映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年09月18日

『My Son あふれる想い』チャン・ジン

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キム・ギドクを別にすれば(って彼を韓国から除外するわけではないけどさー)物凄く久方ぶりの韓国映画。あんまり何も思わず観始めたのだが、まんまと罠にはまってしまって冒頭から涙が溢れて止まらず目が痛い。これでもかと泣かせにくるのが判ってもどうしてもここら辺の涙腺の刺激物に弱いんだよねえ。

以前に比べ韓国映画を観なくなったのだが私案外チャ・スンウォンに縁がある。ひょろりとした長身ととぼけた味が魅力の彼である。
そんな彼がもう18歳の息子の父親役なのだが、若い頃にやんちゃをやり続け、とうとう殺人事件で無期懲役になった男がたった一日家族に会うための外出を許されると言う物語である。
重い内容になるはずの物語をチャン・ジン監督独特のおかし味を加えてファンタジーでもあり、ミステリーでもあるような工夫を凝らした仕上がりになっている。
後で思えばあちこちに仕掛けが隠されているのだが、途中、というより最後近くまでは純粋に15年間は会うこともなかった服役囚と父を失い又母もいなくなり年老いた祖母の面倒を見ながら勉強熱心な少年の互いの心が少しずつ緩み通い合う過程をおんおん泣きながら観ていくことになるのだが、残りの20分くらいだろうか、で一挙にどんでん返しさらにまた泣かせられ笑わせられる、という仕掛けになっている。

チャ・スンウォンがでかい図体でとてもいい感じなのは認識済みだが息子役のリュ・ドックァンは『トンマッコルへようこそ』にも出ていたのだが、今回じっくり観ると、スンウォンとは物凄い身長差の小柄で女の子みたいな可愛い顔だちである。男っぽいというイメージのある韓国男児もますます彼のようなフェミニン系が増えてくるのかもしれない。
ファンタジックな演出を含めながら父親と息子の心の声をかわるがわる聞かせてくれるので涙は止まることを知らないのだが、最後になってその涙がいきなり引いてしまうからくりはもしかしたら逆効果なのかもしれないが、とやや不安にもなってしまう。
ところが、それまでは一途に韓国メロドラマに酔いしれていた自分がいきなり目を覚ますことになってしまうのだ。
というのは(ネタばれと書いてる自ブログだがホントにばらすのでどうぞ)
実は今までよかったね最愛の息子と心が通じてと泣かせてくれたジュンソクは本当のジュンソクではなく彼の友人チャ・ホンドだったのだ。
本当のジュンソクは少し前に病気で死んでいた。死ぬ前に彼は親友に「父に会いたい」と言って彼と共に刑務所に向かう途中で亡くなったのだ。ジュンソクの友人ホンドはその後彼のおばあちゃんの世話をし、彼の恋人とも話し合ってジュンソクの父親の帰宅を迎えたのだった。
韓国映画で友人の絆は深く強いものだが、ホンドとジュンソクの友情はそれ以上の何かを感じさせる。それはジュンソクが父親譲りの長身でハンサムなのとホンドがどことなく優しげで女性的な雰囲気があることでも感じさせられるし、視線や言葉のやりとり、お父さんのいる刑務所へ行くのに手をつないでいくのはジュンソクが病気だからと言うだけではないような気がするのだが。おばあちゃんの世話をすることやジュンソクのお父さんをお父さんと呼ぶことや面会に行くのもまるで恋人がすることのように思えるのであるがなあ。

最初たっぷり泣いて最後であまりの衝撃の事実に(他の人が感じる衝撃とは違う衝撃)涙も乾きえええーっそういう告白でいいの?と驚いたのであった。
いやもう韓国映画もう明らかになるのは目前である。(ま、なってるけどね。もう少し、ね)

しかしこうして二人の関係が判って思い出すとこの物語は父子の物語であってそうではない不思議なものになってくる。
父が父でないのにジュンソクになりきったホンドが父に言う「死ぬまで僕を愛して」という言葉には好きだったジュンソクにそっくりな男性への言葉とも聞こえてはこないだろうか。

作品中ヘルマン・ヘッセの『デミアン』が登場するのだが、情けないことに未読。ここに何かのヒントがあると思うのだが。ああ、読まなきゃ。

監督:チャン・ジン 出演:チャ・スンウォン リュ・ドックァン キム・ジヨン イ・サンフン
2007年韓国


ラベル:家族 友情 同性愛
posted by フェイユイ at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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