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2009年10月25日

『オリバー・ツイスト』ロマン・ポランスキー

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OLIVER TWIST

『オリバー・ツイスト』第二弾。今回はロマン・ポランスキー監督作品。私はポランスキー監督の映画をあまり意識的に観てなくて「彼の映画」というような意味合いではまったく語ることができないのだが、本作は几帳面なほどの制作意欲を感じさせる。

昨日観たデビッド・リーン版とは内容も雰囲気も殆ど変わらないものだったのは不思議にさえ思える。ポランスキーというとかなり個性的な作品を作る監督なのかと思っていたのだが、登場人物の表現も物語も主な部分は寸分違わない、と言ってもいいのではないだろうか。
(そういう意味ではキャロル・リードのミュージカル『オリバー!』は異色なのかもしれない)
無論モノクロームがカラーになり、映像もクリアで予算もしっかりかけられているようで霧深いロンドンの雰囲気や細かい部分も神経の行き届いたこだわりが感じられ、カラーになっても重厚さがなくならないような色彩が使われモノクロでは見づらかった闇の世界をさらに深いものに思わせてくれる。
オリバー役の少年も他の二作品に見劣りしない可愛らしさで若干今の子らしく憂いが足りない気はするのだが貧しい服装でコスプレすればより愛おしさが増してくるのである。
『オリバー・ツイスト』の目玉人物はやはりベン・ウィショーが真似しただけあって、子供たちの親分フェイギンなのだというのは今回観てさらに納得したが本作ではベン・キングスレーがやはりかなりのメーキャップを施して怪異な風貌になりきっている。
そしてここがリーン版と大きく違ってくる。最後のシーンがリーン版はサイクスが死んでオリバーはめでたくお金持ちのブラウンロー氏に引き取られました、なのだが、本作はその後があって、オリバーがブラウンロー氏と共に牢屋に入れられ絞首刑目前のフェイギンに面会するのである。これは先にフェイギンがオリバーに「一番悪いことは恩を忘れることだ」というのがある為なんだろうけど、ここでオリバーはフェイギンに「助けられた恩がある」ことを伝え彼が決して悪人だけではないことを表現している。またフェイギンもオリバーを特に気に入って可愛がっていたことを示している。フェイギンのキャラクターもリーン版のアレック・ギネスの鼻高で恐ろしげなのに比べるとなんとなく憐れな爺さん、というイメージに見える。私としてはあまりフェイギンの憐れさを出して同情させるより、奇怪な男で恐ろしい方が面白い気がするのだが。
つまり現代の感覚としては『オリバー・ツイスト』は運命に弄ばれる可哀そうな美少年、子供を操る恐ろしい老人(ちょっと優しいとこもあり)犬を連れた乱暴者、その愛人で綺麗で優しい女、お人よしな金持ちの老人、などというキャラクターでパロディ遊びをするような設定として感じられてしまうのだろう。フェイギンも可哀そうな老人ならそれはそれで面白いからどちらでもかまわない。
キャラクターが個性的で面白いのでパロディごっこには最適なのである。

とにかく作品としては美術が綺麗で見惚れてしまう。同じような雰囲気でこの時代のロンドンを舞台にしたホラーもの、ミステリーものなんかを作って欲しいものだ。(その際、是非ベン・ウィショーに何か演じてもらいたいなあ。犯罪者でも探偵でもいいけど)

ポランスキー作品、素晴らしい仕上がりなのだが(多分)原作に忠実すぎて彼の言わんとするところは読み取り難いのではないだろうか。彼の目的はディケンズ世界を再現することそのものであったのだろうか。
最後の場面でオリバーが金持ちのブラウンロー氏のもとで幸せに暮らすことを願いながらもフェイギンへの感謝と同情の気持ちを表している、という描き方がポランスキーの意思表示なんだろうか。
本作でもオリバーはあまり感情をむき出しにしないのだが(そこが頼りなくて可愛いんだろうけど)ロンドンに着いたオリバーに声をかけるドジャーくんは対照的に感情豊かでしたたかで少年らしい魅力を発揮している。ナンシーを殺したサイクスに悪態をついて飛びかかって行くとこなんかすごくかっこいい。この役を演じたハリー・イーデン君もミュージカル『オリバー!』を観て俳優を志願したそうな。イギリスの男の子ってみんなこれを観るというものなのかもしれない。

監督:ロマン・ポランスキー  出演:バーニー・クラーク ベン・キングズレー ハリー・イーデン ジェイミー・フォアマン エドワード・ハードウィック マーク・ストロング リアン・ロウ
2005年 / フランス/イギリス/チェコ


ラベル:孤児 Ben Whishaw
posted by フェイユイ at 00:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ベン・ウィショー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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