、凄すぎることですから。
日本人の外人好き、ちょっと恥ずかしいですね。^^;私は金髪好きではないしあまり見苦しくない程度に節度を保ちつつ出待ちとかしているつもりですが、、、^^;こういった現象は日本でだけだというのは前から知ってました。なんなんでしょうね日本人・・しかし止められない哀しい私。。。^^;
Posted by フラン at 2009年08月03日 21:25
これは半年ほど前に観ました。
日本のファンは金髪ダンサーが大好きで〜のくだりも覚えてます(笑)
日本では今、若い男性は首と姿勢が前かがみで前髪を垂らしたネズミみたいなのが多い。美しい男性を目にする機会が少ないからミーハー騒ぎも仕方ないというのもあるかも・・(泣)

バレエは舞台も素晴らしいけれどレッスン風景に魅力を感じますね。
シニヨンに結いあげた髪にレオタードの少女にはロリータ趣味はないはずの私も格別に美しさを感じます。
幼少の頃から習っている場合レッスンはすごく厳しい、ましてやプロ志望の場合はいっそう厳しいだろうし。遊びたい盛りに休日もバレエのレッスンに費やしてきたそのストイックさと背中合わせの美しさなんだろうと思う。

更衣室で着替えている時など十代の少女のシニヨンのうなじに何とも言えない生命感に直結したエロティックさを感じて、私が男性ならグルヌイユみたいにふらふら付きまとってその匂いを嗅ぎたい気持ちに襲われます(・・・恥)
Posted by ふぇでり子 at 2009年08月03日 22:08
>フランさん
あー、ベランガールさんが本編に出てたのかどうかはよく判りません^^;特典の短編映画でたっぷり彼だけを観れます(すみませんよく判んなくて)
日本人の騒ぎっぷり、映像で観るとますます恥ずかしいのですが「言葉が通じないんだよね」と言われてしまうのがまた(恥)金髪というのは比喩でしょうが、でも私もそこにいたらキャーキャー言いそうです。いや触りまくる(笑)
 
>ふぇでり子さん
『エコール』ご覧になりました?少女とバレエのエロティシズム溢れた作品でしかも女性監督というのがそういう世界に女性はやはり憧れているのか、と思わされました。
男性の性の為のロリータたちでありながら女性だけの世界である。そういう世界にも憧れてしまうのです〜。
Posted by フェイユイ at 2009年08月04日 00:56
エコール観ました、ニコニコ動画で(笑)
日本のロリ好き男性にはイマイチ不評のようですね。あえて美少女ではなく裸が出てきても自然過ぎてエロくないからが理由のようですが。

ミネハハという物語を原作に余計な説明無しで作られたこの空間が好きです。アニエス・bの衣装も良くて、また上級の生徒役の脚が長くてきれいで。

最初エコールをレンタル店に借りに行ったら置いてなくて同じくミネハハを原作にした別の映画(日本版のDVDは意図的にエコールとすごく似ている写真をケースの表紙に使っている)があったのでそれを借りた所、そちらはすーごく後味の悪い作品でした・・・。

フェイユイさまは「1999年の夏休み」という映画はご覧になっていらっしゃいますか?
Posted by ふぇでり子 at 2009年08月04日 22:21
そうなんですね。私は男性で誉めている人のを読んだので「案外受けたのかな」と思ってました。案外と言うのはこれはやっぱり女性の考えだなあと思ったので。
大体男性を排除してますしね。男性向けのエロチシズムを育てているはずなのに男性が出てこない。こういうのは男から見たらエロじゃないのでしょうね。 

もうひとつのミネハハと言うのはこのブログでも書いた『ミネハハ 秘密の森の少女たち』でしょうか。読んでもらうと判りますが『エコール』には劣るが面白い、と書いてました(笑)
私はあまりにも『エコール』が好きになってまたもう一つの『ミネハハ』と言われているらしい『サスぺリア』まで観てしまいました。これはレンタルがなくて動画で観ました。これも面白かったです。

『1999年の夏休み』というのは萩尾望都原作のですよね。実は少女が少年役を演じる、というのがどうしても受け付けなくて観るのを拒否してたんですが、この前『ドモ又の死』という劇中劇みたいなのが面白かったし(これは萩尾望都さんが出演)意外といいかも、と気が変わりました(笑)つまりまだ観てないのですが、今度観てみようかな、と思ってます。あ、ふぇでり子さんは面白かったのですよね(笑)
Posted by フェイユイ at 2009年08月05日 01:20
「ミネハハ秘密の森の少女たち」も途中までは面白かったのですが、バレエの主役に選ばれた子が手籠にされる場面など(あらかじめそういう目的のために作られた少女の園とはいえ)あまり気分の良いものじゃなくて・・・。
エコールも同じような設定としても、そういったことが女子の人生に起こる色々をファンタジー的に暗喩したものとして受け取る事も出来たので。
サスぺリアも同じ原作とは知りませんでした。観ておかねば。

「1999年の夏休み」は、最初に元にしていた漫画とは脚本の完成時にはほぼ共通点の無いストーリーに仕上がっています。

私も少女が少年役を演じるのに抵抗があって観るつもりは全く無かったんです。
上京中、具合が悪くなりまわりに休める場所がなく仕方なく入った映画館でこの映画が上映中だったのです。

今も根強いファンがいるこの作品ですが、その人たちの殆どがそうだったように私も、登場人物がセリフを話し始めてしばらく、やっぱりなーと馬鹿にしてました。
はっきり言って演技もセリフ回しも学芸会レべル。ところが時間が過ぎるとともに引き込まれてしまうのです。

少女が少年役を演じているというより無性の存在なのですね。この作品に限りこれは女子にやらせて正解だったのが観終わってから分ります。セリフも演技もぎこちないからこそ成立し得た世界です。

登場人物が語る愛についての観念的世界は少女マンガ的過ぎて私はあまり面白いとは思わないのですが、それにもましてこの永遠の感覚、輪廻転生しつづけるみずみずしさは格別です。
(DVDが無かった時代に買ったビデオと映画パンフ、雑誌の特集記事なんかをまだ持っている私)
Posted by ふぇでり子 at 2009年08月05日 21:07
『サスぺリア』は「言われているらしい」であって原作ではないのですが(笑)その辺を記事でも書いてますので動画ででもご覧になってから読んでいただければ、と^^;
当時話題だった『サスぺリア』思った以上に楽しめました。できるならDVDくらいの画質でもう一度観たいのですが。

「1999年」なんだか観たくなってきました。ただ今のところすぐにレンタルできそうにない感じなのでちょいと待たねばならないみたいです。
Posted by フェイユイ at 2009年08月06日 00:28
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