映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年12月23日

『刑事コロンボ 完全版 Vol.8』「断たれた音」

The Most Dangerous Match

今回は一体どうしたんだろうか?
トリックや謎解きの部分は工夫が見える。補聴器が必要な犯人がその機械を装着せず犯した殺人の際に音が途切れたことを気づかなかったことが最大のミスだった、という種明かしなど他にないほどの面白さがある。
だがそれ以外の設定・物語はどうもいただけない。前回に一番面白い時期か、と思ったのが嘘のような作品に思えた。
まず最悪なのが犯人。コロンボに追い詰められ次第に苛立つ、というのならまだしもこの彼、初めからぶち切れてしまっていてコロンボ作品の犯人としてはまず最低のキャラクターではないだろうか。コロンボの敵役というのは何と言ってもコロンボが一見かっこ悪く見えてしまうほどの優れた人材でコロンボが周りをちょこまかしても鷹揚に構えていて欲しい。まさに好敵手という関係で騙し比べをしてくれるような人物でいて欲しい。同じタイプばかりではおかしくなってしまうかもしれないが、本作の犯人のように始終神経質に苛立ち、コロンボの質問にも陳腐な答えを繰り返し(つまり犯人が、というよりドラマを作っている側が使い古された答えをまた言わせているってことだが)追い詰められて公の場で尻尾を出し最後には絶叫しながらコロンボを罵倒する、っていくらなんでも酷過ぎる犯人描写ではないか。
犯人の殺害動機と方法というのは色々あったが、チェスの現チャンピオンが元チャンピオンの復帰に怯え、試合直前に殺害してしまうなんて犯行としても見え見えであるし、何とも情けない発作的殺人で今までの犯人の中でも最も馬鹿馬鹿しくしょぼくれた奴であった。またその犯人の特徴が「耳の聞こえない(遠い)」人物だというのは今なら設定し難いことかもしれない。

脚本は他にいいものを書いている(『二枚のドガの絵』など)がこの回に関しては何故こんな変な展開になってしまったのか。
元妻という女性が最初は犯人に憎悪を抱いているような描写だったのに途中から全く違った感情を持っているのが不自然で意味が判らない。
犯人が殺害後に元チャンピオンの弔いゲームだみたいなことを言って数人対戦の公開チェスを催すのだが、その場でゲームをしながらコロンボと事件についてやり取りする、というのは奇抜な演出だとしてやったのかもしれないが、現実離れしすぎているとしか思えなかった。

こういう時はコロンボ自身も犯人への迫り方がじれったいような嫌らしさを感じさせるからおかしなもんである。確かに犯人が言うような芝居がかった方法で鬱陶しい。
愛犬の登場だけがなんとか場を救った感じがしたが、このコロンボは好きになれなかったなあ。

何故犯人がここまで勝ちにこだわるのか、何故被害者はあんなに優しいいい人で犯人に付き合ったのか。何故犯人の元妻が元チャンピオン側に着いていたのか、何故途中で犯人への態度が変わったのか、その辺りの書き込みをして欲しい。
後、被害者が手術後注射をしたことで容体が急変したのでコロンボがアンプルの鑑識を求めるとそれは捨てた、というので終わってしまったが、体内に残った薬の成分、という鑑定はされないのかな。

監督:エドワード・M・エイブラムス 脚本:ジャクソン・ギリス 出演:ピーター・フォーク ローレンス・ハーヴェイ
1972〜1973年アメリカ


posted by フェイユイ at 22:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 刑事コロンボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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