映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2010年01月10日

『刑事コロンボ 完全版 Vol.16』「5時30分の目撃者」

A Deadly State of Mind

今回の犯人は絵に描いたような2枚目でしかも狡賢い悪人である。コロンボさえも自分の犯行のアリバイにしようとさえしたのだがさすがにコロンボはその上を行ってくれたねえ。

うーむ。いつもしょぼくれた格好で明晰な頭脳の持ち主であることを偽装しているコロンボなのだが、特に今回の捜査を見ていると彼がどんな点に気づきどのように思考していっているのかがちらりと覗き見え結局判りはしないのだが空恐ろしくなってくる。

本作で見せたかったのは催眠術による自殺の強制という殺人方法なのだろう。だが多分(としか私は言えないのだが)催眠術という方法は法律上証拠にはならないのだろう、コロンボは確かに精神科医である犯人が被害者の女性に催眠術をかけ「自殺しろ」ではなく「プールに飛び込め」という催眠術をかけそのキーワードを電話で言うことによって彼女に行動を起こさせたことに気づくのだが、それは証拠とならない。そこで第一の殺人(2番目の被害者の夫殺害)も犯人は同じく精神科医のその男なのだが証人は唯一殺害後に彼の車が被害者邸から飛び出して行く時ばったり出会った盲目の男性だけなのだった。
犯人は盲導犬と歩き黒いサングラスに杖を持った男が一目で盲目なのだと気づき目撃されているはずがないと確信して去ったのだった。
コロンボはここで証人の兄に同じようなサングラスをさせ犯人の前に出てもらい目の前にいる男の顔を見たと証言してもらう。犯人は苦笑し盲目であるその男が自分を見ているわけはない、と言う。
コロンボは何故あなたはその人が盲目だと思ったのかと言って本当の証人に登場してもらう。盲導犬を連れもっと暗いサングラスをした「目撃者」である。犯人はうまく言い逃れようとしたのだが確かに断言してしまったのだ「目が見えないはずだ」と。先に登場した彼がそうである、という説明はまったくなかったのに。
コロンボは「目撃者は彼ではなくあなた自身なのです」

犯人の二枚目精神科医を演じたジョージ・ハミルトンが物凄くぴったりである。自信過剰なコロンボへの対応も見事であった。
コロンボが疑問に思った、という事柄はたくさんあるのだが、そのひとつが煙草を吸う人間がいなかったはず(第一の被害者の妻は嘘の証言で「入り込んできた二人組はストッキングを頭から被っていた」としたので煙草は吸えない)の場所にライターの火打ち石の欠片が落ちていたのだ。マッチの燃え滓とかは聞くが石の欠片とはねえ。
タイヤの跡が細くて外車だと言う場面」でコロンボが「私のもここで唯一の外車だ」と言って同僚をあきれさせるのがおかしかった。確かにプジョーはフランス車だから外車なんだけどねー。

第二の被害者の殺害方法は残酷だ。直接手は下さず「プールに飛び込め」という暗示で死に至らせる。「自殺しろ」という暗示はさすがに効き目がないというのだ。被害者は5階のベランダからプールに飛び込み死んでしまう。被害者はあくまでも泳ぐつもりだったので裸になりしかも脱いだ服を畳んで貴重品を靴の中に入れていたことがコロンボに引っかかりとなった。
一体犯人は何を考えていたのか。この女性と不倫関係になった、とはいえ彼にとっては彼女は研究の対象でしかなかったのだろう。そして第一の殺人に怯える彼女が邪魔になり殺した。全く何の人間味もない冷酷な殺人者なのだ。
彼の研究の助手である女性医師の存在がありコロンボが珍しく彼女に声を荒げる場面がある。コロンボは弱い存在の女性が被害に会った時怒りを表現するようだ。

監督:ハーヴェイ・ハート 脚本:ピーター・S・フィッシャー 出演:ピーター・フォーク ジョージ・ハミルトン 
1974〜1975年アメリカ


posted by フェイユイ at 22:07| Comment(2) | TrackBack(1) | 刑事コロンボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この作品すごく好きです〜。いかにものジョージ・ハミルトンはまり役ですし、なにやら作品全体にエロチックな雰囲気が漂っているじゃあないですか。あのプールに飛び込むシーン印象的〜☆こんなに色っぽくてイイノ、と子供時代思いましたです(笑)そしてその脱いだ衣服をきちんと椅子に畳んであったというポイント「ねぇ君子供の頃海水浴へ行ってこんな風に服を畳んでその中に時計とかを入れて〜」とコロンボ語るところとかいいですよね細部が。病院廊下の多色ラインとか、実験マウスとか、精神科の医師という設定も妖しくてしかしハミルトンはダンディで見惚れる。最後のキメ部分目撃者トリックシーンもコロンボシリーズの特徴が最大限に生きていて。。前後しますが「祝砲の挽歌」「忘れられたスター」もだったとはウ〜ン☆本当にハーベイ・ハート氏演出の腕は素晴らしいですね。
Posted by フラン at 2010年01月12日 10:23
うんうん、その通りですよねー。細部まで神経の行き届いた演出・設定がドラマをより際立たせているのですね。

催眠術で自殺に追い込んだ、という推理の方は証拠にならない、というのがまたリアルに感じました。面白いのだけど実際の決め手になるのは最初の殺人の方である、という渋い展開。

今までどれを誰が演出したのか、なんて考えてもいませんでしたが(といってもどんな人なのかは判らないんですが)この作品とこの作品は同じ演出家、なんていうのを知るのもまた面白い。やはりどこか共通点があるのだなあと。
Posted by フェイユイ at 2010年01月13日 00:23
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5時30分の目撃者
Excerpt: 犯人である医師の冷徹さが印象に残る作品です。精神病患者を遠隔操作で死に追いやるとは、ちょっと凄すぎです。コロンボも、今回は相当怒っています。
Weblog: 映鍵(ei_ken)
Tracked: 2010-04-03 19:04
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