映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年09月01日

『化石の森』アーチー・L・メイヨー

the_petrified_forest_tv_picture_008.jpgThe Petrified Forest (1936) 1.jpgTHE PETRIFIED FOREST.jpg
THE PETRIFIED FOREST

なんとなく以前から気になっていたものでようやく観るに至った。これは面白くて知的なんだか現代の作品みたいな雰囲気だった。

アリゾナのもうこれから先はガソリンスタンドもないよ、という看板の店がある。昔話ばかりする爺様とその息子である頑固親父とフランスに憧れる若い娘(ベティ・デイビス)そして彼女に恋するアメフト選手のマッチョマンが働いている。

『化石の森』というのは実際にアリゾナにある化石化した木や2億年前の地層が観察できるという地区である。舞台はブルー・メサという。
まるでこの世の果てのような場所にぽつんと建つ小さなガソリンスタンド兼食堂の店に作家の夢叶わず妻にも見捨てられた男、逃亡中のギャング一味、黒人の運転手を伴った金持ち夫婦などがやって来てそれぞれの思いを語る、という舞台的な作品である。

何といってもちょっと気取ったインテリでいかにもイギリスから来た雰囲気を持つ厭世家の男アランを演じるレスリー・ハワードが素敵でベティ・デイビスならずともこんな砂漠でこんなインテリ二枚目にお目にかかったら参ってしまうのは当然だろう。背番号42をつけた筋肉ばかりのボーズはいかにもなアメリカ男で気の毒である。
レスリーと言えば『風と共に去りぬ』でスカーレットが恋する男性役で有名だが、あれではあまり目立ってないし、こんなに素敵な殿方だとは思わなんだ。確かにスカーレットも夢中になるだろう(しつこい)私にとってはあのレスリー・チャンが彼が好きで自分にレスリーという名前をつけた、ということで覚えていた名前である。納得。
とても微妙な存在の役である。鬱屈した性格ですべてをあきらめ捨て去ったような心で放浪している。
僻地の食堂で働くかわいらしい少女ギャビーが詩を読み、フランスに住む母親を愛していて自分もフランスに行って絵の勉強をしたいと願っているのを知り心惹かれる。またギャビーもアランに恋してしまうのだが、彼はその恋を受け入れるより、自分の命と引き換えに保険金を彼女に渡したいと考えるのだ。
その為の殺人を依頼される強盗団のボスがまだ無名な頃のハンフリー・ボガート。彼の特徴であるあの低い声で食堂に集めた人質たちを威嚇する。本当はこの役は別の有名俳優がするところを彼と舞台で共演していたレスリー・ハワードが「彼でなければ自分も出ない」と言ってボガートの名を世に出したという。うわ、ハンサムだけじゃなくてかっこいい、レスリー。
ベティ・デイビスもまだ後年のどすの利いた女丈夫じゃなくて夢見る可愛い少女役なのだから相当昔の映画なのである。
しかしこれは全く時代の古さを感じさせない面白さではないだろうか。
未来を夢見る少女とすべてを失ったと感じる中年にさしかかった男。少女から愛を打ち明けられても彼にはもう生きたいという希望を現実として感じられなくなっていたのか。ボガート演じる強盗に「一緒に化石の森で死のう」と笑う。
別に死ななくてもよかったのでは?と思ってしまいそうなのだが、彼の厭世感が化石の森のタイトルになるのだろう。

それに引き換え、開拓者だったと威張る爺様の元気なこと。有名強盗団マンティに会えたと喜び、人を殺すというのに喜々として、命を投げ出すアランを変な奴だと決めつける、いいキャラクターなのである。

監督:アーチー・L・メイヨー 出演:レスリー・ハワード ベティ・デイビス ハンフリー・ボガート ディック・フォラン ジュヌヴィエーヴ・トビン
1936年アメリカ


posted by フェイユイ at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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