
I.Q.
『ショーシャンクの空に』と同じ年の作品でティムが一番素敵に見える頃の作品、というと他は駄目だと思ってるのか、と言われそうだが、そんなことはないけどでもやっぱりとても美貌に見える(?)時期ではないだろうか。
一体、こういう物語を考えて実際に作れる頭脳ってのはどういうもんだろう、と思ってしまうのだが、そう言うと悪口のようだが全然そういう意味ではなく単純にそう思ってしまうのだ。とはいえ多分昔の少女漫画(いまがどうなのか知らないので)って思い切りこういうノリのものが多かったし、自分もけして嫌いではなかった。
小さな町の自動車整備店に勤める、ちょっとだけ科学に詳しい整備士が住む世界の違う数学者の女性(しかも何故かとんでもなくキュート)に恋をしてしまう、というとこまでは考え付くだろうが(それでも何故と言う気はするが。すくなくとも理系ではあるか)彼女の叔父さんがあのアルバート・アインシュタインで、何故か近所に住んでいる。そりゃアインシュタインは晩年アメリカ・ニュージャージーに住んでいるようで誰かが近所に住んでいるだろうが、しかもあんなに若い姪がいるとは計算が合わない気もするが。
ああ駄目だ。そういうことをうだうだ言う映画ではないのである。
とにかくキュートなメグ・ライアンに見惚れていればいいのだし、それにしても彼女は本当に物凄く上手い。あの顔やきゅっと口角が上がった口元や愛らしい髪型が魅力的なだけでなくこれほどファンが多いだけあって演技のうまさは抜群である。
本作のティムは凡人でありながら、ちょいと機転の利く利口さがあってしかも持ち味であるハートウォーミングな笑顔を思い切り利用しているってところ。左眉が思い切り上がる癖も秀でたおでこもさらっとかかる前髪もチャーミングなのである。
そして何故だかそんなティム演じるエドを凄く気に入って姪っ子と結びつけようと頑張るアインシュタイン叔父とその仲間たち。
姪の気に入るには頭がよくないと、という企みがヒートアップして彼を一躍天才物理学者に仕立て上げ世間の人気者になってしまう。
数学者メグ=キャサリンもすっかり騙されて彼に惹かれていってしまうのだが。
これってどうなんだろう。この映画で描きたいのはエドとキャサリンのラブ・ストーリーなのか。ただの自動車整備士のエドが天才物理学者アインシュタインと仲良くなるってことなのか。
だって一番楽しそうだったのはエドとアインシュタインがバイクのタンデムで走っていくシーンだもんね。
しかもアインシュタインはウォルター・マッソー。彼が口にする「ワーフー」という感嘆詞がなんとも可愛らしく印象的。
まあまあそういった自分がいいなと思う設定を色々組み合わせて出来上がったラブコメなのだ。ちょっとだけ頭がよくなったような錯覚を覚えさせてくれるのも楽しい。
私としてはティムがアメリカ映画にしてはよくバイク乗りになるのが嬉しい。バイクが好きなのか。たまたまライダーという設定が多かっただけなのか。
アインシュタインを後ろに乗っけて舞い上がる、という光景はファンタジックであった。
監督:フレッド・スケピシ 出演: メグ・ライアン ティム・ロビンス ウォルター・マッソー スティーブン・フライ チャールズ・ダーニング ルー・ジャコビ ジーン・サックス
1994年アメリカ