映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年11月09日

『小間使の日記』ルイス・ブニュエル

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LE JOURNAL D’UNE FEMME DE CHAMBRE

一体何なんだよゥ。この映画は???
ブニュエルだから凄かろうと覚悟の上で観ているのに作品は自分のちっぽけな想像力など問題にはならないようだ。
しかしブニュエルだからというか、とにかくいつもフランス映画というもの自体が謎なのであり、その中でも更に凄い人なのだから判らないのが当然なのだろう。

昨日まで観てきたアメリカ・イギリス映画に出てくる貴族対使用人という関係図などなんの意味もなくなってしまうのである。
小間使いがジャンヌ・モローで何と言っても彼女を雇う金持ち連中なんぞより彼女自身が一番威厳があり自由放埓でしかも上品に美しい。権力を振りかざしている連中は皆変態じみている、という構図になっている。
彼女を見た男たちは皆欲望をみなぎらせてしまうのだが、セレスティーヌ(これもまた小間使いとは思えない響き)は主人だろうが荒くれ者だろうが全く臆することなく機転をきかせて彼らを手なずけてしまう。
本作はファシズム批判が土台となっている、ということで確かにその意味は汲めるのだが、とにかくエロチックなやり取りが破格に面白いのだ。
特にセレスティーヌが世話を頼まれる老人の靴フェチはゾワゾワとするものがあって、彼女にぴったりのサイズの(22.5センチって言ってた、小さい!)短ブーツをはかせ部屋の中を歩かせて興奮しまったかと思えば、脱がせたそのブーツを胸に抱いてセレスティーヌのことはもう忘れてしまったかのように隣室へとこもってしまう。靴フェチはあくまでも靴に興奮するのだよねえ。
精力絶倫で妻が困惑する主人も大変だが、恐ろしいのが屋敷の下男で彼は屋敷に出入りしている幼い少女クレールを強姦した後殺害してしまったようなのである。だが証拠が上がらず警察が手をこまねいているのを知ったセレスティーヌは屋敷の仕事を辞めてパリに帰ろうとしたのに再び戻って犯人探しを始めるのだ。
物語が後半からミステリーへと変貌してしまうのである(これもちょっと不思議なんだが)彼女は下男ジョウゼフに疑いを持つのだが、今まで彼女に唯一冷たく当たっていた彼が「君をずっと好きだった。結婚してくれ」と言いだすのである。
私としては今までの彼女への仕打ちと殺人犯と思える男が何を言う、と憤慨ものだったのだが、なんとセレスティーヌは自ら彼との肉体関係を結び結婚の約束もするのである。が、それはクレール殺害の証拠をつかむ為だった。
犯人を探す為に肉体関係を持ち、結婚の約束をするなんて。
理解を越えてる。
しかもベッドに入って「クレールを殺したと言いなさい」・・・絶句。

理解不能(泣)

変な映画が好きなのに。
ここまで理解し難い思考回路って。

セレスティーヌはまんまと彼の靴底の金属片を取り外し殺害現場へ落として警察に彼を逮捕させる。
そして彼女は奴との約束など無視で屋敷の隣の金持ち軍人のプロポーズを受けるのである…またしても理解し難い・・・。
だが、彼女の努力もむなしくジョウゼフは結局証拠不十分で釈放となったのであった。

もーどーでもいい。
とにかくジャンヌ・モローは美しく魅惑的であった。こんな小間使いいるだろうか。魅惑的な小間使いというと筒井康隆氏の七瀬を思い出すがセレスティーヌは超能力者でもないのにそれ以上に超えている。

強姦殺害されてしまう幼い少女クレールもフランス少女らしいおませな可愛らしさとエロティシズムを漂わせる。
ジョウゼフがクレールが森に入って行くのを見送って「狼に気をつけな」と言った後、野獣的な表情になる。
木陰から少女の開かされた脚だけがみえ、白い肌に血が流れて彼女が捕まえていたカタツムリがぬめぬめと這いまわっているのが僅か数秒もないショットなのに恐ろしく印象的であった。

監督:ルイス・ブニュエル  出演:ジャンヌ・モロー ミシェル・ピコリ ジョルジュ・ジェレ フランソワーズ・リュガーニュ ミシェル・ピッコリ
1963年フランス/イタリア


posted by フェイユイ at 23:14| Comment(4) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
☆☆うわー☆フェイユイさん!!どこで借りられましたか??!私この作品はもうレンタルして返してもまた観たくなるので購入したいのですが、どちらを当れば宜しいのでしょうか^^;〜もうぅ〜ジャンヌモローさいこう!です〜私は痺れまくり。特にセレスティーヌが家事の?合間に香水をつけ手をこすり合わせるトコ☆とか(細かいっ^^;)あの可愛らしいブーツの動き☆とか、イキナリ隣りの金持爺さんと結婚してしまうとか、、イヤもう不思議の世界〜。残酷さと土俗的なものとエレガンスが共存する映画。怖いといえば怖いし可愛らしいというか滑稽といえば滑稽。
全体に理解不能(笑)というのが一番ぴったり来るのかも。所詮日本人にゃあワカラナイ感覚なのですよねきっと。でもだからこそ面白い・・^^ラスト、迫りくるファッショの波に歓喜を持って旗を振る?(記憶が曖昧)ジョウゼフの場面にイキナリが〜んと“フィン”(あイタリアなら“フィーネ”?)が出て、あっけにとられているうちに終わる、て感じでしたよね。
Posted by フラン at 2009年11月10日 09:58
お返事遅くなってしまいました。もう見つけられたでしょうか?
私が見てるのは殆どDISCAS(このブログの右下にある)です。これは新作の中に入ってたのでつい最近レンタル開始になったみたいですね。他にも色々あるみたいですが、TUTAYAならあるのではないでしょうか。

フランス映画の感想を書くといつも同じで恥ずかしいのですが本当に不思議なんですよーあの感性って他の国民にはありません!
ジャンヌ綺麗です〜。言うこと聞かないし(笑)小間使いは香水つけては駄目と言われて「はいマダム」と言いつつすぐつける(笑)
唐突にFinですしねー。もう何が何だか。
でも絶対忘れられない作品ですねこれは。
Posted by フェイユイ at 2009年11月11日 00:12
また読んでいたのです^^
いや〜フェイユイさんの評、名文だわ。本当に素晴らしいと思います。こんな風に表現できるフェイユイさんの才能、羨ましいです。^^
Posted by フラン at 2009年11月17日 09:57
うわー、テレるじゃないですか。そんな褒められたら。真っ赤です真っ赤。

夢中になって観た映画って書くのも楽しいことは確かですねー。
褒めていても気の乗らない文章の時と、ノリノリで書いてしまう時、きっとバレバレでしょうね(笑)
Posted by フェイユイ at 2009年11月18日 00:53
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