映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年09月23日

『ワールド・トレード・センター』オリバー・ストーン

world-trade-center.jpg
World Trade Center

話題にもなりオリバー・ストーン監督差品ということで早く観ねばと思いながらどうしても勇気が出せないのと、どこかでストーン監督とはいえ、アメリカ側こそに非があるのではないかと思われるような難しい状況をうまく描けるのだろうかという懸念がなかなか観る決心をつかせないでいた。
実際、観出して暫くはやたらと突然の悲劇に襲われたアメリカ国民、という表現だけが描かれているのか、という気がして迫力ある画面がむしろ押しつけがましいような気さえしていたのだが、途中からまさしくこれは「突然の悲劇に襲われたアメリカ国民」という部分だけを描いているのだとやっと気づいたのだった。

つまり観る前は、この作品の中に監督の9:11の惨劇についての総括というようなものが描かれているのかと思っていたのだが、全く逆だった。
ここに描かれていたのは事件後すぐに救助に向かった港湾警察のマクローリンとヒメネスの二人(とその家族)のみに焦点を当てたもので他のことは一切(と言っていいのではないか)表現されていない。
どの国の誰がどういう目的で行ったことだとか、そのことについてアメリカ政府がどう思ってるだとか、また貿易ビルの大勢の人々のことも逃げ惑う姿だけであってよくある様々な思い、という表現はされず(わずかにあるが)突然の大惨事に飛び出していった警察官とその家族がどう思いどう行動したか、だけが描かれている。
これはちょっと驚きだった。
よく「相手側の言い分もある」というような反発を書かれていたりするが、この作品はそういう政治的な意味での映画ではないのだった。

それは最後に「確かにこの日、「悪」が襲ったが人々の「善意」もまた感じることができた」という丁寧な説明があってその通りの映画なのだろう。
無論こういう惨劇が起きることは絶対に望まないが、こうした場合にそれまで自分が気づかない人々のつながりを感じることができる、という話はどこかで自分たちを勇気づけてくれる。
神がかりな海兵隊の男性の出現はさすがに「大丈夫か、こいつ」みたいな恐れを感じてしまったのだが、結局そういうパワーほど強いものはないのだろうか。彼がその後、再入隊してイラクへ行ったという部分にひっかかるかもしれないが、それもまた現実だったということなんだろう。

少しでも言葉を間違えば政治的な反発をくらうし、実際にあった物語を捻じ曲げてはいけないし、このどうしようもない滅茶苦茶な惨劇の中で人々がどんなに支え合い、助け合っていったのかを描くための映画だった。
TVでちらりと映るブッシュは安全の為どこへ行ったかも判らない、ということだった。

監督:オリバー・ストーン 出演: ニコラス・ケイジ マイケル・ペーニャ マギー・ギレンホール ジェイ・ヘルナンデス マリア・ベロ スティーヴン・ドーフ
2006年 / アメリカ



ラベル:歴史
posted by フェイユイ at 22:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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