映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年10月10日

『いとしい人』ヘレン・ハント

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THEN SHE FOUND ME

まあ色んなことを愚痴りたくなる映画だった。
まず言いたいのは冒頭で「中国では子供をゴミ箱に捨てるそうよ」という台詞。これもユダヤジョークなのだろうか。小説なんかでちょっと出てくる分にはそう思わないが、映画の冒頭でこんな台詞が出てくるとそれだけで作品を作った監督の意識とセンスを疑ってしまう。これで私はほぼ半分は後ずさってしまった。同じような人だっていると思う。こういうのをユーモアだとか「冗談が判らないの?」とか言って欲しくない。もし本当だとしてもそれはそれでシリアスにドキュメンタリーとして製作すればいい。馬鹿な登場人物の単なる台詞として流せないし、聞き流せなかったのはやり方がまずかったせいだとしか思えない。。
第2に(これは作品のせいではないが。少しあるか)出演者にティム・ロビンスの名前があったので観たのに昨日の『ザ・バンク』のベンより出番が少なかった、というかTV画面に映ってるだけだった。映画の中のTV画面。この状況の数秒を観るのに全部観たなんて、とほほ。これで主人公の相手役がコリン・ファースじゃなかったらDVDを真っ二つにしてるとこだ(嘘)
その次に言いたいのは物凄くたくさん同じレベルであって一遍には言い難い。まあ少しずつ言うか。

始めから思ったのは冒頭部分から物語やら画面やらが分裂気味で飲み込みにくく、これがこの監督ヘレン・ハントの味と思うべきなのかなあと思いながら観ていた。が、途中からそういうのでもなくなってきたので出だし部分の展開が上手ないだけなのかもしれない。
設定も物語も登場人物もリアルなようでいてかなり奇妙で変てこであり、これも特色と言うべきなのか、と思うのだが、そこまで異色でもない。と、抽象的なことばかり書いてもしょうがないのでもう少し具体的に書いていく。
一番この作品でいけないのは主役のヘレン・ハントでこう言うのも気が引けるし恐ろしいのだが、はっきり言って、この彼女を魅力的だと思う人がいるんだろうか?私が男ならここまで痩せてる女性に性的魅力は感じられない気がする。まだしもお母さん役のペット・ミドラーのほうが肉感的で可愛らしい。同性として観ても疲れきってヒステリックにおでこを叩くような仕草や自分勝手に言いたい放題で他人を批判し、自分は人格者であるような言動が「こんな風にはなりたくない」と感じてしまう。いくら痩せていてもおっとりしてたり我儘でもそれが可愛く見えたりするようなのならいいけど、ここまでぎすぎすしたヒロインに共鳴できる女性がいるんだろうかとさえ思ってしまうのだ。
元夫の坊っちゃん的マシューのほうはわからなくもないが何故コリン・ファースが彼女に恋をしたのか全く理解できない。きっと詐欺師か何かに違いないと思っていたんだが。
そして作品途中でやっとこれがコメディだと気づいた。あまりにヘレン・ハントの眉間のしわが怖くてコメディとは思わなんだ。
スティーブ・マックイーンとの間の子供と言われて「あーこれコメディなのね」と気づかされた。

ちょっとコメディにしてソフトタッチにしながら(あまり効果がないのだが)描かれていく内容は一人の中年女性の恐ろしい自意識。
ここでこの女性は「望んでいるのにどうしても子供が作れない中年女性」として登場する。彼女には子供を望める時期の終わりが迫っている。もし彼女のささくれ立った神経を誹謗したら「あなたには彼女の気持ちが判らない」と言われてしまうのかもしれない。
だが誰でも誰かの気持ちは判らないのだ。
現代の女性の考えと生き方をリアルに描いている、という作品なのかもしれないが、リアルであれば何でもいい、というわけではない。この作品を観て何を感じればいいんだろう。
すべての人間とすべての出来事に対して不満だけを持つ女性。愛情を持って立派に育ててくれた養母にも義弟にも元夫にも今の恋人にも自分自身にも不満だけを感じている。謝る時も「そういうあなたも私を裏切るだろうけど」なんていちいち理屈ばかり言いたてる。苛立って女性らしい丸みを何もかもなくしている。そんな自分が今風でかっこいいと思っている。自分自身に対しては欠点があるところが人間らしいと主張して他人の欠点は「大人になりきれない」だとか言いたてる。
「これからもあなたを傷つけるだろうけど」なんて物凄い知的な発言をするけどそう言い方が冷たくて悲しい。とてもクールなコメディだとか表現したくない。ただ本当に冷たいだけだ。彼女には共感もできないし、現代女性の姿を皮肉たっぷりに描いた作品というわけでもないんだろう。彼女を観て何を思えばいいのか。ただいつも苛立っている哀れな人だというだけだ。

多分「中国人は」の部分で観るのを止めるべきだったんだ。そういう発言を無神経にしょっぱなから言いだす人がいい映画を作るわけもなかった。

それにしても先日書いたがやはり監督主演、というのは難しい。この映画も本人じゃなくもう少し可愛い女性を使ってたら「彼女はキュートだから許せちゃう」なんてことになってたかもしれないのだが。コリンとのラブシーンがまるでおばあさんとしてるようで痛々しかった。やはり女性はぽちゃぽちゃしてた方がいいと痛感した映画であった。

ラストは結局養子をもらった、ということなのかな。ユーラシア大陸のゴミ箱から拾ってきたのだね。
私は観てる間は、受精した精子がアジア人男性のだったんだと思って観てた。どちらにしてもあまり嬉しそうな顔はしてなかったなあ。違う?失敗したあ、って言ってるように見えたんだよね。

次日追記:やっぱこれって単純に製作失敗というだけかも。同じ脚本でももっとコメディ上手い監督でコメディ上手い女優主演だったら結構観れたような。てことはヘレン・ハントが下手なんだ。
だってさ、元夫(というかその時点ではまだ夫)との会話で「コート脱げよ」「いやよ。自分で脱がせたら」とかいちいち絡んで落ちがコートの下は下着だった、って場面本当は爆笑シーンなんだよねプラスお色気でウワォウっていう。そのどちらも感じなかったってのは^^;これはまずいもん。
本当は大爆笑に次ぐ大爆笑で笑って泣いて考えさせられてっていうハリウッドのお家芸であったはずなのに。どれも薄い。
昔のゴールディ・ホーンみたいな感じだったら。勿論シャーリー・マクレーンとかね。ちょっと辛口でも楽しく観れたんだろうけど。
ヘレン・ハントはコメディになってないよ。苦い味だけが残ったんだよねー。

監督:ヘレン・ハント 出演:ヘレン・ハント コリン・ファース ベット・ミドラー マシュー・ブロデリック ジョン・ベンジャミン・ヒッキー ティム・ロビンス イーディ・ファルコ
2007年アメリカ


ラベル:女性 人生 家族
posted by フェイユイ at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ティム・ロビンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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