映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2010年01月14日

『刑事コロンボ 完全版 Vol.18』「闘牛士の栄光」

A Matter of Honor

今回は珍しく以前にあった『歌声の消えた海』のその後篇という形になっている。メキシコへの船旅を引き当てたコロンボ夫人と共に暫しの休暇を楽しむはずのコロンボが船旅の途中で事件解決、そして目的地のメキシコでも殺人事件に出会うのである。
愛妻とのせっかくの休暇に二度も殺人事件の捜査に関わらねばならないなんてメキシコ人ならずともちょっと「間抜け」と言いたくもなるし、奥さんからはきっと苦情も出たろうし、苦笑せざるを得ない経緯だが事件自体はシリーズ中でも深刻なものになっている。
というのはここでの殺人動機が「名誉」という人によってはどうでもいいものであると同時に当人にとっては何よりも大事なものである、という儚いものであるからだ。
犯人であるモントーヤが「メキシコ人なら判るはずだ」と言うのは殺されたエクトールとその息子の思いのことを言ったのだがそれはモントーヤ自身のことであったのだ。
特に男らしい男を崇拝するメキシコで国民的英雄としてならしめたモントーヤが牧童に襲いかかった牛を前にして恐怖のあまり立ちすくんでしまった。結局牧童を助けたのはその父親であるエクトールだが、他の牧童たちは勇敢なモントーヤが牛を追い払いエクトールが息子を引っ張り出したのだ、と思い込んでいた。だがモントーヤにとって真実を知っているエクトールをそのままにしてはおけなかった。モントーヤはエクトールを抹殺するのだった。

多くの人はこのような男の自尊心は馬鹿馬鹿しいと思うだろう。その為にさらに人を殺害するなんて余計みすぼらしいことのような気がする。
だがそれでも「それを知られてしまった」ことへの恥ずかしさが「元英雄」は耐えられなかった。
終始威厳を保ち続けている姿が憐れにも思える。
メキシコの人がこれを観たら共感するんだろうか?判らない。
そんなモントーヤを演じたリカルド・モンタルバンという人はメキシコ人であり人気があった役者であるらしい。そんな彼が演じていることがモントーヤの悲劇を感じさせているのかもしれない。
『忘れられたスター』の男性版なのだろうか。
男性には厳しいコロンボだった。

メキシコをアメリカ人が描くとやや差別的な感じがあるものだが、ここではそれは感じられない。もう一つは非常にマッチョな男が登場することだがそれがまさにこのテーマになっている。それとそのモントーヤの車を洗っている若者。シャツがはちきれんばかりのたくましい体つき。
そしてモントーヤの娘や地元警部の奥さんがセクシーなこと、であろう。

監督:テッド・ポスト 脚本:ブラッド・ラドニッツ 出演:ピーター・フォーク リカルド・モンタルバン
1975〜1976年アメリカ


posted by フェイユイ at 22:46| Comment(0) | TrackBack(1) | 刑事コロンボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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刑事コロンボ・闘牛士の栄光
Excerpt: 刑事コロンボの第35話です。休暇でメキシコに行ったときに、プライベートで捜査に協力するという、珍しいパターンです。主人公は闘牛士。その「プライド」がキーワードになります。
Weblog: 映鍵(ei_ken)
Tracked: 2010-02-06 18:08
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