映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2010年01月28日

『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』トラン・アン・ユン

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I COME WITH THE RAIN

想像してた以上になかなか見せてくれる映画だった。

3人のイケメンアイドルが揃い踏みの映画、というのが宣伝文句になるのだが自分的には3人とも嫌いではないがだからと言って観たくなる、というほどの面々でもない。ところが他の感想を覗いてみるとこれが驚くほどの叩かれ方である。途端に興味が湧いてしまったのはなんたるへそ曲がりか。

そしてこれが結構面白かったのだ。
どこが、と問われると確かに即答はできない。退屈はしなかったが、本作の奥に隠れている何かをすぐにみつけることはできなかったし、無理かもしれない。ただ登場する男達を見ていることが気持よかっただけである。

酷い残酷性に反感を覚えた方が多いようだが、私も苦痛なのは嫌いだがこれはそれほどの嫌悪感を覚えなかった。
というのは作品中、苦痛の芸術家である男ハシュフォードが説明するとおり苦痛こそが最も美しい、という思考をそのまま映像化しているのだなあ、と思われたからで3人が感じる苦痛はそのままエロチックな感情を引き起こすものとして表現されていたからだろう。
夥しく流れる血も体中に刻まれた傷跡もセクシャルな観念と重なっていく。
これをもっと見やすく感じやすく表現していたのは高河ゆんの『子供たちは夜の住人』なのではないかと思うのだが他人の痛みを引き受けてしまう柴の感じる苦痛、という表現に衝撃的なエロチシズムを感じてしまった。彼女の漫画も血が流れ苦痛をセクシャルな表現として用いていることが多いのだが絵柄の愛らしさのせいでこの映画のようなグロさは感じない。それが彼女のよさなのだが、実写においてはこのような生臭さに変ってしまうのである。
と言っても自分としては同じ目線で観ていたので「キムタク痛そーふふん」という感じだったのだが。
キムタクも痛そーだったがハスフォードに殴りまくられ裸にされ何故か腕を噛みつかれるジョシュも痛そーだった。しかも殆ど男色強姦光景のようであった、
私はジョシュにそれほど注目してたのではないがこの映画では最もエロチックに思えたのである。しかも物語が香港が舞台だとは思わなくてしかもジョシュがショーン・ユーと相棒状態になるとは思わなんだ。
おいおい、イケメン3人じゃなく4人の間違いだろ。ショーンも充分仲間入りする資格あると思うんだがなあ。
ジョシュを助手席に乗せて(シャレではない^^;)反対方向に走り去る車のビョンホンに話しかけながら、逆走するシーンがあざといながらかこよくってさ。こういうのってアジアンテイストだよねえ。ジョシュとショーンが仲良く魚の浮袋を食べてる場面だとかの街の雰囲気もよろしくて、さらにサム・リーが登場した時はイケメン5人・・・ま、そこまではないか。
あまり肉体的苦痛を感じることができなかったイ・ビョンホンは何やら物凄く重い精神的ダメージを背負っているようで。美しいリリ(監督の奥さんだと。ほー)に抱きしめられる時の悲しみに満ちた目はビョンホンの18番なのであるがさすがだった。すてきだった。エロだった。

というわけで3人は思い切り苦痛の美学を表現してくれたのだった。
表現を補佐してくれたのがフランシス・ベーコンの絵画、とりわけ頭が口を大きく開いただけのもの、というあの奇怪な生き物である。
彼の絵をそのまま持ってきてしまうのはさすがにどうかなと思わなくもないが気持ちは判る。
というかあのオブジェがすべてを物語ってしまうのである。
と同時に私としては『ゲルマニウムの夜』を思い重ねてしまう。あの作品もまた苦痛と神を描いたものであった。

この中で木村拓哉演じるシタオは奇跡を起こす。苦痛に苦しむ人々の苦痛を我が身に引き受けてしまうという奇跡である。
その行為はキリストが起こした奇跡を思い起こさせる。そして最後シタオ=キリストは悪の権化ス・ドンポによって磔にされる。
シタオは死んだのか。放浪する芸術家(サム・リー)によって彼はキリストとなり、クラインの手によって復活するのである。

トラン・アン・ユン監督次回、松山ケンイチが主演する『ノルウェイの森』も監督するので気になって観てみたっていうのもあったのだった。『シクロ』だけは観たんだけど。あれもこれも独特の世界で『ノルウェイの森』も私的には大いに期待だけど評価がすでに分かれそうな予感が。そのくらい突きつめたのがよいのだけどね。

監督:トラン・アン・ユン 出演:ジョシュ・ハートネット 木村拓哉 イ・ビョンホン トラン・ヌー・イェン・ケー ショーン・ユー イライアス・コティーズ サム・リー
2009年フランス


ラベル:苦痛
posted by フェイユイ at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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