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2009年12月18日

『フランティック』ロマン・ポランスキー

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FRANTIC

これまたポランスキー非常に上手い、非常に楽しめる、そしてやはりとても暗い彼のテイストが溢れんばかりの作品だったなあ。

前回観た『赤い航路』よりもソフトでしかも娯楽性が強いので結構軽く楽しめるのだが、そのくせやはりミステリアスな美少女だとか淫靡な雰囲気だとかなんともやるせないラストだとかはしっかりロマンらしさを表現している。と言ってもエマニュエル・セニエはこれに出てから『赤い航路』で妖艶な美女(というか美少女と言う方が似合ってるのだけど)を演じているのだね。たどたどしく愛らしい英語は共通してる。

医学学会で発表する為パリを訪れたアメリカ人医師リチャード・ウォーカーとその妻サンドラ。ホテルに着きリチャードがシャワーを浴びていた僅かの間に妻が忽然と消えてしまった。
ちょうどその時かかって来た電話で話した後、サンドラは何者かに連れ去られたようなのだ。
果たしてサンドラの行方は。言葉の通じないフランスで頼りないパリ警察に愛想をつかしながらウォーカーは走り回る。

ゆったりとした導入部からとんでもない事件に巻き込まれていく、という展開はポランスキーの形式のようであるが、どれもとてもいいのだよな。これはまた車で移動しながらパリへ入り込んでいく風景が私好みでたまらないのである。
シャワーを浴びている間に妻が消えてしまう、というのはなんだかヒッチコック風な感じ。ヒッチに負けないくらいのユーモア感覚もたっぷり含みながらハリソン・フォードらしい男っぽいアクションも楽しめる。
ハリソンが大柄でいかにもアメリカ人らしい武骨な感じなのもキュートで、どんどんわけが判らなくなって追い詰められ、泣き出してしまうのも可愛いのである。
大げさには演出しないのだが笑わせてくれるユーモアのセンスは本作でもたっぷりなのだが、男らしいハリソンが女の子が渡っていけた屋根の上をぐらぐらしながら歩いて結局滑ってしまい大切な謎を秘めたスーツケースを屋根の上のアンテナに引っ掛けてしまい中身がばらばらに落ちていく顛末は高所恐怖症(私が)なので怖いやらおかしいやらで困ってしまった。可哀そうなのはハリソン=ウォーカーで彼こそがずるずる滑る屋根の上で縮みあがった上に愛しい妻を助ける鍵であるスーツケースの中身をばらまいてしまい、靴を脱いだら靴下ごと落ちてしまい踏んだり蹴ったり。ついに裸足で歩かねばならない惨めな姿になってしまう。
しかも女の子をかっこよく助けようとしたら思い切り殴られて気絶。アーメン。
奥さんが行方不明、多分誘拐で笑いごとではないのだがでかすぎて頭をぶつけてしまうようなハリソン=ウォーカーが女の子に助けられながらパリを彷徨う姿は情けなくもいじらしいのであった。

ハリソン=ウォーカーが一途な男性らしくエロチックな少女には誘惑されず、ひたすら妻を探し続けるのはちょっとじーんとしたりして。
エマニュエル演じるミシェルはどうしてあそこまでこだわってしまったのかなあ。この辺のつきつめ方が次の『赤い航路』でも発揮されてるようである。
若い女の子とおじさんであるウォーカーの食い違い方もどこも同じだな、という感じでこれもおかしい。
セニエが出てるのもあるが本作と『赤い航路』は共通点が多いのかもしれない。
パリが舞台で異国人(本作がアメリカ人であちらはイギリス人)がパリに対して憧れと溶け込みきれない感覚がある。それはエマニュエルが演じるパリの少女によってさらに強く印象付けられる。裕福だが平凡で幸福な夫婦が危機を迎え再び幸福を取り戻す。
それはやはりパリとパリの少女という異国人には憧れの存在によってもたらされる不思議な体験なのである。

監督:ロマン・ポランスキー 出演:ハリソン・フォード ベティ・バックリー  エマニュエル・セニエ 
1988年アメリカ


posted by フェイユイ at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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