映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2010年02月05日

『海と毒薬』熊井啓

umitodoku-l.jpg

この映画についての感想がどうもまとまらないのはこういう題材がどうしても怖いもの見たさの好奇心から観てしまったせいなんだろう。
まるで、罪の呵責に苦しむ「捕虜の生体実験手術」に立ち会った青年・勝呂に尋問する役の岡田真澄と同じ立場のような気持ちで彼らの体験を覗き見ようとするのは、スティーブン・キング『ゴールデンボーイ』の主人公みたいな欲望を持ってしまうからではないのか。
だが一方ではこの時代にいれば勝呂もしくは戸田のように何も感じない心、揺れ動いたとしても結局は流されてしまう人間であることも自覚しているからなんだろう。

映画は恐ろしい二つの手術を大きな問題として描いていく。一つ目はごく当たり前の病気治療の手術なのだが術中のミスにより患者は死亡する。担当医達は患者が術中に死亡したことで大きな責任問題になってしまうのを避ける為、数時間経過後に死亡したと報告するよう打ち合わせる。
第二の問題が「捕虜の生体実験手術」で数人の健康なアメリカ軍捕虜に麻酔をし、肺の摘出、心臓停止、脳に関する手術など様々な実験を行う。
主人公には対照的な二人の青年が登場し、勝呂によって罪の意識で揺れ動く心が戸田によって時代に洗脳され感動を失った心が表現される。この二つは程度の差はあれ殆どの人間が持つのではないだろうか。

熊井監督によるこれらの問題提議、手術の臨場感などには強い興味を持つのだが、一方熊井監督の演出、台詞での説明などには映画としての面白さを自分としては惹かれるものを感じないのは残念だ。
冒頭の尋問場面をはじめ台詞がどうしても洗練されていないように思えてそこで躓いてしまうのだ。これは監督の『サンダカン』の時も感じたもので惜しい欠点になっている気がする。

監督:熊井啓 出演:奥田瑛二 渡辺謙 田村高廣 根岸季衣 成田三樹夫 岸田今日子 神山繁 西田健 岡田真澄
1986年 / 日本


ラベル:医者 歴史
posted by フェイユイ at 00:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。