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2009年12月27日

『刑事コロンボ 完全版 Vol.10』「野望の果て」

Candidate for Crime

前回の『別れのワイン』より本作の方がよりトリッキーでコロンボも頭脳を使っていると思うのだが名作と言われないのはやはり政治家の野望というような題材にはうんざりさせられてしまうからだろう。現実の方がもっとトリッキーでドロドロとした汚い陰謀が渦巻いているのだから。
且つ夫に不信感を抱きながらもどこかにまだ僅かな望みと愛情を見つけようとしているかのような妻をなんのためらいもなく裏切って若い愛人とよろしくやりながらその愛人女性もまた利用しようというまさに政治家らしい性格の男が犯人なのである。被害者の男性は嫌な部分もあったのかもしれないがそれでも自分を殺すことになるその男の為に半生を捧げてきたわけで、愛人を作るのは政治家活動としてまずい、というのは真っ当な意見なのにも関わらず、自分に誠実に尽くしてくれていた参謀をあっさり殺してしまうとは、一体なんという傲慢さなのだろうか。
今回ほど、犯人を追い詰め彼が作り上げた芝居を鮮やかな手際で暴いてしまうコロンボに快哉を叫びたくなったことはないだろう。
物語の汚さには閉口だが、ミステリーとしては非常に面白く、やや硬い印象だった『別れのワイン』もいいが、コロンボはやはりどこかひょうきんな場面があった方が好きなのである。
裕福な階級が相手役になるだけにコロンボのよれよれ具合がまた引き立ってしまう。
故障だらけのオンボロ車に情けない着たきりのコート。政治家ヘイワード御用達の洋服店でスーツを誂えようとして頓珍漢なことばかり言って最後には相手にしてもらえないコロンボが可哀そうである。しかしもし注文できてしまったら物凄い金額を請求されて卒倒しそうだが。

被害者は丈夫一点張りの服装なのに腕時計だけが華奢なのがおかしい、とかヘイワードがこっそり消音機付きの銃で窓ガラスと壁に弾を撃ち込んでおき、後で爆竹を鳴らすトリックだとか、洋服をなぜ10日前に注文していたか、とか様々な謎ときのある面白い一話なのだが、政治家ヘイワードを暗殺しようとする組織(無論ヘイワードのねつ造)が間違ってストーンを殺した時、ヘッドライトがどうしても彼に当たらないから撃てない、というのだけはあまりいただけない。暗殺組織が夜中に発砲する予定なのに照明も持たずに飛び出す、というのではあまりにへぼ過ぎるじゃないか。この逆というのならわかるけど。

面白い場面もいくつもあるがコロンボが歯科で治療をする、というのが最大のおまけ場面か。
「私もあなたもイタリア系なのにみんなイタリア系と言うとマフィアだと考えるんだから嫌になる」と歯科医が言う。しかし治療がこれもワイルドだなあ。
しかもイタリア系なのにオンボロ車でお洒落じゃない、というコロンボ。イタリア系としては異端だよなあ。

監督:ボリス・セイガル 脚本:アービング・パールバーグ アルビン・R・フリードマン ローランド・キビー ディーン・ハーグローブ
原案:ラリー・コーエン 出演:ピーター・フォーク ジャッキー・クーパー
1973〜1974年アメリカ


posted by フェイユイ at 22:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 刑事コロンボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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