映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年11月23日

『エリザベス1世 愛と陰謀の王宮 後編』トム・フーパー

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Elizabeth I

他のレビュー見てたら「前篇はまあまあだが後半は面白くない」みたいな感想が多かったので何となく自分でも流して観るか、くらいの気持ちでいたのだが、なんの!後半メタクタ面白くて大体前半もまあまあでなく面白かったんで、まあ人によって面白がり方も違う、ということだ。

前半はケイト版『エリザベス』で観てた感じだったので歴史の大まかな流れを再確認するのとヘレン&ジェレミーのやり取りでわりと落ち着いて観れたが、後半は自分的には怒涛の110分、と言ってよく、レスター伯を愛人としてもやや年老いた感が否めないヘレン=エリザベスがさらに若い20歳そこそこの青年(レスター伯の義息子)エセックス伯(名前がレスター伯と同じロビン)との恋に溺れ、まさに醜態をさらしてしまうという観るのも憚られるはらはらどきどき、なのだった。
無論、若き男女が観賞するならばキモイ老婆の色狂いとしか見えないのは仕方ないだろうし、これを我が身に置き換えてげんなり苛々やがてほっとするのはやはり年老いた女性でなければできないのかもしれない。年若くてしかも男性でこれを面白く観れる人はかなりスゲエ人である。

年老いた王が若い美貌の持ち主を寵愛するのは男王であればさほどの躊躇いもないのだろうが、こと女性しかもバージンクイーンの称号を持つ女王としては己の欲望と王としての権威と責任のはざまで悩み苦しむのは男王の比ではないだろう。
エセックス伯ロビンを演じるヒュー・ダンシーはそれほど私的には好みじゃないが祖母と言ってよい年齢の女王の寵愛を受ける表情と態度はそういう青年らしい愛らしさと傲慢さがにじみ出ていてなかなか見惚れてしまった。しかしよく彼の魅力をつき放すことができたものだ。
ロビンと結託するのが哲学者フランシス・ベーコン。そして女王の寵愛を受けて横暴に振舞うロビンと行動を共にするサウサンプトン伯がエディ・レッドメイン。ここでは長髪をなびかせているのだが、短髪が似合う顔なのか、他の出演の時よりあまり美男子に見えなかったのだが。
彼らはエリザベス女王の継承者ではあるがメアリーの息子でまだ彼女の支配下にあるジョージ6世(後のイングランド王ジョージ1世)と結託した疑惑が女王への反逆とされてエセックスは死刑、サウサンプトンは投獄される。
ところでジョージ6世はエリザベス女王との会見の後側近セシル(息子)に自分が王になったら美青年を侍らせて、という希望を打ち明ける。エセックス伯もハンサムで有名とのたまっていてこの辺のジョージ6世+フランシス・ベーコン+エセックス+サウサンプトンはどうやら同性愛的な結合であったような。はっきりと描かれてはいないがロビンは妻子もあるしエリザベスに言いよってもいるがゲイだったようでサウサンプトンと関係があったみたい(な空気だった)常にエセックスに寄り添い裁判を受け弁解する時もまだ愛情を持ち続けている様子なのがちょっとよかった、とかそういうのばかり観てる。
そういうところもあり、でさらに物語は白熱してしまうのだが、エリザベスに甘えきったロビンとその愛情を失いたくない思いと必死で戦う老女王エリザベスとの愛がなんとも虚しく儚いことか。
また女王から若干疎まれながらも支え続けてきたウォルシンガムの死、そしてバーリー卿父子。女王はバーリー父にねぎらいの言葉をかけ、息子セシルの格好悪さを「ピグミー=ちび」とあだ名しながらも次第に頼りにしていく。息子セシル役はトビー・ジョーンズ。日本公開されなかった、もう一つのトルーマン・カポーティ映画『Infamous』でカポーティであった。私はシーモア・ホフマンも悪くないが彼の方がカポーティらしいし映画もよかったと思ってる。

後編はつまり歴史的な出来事よりエリザベス女王の内面に入り込んだ内容になっているのである。老醜という悲しい形容をしなければならないのであろうか。おいてもなお少女のようにはしゃいで美しい恋人のキスを待つエリザベス。
とうとう最後まで彼女は国を夫として全うしたのである。後篇でも国民を前に女王らしい演説をして彼らの心をつかんでしまうエリザベスなのである。彼女が男性であったら恋も結婚も許されたのかもしれないが。
だが男性であればここまで登りつめることもなかったのかもしれない。
どちらが幸せであるかはまた別のことだが。

監督:トム・フーパー 出演:ヘレン・ミレン ヒュー・ダンシー パトリック・マラハイド  エディ・レッドメイン トビー・ジョーンズ イアン・マクダーミド
2005年 / アメリカ/イギリス


ラベル:歴史 愛情 同性愛
posted by フェイユイ at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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