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2009年08月16日

『マルコム]』スパイク・リー

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MALCOLM X

この作品も早く観ねばと思いながら今頃やっと観たというものなのだが、やはり早く観るべき映画だった。とんでもなく面白かった。3時間以上の長さというのはやや恐れ入るが一旦観だせばとてもスピーディに進行していくし見せ場が次々と用意され、緩急のバランスも上手く一気に見せてくれる。

「差別問題」「実在の人物」などということで堅苦しく難しい作品かと敬遠していたのもあったのだが、そういう懸念は必要ない非常に引き込まれる楽しさを持った作品だったのはちょっと驚きだったほどだ。
微妙にくすぐり笑い的な表現が仕掛けられていて、特に刑務所で出会うイスラム信者のベインズとのやりとりはどこか滑稽に見えてくるのでこれは何かあるのか?と思っていたらははあやはりそういうことだったのか、と頷ける。
デンゼル・ワシントンがめちゃ若くてハンサムなのも魅力の一つだが実際の彼も負けないほどの二枚目だというのもなるほどだからこそ人々をここまで強く惹きつけたのだろうか。最後の彼への賛辞で「彼を誹謗するものいるが実際の彼の言葉を聞き、彼の笑顔を見たのか。彼自身が何かの暴力を振るったのか」という監督自身の言葉になるのだろうか、そのモノローグにすべて込められている。その気持ちは充分映画作品としてデンゼルの表現として成功している。

マルコム=レッドという青年が恐ろしい痛みを我慢して髪の毛をまっすぐに伸ばしギャングになってしまうところから始まり、刑務所でイスラム信者ベインズから教えを受けてクスリや銃などを遠ざけ、イスラムの指導者イライジャに献身的に尽くしていくエネルギッシュな布教活動を経て、イライジャやベインズが実は敬虔なイスラムとは程遠い存在だったと気づき自らの考えによる団体を作りあげ暗殺されてしまうまでの彼の行動が描かれていく。
マルコムが信奉したイライジャのイスラムの教えが非常な白人排他主義で「アメリカ黒人はアフリカへ戻るべきだ」と説き、女性差別が甚だしいので最初から「こういう考え方の人物を良しとすることはないだろうが」と思っていたらやはりマルコムがそこから離れることになり実際にメッカ巡礼の旅へ赴き、白人のイスラム信者とも交わって祈ることから本来のイスラムには人種差別はない、という考えに至っていく。
まさにこの作品の中で一人の青年が悩み考え辿り着く行程を共に歩むわけで大変判りやすいし、最初から特別に優れた人物だったのではなく手探り状態で葛藤し迷いながら道を見つけ出していく様子は共感できるのではないだろうか。

彼こそは「ニグロ」ではなく「アフロアメリカン」なのだという言葉に、やっとこの言葉の意味が判ったような気がする。

本作で「白人への怒り」の言葉がいかがわしい教団の言葉として激しく発せられるのだが、彼らの偏った表現だとしながら本音をぶちまけているように思える。
マルコムが最後に見つけた自由と平等の社会になる日が本当に早く来て欲しい。キング牧師が語っているように意見の違いを殺人という行為で解決(戦争もまた同じだろう)するようなことがなくなればいい。そう願いたい。
 
監督:スパイク・リー 出演:デンゼル・ワシントン アンジェラ・バセット アル・フリーマンJr. アルバート・ホール デルロイ・リンドー
1992年 / アメリカ


ラベル:人種差別 歴史
posted by フェイユイ at 00:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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