映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年10月23日

『ミスティック・リバー』クリント・イーストウッド

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Mystic River

ティム・ロビンス作品を今回観続けている中で一度観たのだがもう一度観てみたいと非常に思ったのがこれなのだが、それは好きだったからではなく、面白いと思ったのにも拘らずすっかり内容を忘れてしまっていたからで、自分の記憶力のなさは自覚してはいるもののさほど時間が経ったわけでもないのにと自分自身にあきれ果てている次第である。
まあもう一度新鮮な気持ちで観れるんだから得であると言えばそうだが。
とにかく観直してもなかなか思い出せないまま最後まで観続けた。

記事も以前に書いていてどうでもいいようなことを書きならべているのだが、結局人生というのは悪い方に行くにしろ、いい方に行くにしろ、自分の思うようには進まない、ということなのであろうか。
冒頭の少年たちのちょっとしたいたずらが見知らぬ大人に見咎められ、子供の無知と無力さで言われるがままに車に乗せられてしまう。それは3人の少年のうちジミーでもショーンでもなくデイブだった。
とんでもない人生の貧乏くじを受け取ってしまったデイブは一生消えない心の傷を負ってしまう。それは11歳の少年が二人の大人の男に監禁され性的暴行を受け続けるという悲惨なものであった。
こんなに恐ろしい事件と比較して申し訳ないが自分も少女の時に公道である職業の器物破損をやってしまったことがあり、今思えばそれは公道に物を置いていたその人物が悪いので今だったら文句をまくしたててやれるのだが何も判らない少女だった自分はその大人にすごまれて真っ青になって帰宅した記憶がある。他人が聞けばどうでもいいような小さなことなのだろうがン十年経った今でもしょっちゅう思い出し苛々してそいつを殺してやりたくなる。子供だと思って怒鳴りつけるなんて、なんて卑怯な大人なんだろう。今でも同じ職業の人を見ると関係ないのにむかついて復讐したくなる。
また、ちょっとした事故でうっかり見知らぬ男の車に乗ってしまったこともあるし、怪しい男に声をかけられぞっとして逃げ出したこともある。
子供時代ってそういうもしかして一歩間違えばどうにかなっていたのかも、という事件がたくさんあるのではないか。そこを何事もなく乗り越えて行くのは稀であり、程度の差はあれ、何某かの傷は負ってしまうものではないだろうか。

勿論傷を負うのは子供時代だけではない。
そして成長し多くの人と関わりを持てばまた様々な事件に遭い傷を負う。子供時代と違い戦うことはできてもそれだけに複雑な骨折をすることになるんだろう。
ここに登場する人々は皆何らかのすれ違い、勘違いをしてしまい、人生を狂わせてしまう。皆同じように幸せになりたい、と願いながらも間違った選択をしてしまうのだ。
デイブは自分の悩みを秘密にしていたことで妻に疑いを持たせ、妻は無実の夫を密告してしまった。
ジミーは愛する娘ケイティーを殺害された疑いを彼女の恋人ブレンダンや友人デイブに向けてしまった。ジミーの妻は夫の前妻の娘に嫉妬心を持っていたし、夫の間違った行動を是認してしまった。ブレンダンが弟を可愛がるあまりに、弟は兄の恋人に嫉妬し殺害したのではないだろうか。
ただ一つ思わぬ行動が幸せに結びついたのはショーン(ケビン・ベーコン)の言葉で別れた妻が戻ってくることになったことだろうか。
そして残った幼馴染のふたりは失ってしまった3人目の友人の悲劇がもし自分のものであったらと考える。彼の運命は自分がたどったのかもしれない。
(とはいえ、加害者の好みを思えばはしっこそうなショーンやすれた感じのジミーよりおっとりしたデイブに目をつけていたんだとは思うんだが)
誰もが苦悩し、幸せを求めながらも人生は思うようにはいかない。町には大きな川が流れ、その川が彼らの人生を飲み込み流れていくかのようだ。

3人の幼馴染を演じているショーン・ペン、ケビン・ベーコン、ティム・ロビンスは同じくらいのバランスのうまさを持っている。とはいえ、アメリカ男性としてはショーンのような切れた男はやりたくても、ティムの演じた少年期に男から性的暴行を受けたトラウマから逃れきれず人生の敗北者となって死人のように生きている男、というのはあまり演じたくないのでは、と思うのだがどうだろう。
ここでのティムは彼が言うように吸血鬼のように死んでいるのに彷徨っている人間、なのである。彼はあの少年の時に自分を死なせてしまったのだ。もしもジミーが彼を殺害しなければ、生き返ることもできたのかもしれない。人生は自分の思うようにはいかないのだ。
ここでのティムはもう可愛らしさとかいうものもすべて失っているようだ。がっくりと肩を落とした抜け殻の男。彼にとっては息子を見守ることだけが生きがいだったのかもしれないのに。
ショーン・ペンは正直言って好きにはなれない俳優なのである。上手いのだが、何故か心惹かれない。しかしやはりこういう切れた男の役はぴったりである。
ケビン・ベーコンは逆に凄く好きでここでの役もよかった。幸せになれ多分、役者としては損だったかもしれない。

私自身、デイブと同じように自分を傷つけた犯人にはもうできない復讐を「同じことをやっている奴」にしてやりたい、と思っている。

監督:クリント・イーストウッド 出演:ショーン・ペン ティム・ロビンス ケビン・ベーコン ローレンス・フィッシュバーン マーシャ・ゲイ・ハーデン ローラ・リニー エミー・ロッサム トム・グイリー スペンサー・トリート・クラーク
2003年アメリカ


posted by フェイユイ at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ティム・ロビンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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